新しい朝が来ている。着古してなんかいなかったけど、新しく洗濯されたシャツのような朝に手を通す。ぴったり来る。アイロンが効いたようにぴんと張っている。干された後の光が鼻に匂って来る。もしかしたら、ほんとうに洗濯をしてもらったのかもしれない。さぶろうを驚かせてあげよう、よろこばせてあげようという一心が見えて来る。そうだったのだ、一晩ご苦労をなさっておられたのだ。それほどまでのお気遣いにはっとする。「お気遣いなく、もう十分驚き、十分に喜んでいますから」と僕の現在状況を説明しておかなくちゃならないのかもしれない。爽やかな朝が来ている。風はない。曙光が東から映写機を回している。見せられた僕はそれを意識して見ている。映写機が映し出してくる新しい今日の風景を見ている。風景たちはみなしっとりしている。空も山も木々も隠元豆の列もみなしっとりしている。
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