<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

石の上の青い蜥蜴

2016年01月25日 13時39分49秒 | Weblog

石の上に秋の陽しろきよき日なり 安らへよいま青き蜥蜴よ    群馬県 柴崎好子 

坂井修一選 特選 (NHK全国短歌大会入賞作品より)

絵だ。絵が現出している。美しい絵だ。ことばという絵筆の巧みな使い手だ。青々とした背中の蜥蜴が石の上にいる。秋の陽が射している。たったそれだけなのに、短歌の魔術に掛かるとこの通りだ。石の上に秋日が射すとどうしてよい日になるのか。秋の陽が射したところだけが白く光っている。そこへ青い背中をした蜥蜴が悠々と安らいでいる。これでこの位置のこの時間が宇宙中が一斉に賞賛する<よい日>になっている。「安らへよいま」の命令形は「さあ、もっと安らぐがいい」「この瞬間を安らいでおくといい」というくらいのやさしい表現なのだろう。 ことばで描いた美しい絵を見た。白い青い絵を見た。よほどよほどポエテイックな目を養った方なのだろう、作者は。こうなるともう和歌は文字の範疇を超えて次のさらに高い抽象世界にまで行ってしまうようだ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« トー・ラ・サンペ | トップ | 瓦礫を包む昼顔のやさしさ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事