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私的CD評
オリジナル楽器によるルネサンス、バロックから古典派、ロマン派の作品のCDを紹介。国内外、新旧を問わず、独自の判断による。
 




Corelli: Violin Sonatas Op. 5
Virgin Veritas 7243 5 62236 2 2
演奏:Sonnerie: Monica Huggett (Violin), Mitzi Meyerson (Harpsichord, Organ), Sarah Cunningham (Cello), Nigel North (Archlute, Theorbo, Guitar)

アルカンジェロ・コレッリ(1653 - 1713)についてはすでに合奏協奏曲集作品6を紹介した際にも触れたが、特にヴァイオリン奏者として続く世代に大きな影響を与えた。フランチェスコ・ジェミニアーニ(Francesco Geminiani, 1987 - 1762)やピエトロ・ロカテッリ(Pietro Locatelli, 1695 - 1764)などの弟子等を通じて、そのヴァイオリン奏法は18世紀イタリアのすべてのヴァイオリン奏者、作曲家に伝えられた。コレッリはトリオソナタやヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ作品1から5を、1681年から1700年にかけてローマで出版している。今回取りあげるヴァイオリン・ソナタ作品5は、1700年にローマで出版されたことが、ハノーファのゾフィー・シャルロッテ姫への献辞の日付から分かる。他の作品同様このヴァイオリン・ソナタも多くの、再版(海賊版)の出版によって、ヨーロッパ中に拡がった。特にアムステルダムのエティエンヌ・ローハーによる版は、極めて精度の高い版で、特にその第4版には、前半の第1番から第6番までの緩徐楽章に、コレッリ自身による装飾音型が加えられていて、当時の演奏様式を知る史料としての価値もある。ヨーゼフ・ヨアヒムとフリートリヒ・クリュザンダー編纂のロンドンのオージェナー社による全集は、ドーヴァーのリプリント版*として入手可能だが、これに元の装飾音なしとコレッリの装飾付きのヴァイオリンパートが掲載されていて、当時の即興的演奏の一端を垣間見ることが出来る。作品は6曲ずつ前半と後半に分かれていて、前半の6曲は緩急急緩急あるいは緩急緩急急の5楽章を基本構成としており、後半は前奏曲とアルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグなどの舞曲から成っている。第12番は有名な「フォリア」と言うゆっくりとしたテンポの舞曲の主題に基づく変奏曲のみの1楽章構成である。この作品5は、ヴィヴァルディのようにヴァイオリンの演奏技巧を誇示するものではなく、前半の6曲では、重音やアルペジョを多用する独自のヴァイオリン奏法を提示しながら、アンサンブルを重視している。舞曲を主体とする後半の方がより平明である。この作品5のいくつかの曲は、ヴァイオリン・ソナタとしての版だけでなく、リコーダー・ソナタとしても、ロンドンのウォルシュなどによって出版されている。第12番のフォリアはその中でも特に良く演奏される。
 今回紹介するCDは、”Sonnerie”と言うグループによるもので、ヴァイオリンのモニカ・ユゲット(Minoca Huggett)、チェンバロのミッツィ・マイアースン(Mitzi Meyerson)、チェロのサラ・カニンガム(Sarah Cunningham)に加え、ナイジェル・ノース(Nigel North)がテオルボとリュートを担当している。ソネリーの創設者でもあるモニカ・ユゲットはロンドン生まれで、ロイヤル・アカデミー・オヴ・ミュージックでモダン・ヴァイオリンを学んだ。1980年、トン・コープマンにアムステルダム・バロック・オーケストラのリーダーとして招かれ、1987年までその任にあった。この時期に古楽器演奏とそのスタイルが形成された。現在はヴァイオリン演奏の他に、アイリッシュ・バロック・オーケストラなどの芸術監督も務めている。このCDにおけるヴァイオリン演奏は、アンサンブルを重視するコレッリの作風に即したもので、上述したコレッリの装飾を再現しながら、室内楽的である。このヴァージン・クラシックスの2枚組CDは、現在でも入手可能である。

発売元:EMI Virgin Classics

* Arcangelo Corelli: Complete Violin Sonatas and Trio Sonatas, Dover Publications, 1992

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