
Mendelsshon: A Midsummer Night’s Dream
GLOSSA GCD 921101
演奏:Gulbenkian Choir, Orlanda Velez & Minica Moniz, Orchestra of the Eighteenth Century, Frans Brüggen (Conductor)
フェリックス・メンデルスゾーン(Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy, 1809 - 1847)は、ドイツの初期ロマン派の作曲家として知らない人は居ないと言って良いだろう。その作品は交響曲、管弦楽曲、協奏曲からピアノ曲、オペラ、オラトーリオや劇音楽など多岐にわたっており、2009年8月26日に刊行されたザクセン科学アカデミーによる作品目録には、26グループ750作品が掲載されていると言うことである*。
「夏の夜の夢(英語:Midsummer Night’s Dream、ドイツ語:Ein Sommernachtstraum」はシェークスピアの同名の戯曲に由来しており、メンデルスゾーンが17歳の1826年に姉のファニーとともに連弾を楽しむために書いたピアノ連弾曲がもとで、すぐに管弦楽曲に編曲された。これが作品21として、独立した作品となっている。古典的なソナタ形式で、妖精達や様々な動物たちの住む幻想的な世界を描写した交響詩的な作品である。1842年になって、この作品を聴いたプロイセン国王フリートリヒ・ヴィルヘルム4世の命により劇付随音楽を作曲することとなった。初演は1843年ベルリンで行われた。この作品61の劇付随音楽は、12の番号を持つ楽章と終曲からなり、これに作品21を序曲として演奏する事が多い。第3番と終曲には、2人のソプラノ独唱と女声合唱が加わる。この作品の中で最も有名な曲は、第9番の結婚行進曲だろう。また、第11番の「道化師達の踊り(Eni Tanz von Rüpeln)」と終曲では、序曲の要素が転用されていて、序曲を含めた全体的な統一感が図られている。終曲も序曲同様、ピアニッシモで終わる。全体を通じてメンデルスゾーン特有の、楽天的で明るい音楽である。
今回紹介するのは、フランス・ブリュッヒェン指揮、18世紀オーケストラ等による演奏のスペインのグロッサ・レーベルから1997年に発売されたCDである。18世紀オーケストラ(Orchestra of the Eighteenth Century)は、1981年にフランス・ブリュッヒェンによって設立された、オリジナル楽器によりバロックから古典派までの作曲家の作品を演奏する団体で、年に3~4回演奏旅行のために組織されてきた。その結成以来、オランダのフィリップス・レーベルがその演奏を録音、レコード(CD)化してきたが、1990年代後半になって、CDの販売減にともなって録音が激減し、それに対応するために、オーケストラ独自の制作会社(The Gand Tour)を設立し、スペインのグロッサ・レーベルがそのCDを販売することとなった。このメンデルスゾーンの「夏の夜の夢」は、その最初のCDである。
1997年の第50回オランダ・フェスティヴァルに於いて、シェークスピアの「夏の夜の夢」が上演され、18世紀オーケストラは設立以来初めて、舞台作品上演に参加した。その上演の後、6月9日と10日にユトレヒトで行った演奏会で録音されたのが、このCDの演奏である。オーケストラの編成は、第1,第2ヴァイオリン各8,ヴィオラ5,チェロ4,コントラバス3,フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン各2,トランペットとトロンボーン各3,オフィクレイド1、それにティンパニーと打楽器の57人である。それにソプラノとコントラルト各8人の合唱団が加わり、その中に2人の独唱者も含まれている。序曲と他の劇付随音楽の編成は、基本的には同じであるが、 オフィクレイド(Ophicleïde、ピストン付きの低音金管楽器。1817年に発明され、1821年にフランスで特許が取られた)は、序曲と結婚行進曲、トロンボーンは結婚行進曲だけで使われる。劇付随音楽の内、短い、劇の情景描写的な第2、4、6、8番は省略されている。10番は冒頭の15小節の情景描写を省略して、これも約1分ほどの「葬送行進曲(Marcia funebre)」が演奏されている。
このCDは、ライブ録音と記されているが、演奏会場の雑音は全く聞こえず、適度の残響をともなった美しい響きで、以前に紹介したモーツァルトの「レクイエム」よりもはるかに良い。なお、このCDは、現在GCD C81101と言う番号で入手可能である。ケースのデザインも当初のものと異なっている。
発売元:Glossa Music
* ドイツ語版ウィキペディアFelix Mendelssohn Bartholdyによる。

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