ほ。もうお昼だ。お天気は持ち直したようだ。屋根がきらきら光っている。この分なら梅の開花が早まるかも知れない。
なんにもすることがないさぶろうはヒラリー・ハーンのヴァイオリンを聴いています。ブラームスのヴァイオリンコンチェルトが流れています。指揮はパーボ・ヤルビ。冷たいさぶろうの氷がとろとろに熔け出しそうです。
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何故こんなにもヴァイオリンの曲が好きか。思い当たることがないでもありません。第一は村の中学校の音楽室にヴァイオリンが飾ってありました。棚の上段に。鍵が掛かっていましたが、手に取りたくてならなかったことがありました。第二は大学に進んでからのこと。室内楽団に美しい人がいました。ヴァイオリンを弾いていました。さぶろうは広いチャペルの舞台での練習を片隅でよく聞いて過ごしました。彼女は楽団のクレオパトラ。あるとき勇気を出してアタックをしてみましたが高嶺の花で相手になんかしてもらえませんでした。でも日記帳にラブレターを何通も書いて過ごしました。第三はメンデルスゾーンとの遭遇。教壇に立つようになってからのこと。ある朝FMラジオから流れて来た彼の作品64に強烈に痺れたのです。いまでもヴァイオリン奏者にはすぐに目が行きます。楽器ケースを背にして歩いていく人の後ろ姿でさえもさぶろうにメランコリーな感情を掻き立ててきます。ヴァイオリンを持つ人は即ち美しい人なのです。美しい人生を生きている人なのです。
もちろんヒラリー・ハーンも。彼女はさぶろうの天使になっています。背中に白い翼が見えるようです。
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