いくつかの自治体施設や民間施設で、これまでの多目的トイレに、LGBTの象徴たるレインボーマークを貼ったり、画像のような男とも女ともつかぬマークを掲示する動きがあります。それに様々な議論が起こっていますので、不勉強の範囲で書いてみます。
生まれたときに割りあてられた戸籍の性別と、本人が自ら認識し生きようとしている性別が異なるトランスジェンダーで、体を本来の性に合わせていく療法のできていない人が、戸籍の性別のトイレに入るのがすごく辛かったりして、多目的トイレを利用する、とか、自身が男とも女ともしっくりこず、どちらのトイレも使いづらい、とかのニーズは確かにあるようです。
しかしこのようなマークをつけるとどうなるでしょうか。
◆まず、男とも女ともつかぬマークは、大変失礼との声があります。トランスジェンダーの人には自認する性別があります。性自認の定まらない人も、このような「男女の混合物」ではないと思います。
(これ単品ならいいような気もしますが、男マークと女マークとこれが並んでたらね・・)
◆性別適合手術をするなど、すでに本来の自分の性を生きている人は、何も多目的トイレに入らなくても、自分の性のトイレに入ればいいだけのことです。(※手術が必須だと言いたいのではありません)
◆LGBTは性自認(自分をどの性と認識するか)や性的指向(好きになるのはどの性か)が典型的でない人をあらわしています。
そのマークを多目的トイレにつけると、あたかも男子トイレ・女子トイレ・LGBTトイレと3つに区分するように見え、「LGBTは男でも女でもない特異な存在」という誤解を招きやすくなります。
しかし大半のLGBT当事者もいわば男か女です。
(画像は公民権運動以前のアメリカのトイレらしい。男・女・有色人種に3区分されている)
◆LGBT当事者は自分の性のありかたを周囲にカミングアウトしていない人も多く、LGBTトイレと表示されるとむしろ入りづらくなってしまいます。
◆トランスでないゲイやレズビアン、バイセクシャルの人は、特にトイレに困ることはないはずです。レインボーマークにより、例えばゲイは男子トイレ入ったらあかんとかいう誤解を招くおそれもあります。
というわけで、多目的トイレはレインボーマークを貼ったりせず、「どなたでもご利用できます」などの文言を入れれば、必要な人誰にとっても優しいと思います。
(おかしなところはご指摘ください)