食べる。食べると、それがそれでなくなって、それからはそれがわたしになる。そしてそれがわたしを動かすことになる。わたしはそれを動力源にしてやりたいことをやり始めることができる。そうするうちに、わたしにエネルギーを吸収されてしまったそれはあっさり体外へ出されてしまう。でもそのときにはそれはもはやまったく元の姿を止めてはいない。わたしはロボット。わたしは物体。物質で出来ているものはこの通り。外部からエネルギーを確保しなければ生きてはいけない。そうしなければわたしとは呼べない。動かないままのロボットはわたしとは呼べない。わたしはそれゆえに食べる食べる食べる。毎日毎日飽きもせずにがつがつ食べる。生命体を食べる。食べるとそれはそれでなくなってしまう。わたしの中でものの見事に分解されてあっさり元素化する。それは元素化するが、わたしはそれで元気になる。健康を維持することになる。それが死んで元素化することをしかしわたしは一度だって悲しんだだろうか。自分の死は悲しいくせに。外部の生命体を殺して殺してしかこのロボットさぶろうは人間さぶろうとしては生きられない。そういう宿命を背負っている。では、そういう宿命を宿せたことを感謝しているのだろうか、さぶろうは。無数のいのちを殺害してきた宿命を懺悔しているだろうか。食べられたいのちがさぶろうの懺悔を要求はしていない。それをいいことにして放っておくばかりで。
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