一般質問で、神足保育所民営化方針について質問しました。
そのことを聞いたのは15日。23日に説明会があるという保護者への知らせで。
21日には質問内容を通告してしまっていたので、具体的な事項にほとんど踏み込めていませんが、議論に役立てばと思います。
【小原】
質問の4点目は、神足保育所の民営化方針についてです。
この方針について市は23日、神足保育所の保護者対象に説明会を行いました。
説明会では、神足保育所を、市内で運営実績のある社会福祉法人に民営化すること、移行期間は今からおおむね2年以上、事業者の決定から1年以上であること。すなわち、最短で平成33年度当初から民営化するということ。
土地は有償で貸与、建物と備品は有償で譲渡すること、事業者はプロポーザルで決定し、おおむね3~6カ月程度の引き継ぎ保育を実施すること、また特色ある多様なサービスの提供を事業者に求めるなどの説明がされました。
保護者からは、民営化に反対する複数の声や、保育士の人数が民間の方が少ないことによる質の低下の不安や、業者を公募する際の仕様書づくりに保護者が関われるのかという声、31年度入所の募集の際に民営化は知らされていなかったことから、少なくとも次の0歳児が卒園する6年後までは民営化すべきではないという声などが出されたと聞いています。
民営化に反対でも賛成でもないが、保護者に納得いくまでの丁寧な説明と、意見を受け止め反映しようという姿勢を求めたいという声。持病を持っている子でも、同じように受け入れてもらえるのだろうかという不安の声などもお聞きしています。
昨年の児童対策審議会答申で方向の出ていたことですが、市長選挙の中では語られていませんでしたので、なぜいきなり、どうしてうちなのか、その思いは当然であろうと思います。
疑問はつきませんが、事前に通告している範囲でお尋ねします。
まず、なぜ神足なのかです。
神足が民営化されますと、東部地域、あるいは長三中校区では、公立保育所がゼロとなります。市が直接責任を持ち、地域の子育て支援・親の支援の核になる公立保育所は、バランスよく配置されていることが望ましいと思います。なぜ神足なのか、お聞かせください。
【健康福祉部長】
民間事業者への移行を円滑に行うため、(学校との複合施設とかでなく)単独の管理運営ができる施設で、当面抜本的な改修等を必要としない施設とした。その結果神足となった。
コンパクトな市域に公・民合わせ14の保育所等がバランスよく配置されている。
そして、なぜ今なのかです。
民営化するということは、すなわち180人規模の保育所を新たに運営する民間法人があらわれるということです。
もしそれだけの力量をもった法人がいるのであれば、そこには新しい保育所を運営していただき、神足は神足で存続させれば、市全体として180人の定員が増えることになるはずです。
民営化は待機児童解消に役立たず、むしろ行政だけで見れば、みずから定員を減らして逆行しているということになります。
もし仮に民営化が必要だとしても、待機児童問題解決のめどがついてから行うべきではないのでしょうか、お聞かせください。
【健康福祉部長】
待機児童解消や公立保育所老朽化に伴う施設整備、多様化する保育・子育てニーズへの対応、幼児教育保育料無償化への対応等が重要な課題となっている中、「民間の力」という貴重な資源と財源を活用することが必要と考え、1施設民営化を決めた。事業者には1人でも多く受け入れていただくよう働きかける。
(注:↑答えになってへん!)
今回、説明会の案内がされたのに先立ち、連合保護者会長にはお知らせしたそうですが、ごくごく直前のことであり、保護者会で受け止め議論する間もなく、保護者一般の説明会を迎えるという状況でした。
たとえば学童保育の七小民間委託のときには、保護者会は民間委託に反対でも賛成でもありませんでしたが、説明をつくして子どもたちに不利益がないようにきちっと担保をしてほしいと、ずいぶん市とやり取りされていたかと思います。
保護者一般に結論を伝える前に、保護者会や職員のみなさんとよく協議して、歩調をそろえる必要があったのではないでしょうか、お聞かせください。
また今後、保護者や職員、関係者とどのような姿勢で対話をしていくのか、お聞かせください。
【健康福祉部長】
6日の児対審で計画案が了承されたことを受け、いち早く保護者の方にお伝えする説明会を開いた。
今後とも計画を進めていく中で、丁寧な説明を行い、理解を得られるよう努めてまいりたい。
【小原再質問】
市長のかかげる「対話」とは何か。
対話とは、「決まったことを納得いくまで説明する」のではなく、「声を聞いてそれを踏まえて決めていく」ということ。
市長は「対話のわ」について、「みなさんの要望を聞くだけでなく、市の状況をみなさんにわかってもらう場」と言った。
しかし市民はわかろうがわかるまいが、決まったことに従うしかない。
こちらは行政権力を持っているということを理解して、対話にのぞむべき。
部長答弁は「丁寧な説明」というのみだった。
決まったことを一切変えないのか、それとも保護者や市民の意見を受けて変えるべきは変えるのか。
【市長再答弁】
ご意見を聞きながら説明にのぞんでまいりたい。
(注:「変える」とは言いませんでした)
この民営化方針のもとになっている児童対策審議会の答申では、公立を民営化しなければならない理由は「現在の国の制度のもとで、公立の方が財政的に不利」この一点のみです。
そこで、公立保育所を民営化することで市の財政にゆとりを生み出し、今必要な子育ての課題にとりくむとされています。
これに対して神足の保護者から、それなら何にいくらの財源を使うのか利用計画が必要だという指摘もお聞きしましたが、そもそもこれは本来児対審の提言すべきことではないと思います。
例えば本市は中学校給食の実施のために10億円以上を費やしましたが、その財源を教育費の中からほかの支出を削って生み出したのでしょうか?
市政全体のなかで中学校給食の重要性を位置付けて、10億以上の財源を振り向けることになりました。
「保育予算を削らなければ子育て支援ができない」という縛りこそ、ミスリードです。
児対審はそんなことを言わされるのではなく、堂々と子育て支援に必要な施策を提言すべきですし、それを市の財政運営のなかで積極的に受け止めてこそ、子育て世代に選ばれるいわゆるワンランク上の自治体であろうと思います。
児対審に子育て施策の財源まで責任を負わせるべきではないと思いますが、見解をお聞かせください。
【健康福祉部長】
児対審は、民間保育園等の定員設定等についての意見聴取を行うほか、子ども・子育て支援に関する施策の推進について、調査・審議していただいている。
今般の答申も、多くの分野の方々より、保育所運営にかかる市の負担額が公立は民間の3倍といった実態も含め議論され提言された。
【小原再質問】
公立は3倍などというが、なぜ3倍といえば国の政策が民営化を誘導しているから。まるで公立がムダのような言い方は不公平。市民は国政を変える権利だって持っている。公正な情報を。
【市長再答弁】
児対審に、財政運営まで考えてくれと言ったつもりはない。サービスと負担の議論の中で、民営化と決まった。
大山崎町では、住民の運動の盛り上がりの結果、従来の力関係をくつがえして、町政が転換しました。その原動力のひとつが住民の公立保育所への思い入れでした。
話を聞いて驚きましたが、次の世代にかなり受け継がれているのです。そこの保育所出身者が、自分の育った保育所にわが子を入れたいがために、地元に子育てしに帰ってくるというのです。そしてその方々から保育の良さが語られると話が尽きません。
保育がサービスの供給だけでなく、地域の子育ての文化をつくっている、それが定住の促進を実現している。
単にスキルの高い保育士がそろっているだけではできなくて、その集団が何十年も受け継がれて経験と記憶を蓄積しているからこそのことだと思います。
一法人では容易ではなく、身分の安定とともに集団的に密度の濃い実践を保障してきた公立だからこそではないかと思います。
児対審なり市は、市がみずからつくりあげてきた実践と子育ての文化をもっと前向きに評価して言葉にして、子育て世代に本市ならではの保育の良さをアピールしてもよいのではないかと思いますが、見解をお尋ねします。
【健康福祉部長】
公立保育所は、本市の保育の基準と、子育て支援の拠点等の役割を担ってきた。公立・民間のそれぞれの特色を生かしながら、保育の質を高め合い、歴史を刻みながら、今日に至っている。
今後も公立・民間がその特長を活かしながら、質の高い保育の提供を努められるよう、市としてでき得る限りの支援を行っていく。
(実際は全部いっぺんに質問して全部まとめて答弁、その後再質問、再答弁という順ですが、わかりやすくするため個々の質問ごとに答弁をくっつけて書きました。なお、答弁はメモによるもので正確ではなく、だいたいです。抜けもあるかと思います)
考えさせられたのは、「対話」とは何かです。
いくら丁寧に説明すると言っても、出した方針を変える気がなければ、市民があきらめるのを待つだけとも言えます。それは「対話」ではないでしょう。
今議会、他のテーマでも、「対話」を考えさせられました。またできたら書こうと思います。