1
さ、外へ出よう。
2
雀が呼んでいる。お爺さんはそんなふうに思っている。いい気なもんだ。
3
雀たちは庭に設けた餌場の餌に集まって来るのであって、お爺さんを呼んでいるわけではない。それなのに。
4
ま、いいじゃないか。兎に角外へ。クダケ米もあげよう。
5
あ、そのクダケ米ももう底を突いてきた。一袋も貰ったのに。毎日あげているから減っても来る。
6
日当たりの所に行って座椅子に座っていよう。ぼんやりとしていよう。春の空を眺めていよう。これが心地よいのだ。
7
みな社会に出て、それぞれにそれぞれの職務について、重い責務を果たしているというのに、この老爺は無作為無行動だ。このていたらくはどうだ。
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