「百年生きたお婆」 山鳩暮風
お婆はいつも言う
ゆっくりでいいよ
あわてないでいいよ
それで坊はどんなときも
ゆっくりとしている
あわてずにいる
形(なり)は小さいけれど
象のように 雲のように
大きく構えている
大きく構えて
おっかあの言うことを
きかない
おっとうの言うことも
お婆はそれでいいと言う
それでいいと褒める
傍目には空恐ろしい子に
育っているが
お婆はそれでいいと言う
百年生きたお婆の
智慧だそうな これが
こうしていれば
生き急ぎも死に急ぎも
しないのだそうな
百年が来たのだそうな
ゆっくりしていても
あわてないでいても
*
慌てないでいい。ゆっくりでいい。でも悪い方へ悪い方へ考えてしまって不安がる。心配する。そうやってみんな過ごして来たんだよなあ。百年生きたお婆もきっと。いやいやそうやっているうちに百年を生きて、最後にお婆の智慧が生まれたんだろう。
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