この呪(しゅ)一遍を誦すれば、一切の罪障みな悉く消滅す もろもろの病苦を除き、もろもろの怖畏を離れ、生死の海を超えて、涅槃の岸に至る。 「仏説十一面観世音菩薩随願即得陀羅尼経」より
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呪(しゅ)は、十一面観世音菩薩の呪文のことである。呪文は、真言とも陀羅尼(ダーラニー)とも呼ばれる。苦悩する者の苦悩を解き放つ力を秘める。救済のための利他偈文である。力(パワー)を持つ。
ただ一度だけでもこれを読誦すれば、抱えている罪障がその場で掻き消えてしまう。病苦から逃れられる。恐怖心から離れられる。迷いの世界を出て安心の世界に到達する。超えて超えて超えて行くことができる。
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超えて超えて超えて行くのである、われわれは。そこを超えて行くのである。此処を超えて行くのである。立ち止まらない。われわれは一時も立ち止まってはいないのだ、ということを教えてくれる。
病を超えて行くのである。苦しみ悲しみを超えて行くのである。迷いの世界(=生死の海)を超えて行くのである。そして最後に仏陀の智慧と慈悲を受領して、涅槃寂静の世界(=仏国土=安養浄土)に入る。
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仏教の経典は、「安心していいのだよ」ということを口を酸っぱくして説いている。説き聞かせている。これもその一つだ。
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十一面観世音菩薩の呪文、それはこうだ。
「おんまかきゃろにきゃそはか」
助かってくれよ、救われてくれよ、安心してくれよ、という願いのこもった呪文だ。利他する菩薩のパワーが籠もる。
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