長篠落武者日記

長篠の落武者となった城オタクによるブログです。

足の痺れ

2015年06月03日 | 戦国逸話
正座。


仕事などでイスがなく、座って話し込むことがあります。
自分はこれが苦手。
正座ならば足が痺れる。足を崩して胡坐をかくにも体が固いので、すぐ背中が凝って痛くなる。背筋を伸ばすと「ボキっ」という音がするとしばらく痛みは消えるのですが、やはりまた痛くなる。
正座は慣れだとも聞きますが、座って生活していた昔の人と言うのは体が柔らかく、正座も慣れていたのだろう、と、漠然と思っていたのですが・・・。

こないだ神保町の古書店街で入手した「武将感状記」なる本を読んでいたら、昔の人も足は痺れるということがわかりました。

〇戸田越後、久しく座して足痺れる(189ページ)

 時代が経って、今は陪臣(家来の家来)の勢いはおとなしくなった。
 豊臣秀吉が醍醐の花見を行った際、諸大名が参集した。
 諸大名の刀持ちは玄関の上に座っていたが、係員は刀持ちを玄関から降りるように指示をした。
 前田利家の刀持だった戸田越後は、そのとき20歳くらいだったが、結構座っていたので足が痺れてすぐに立てなかった。
 それを見た係員は「誰だ言うことを聞かない奴は。降りないとぶっ叩くぞ!」と言った。
 戸田は激怒して「侍には上下は無い。このような恥辱を受ける理由は無い。身を裂かれ頭を砕かれても此処は立ち去らん!降ろすと言うなら刀で勝負するぞ。」と、刀の柄に手を掛けて怒気を含んだ目で覚悟を決めた感じだった。
 係員達は降ろさねばと騒いだので、利家が「何事だ」と走ってきたところ、秀吉も刀を持って出てきた。
 利家は戸田を見て叱って立ち去らせた。
 秀吉は「あれは誰だ?」と利家に聞くと「私の家来です。どうも足が痺れて立てなかっただけのようです。」と申し上げると、秀吉は部屋に戻って、「戸田は素晴らしい侍だ。役に立つ者だろうから寵愛してやれ。」と言って、特にお咎めは無かった。

 なんだ、昔の人も足が痺れて立てなかったのか。
 しかし、足が痺れることで命を掛けた大騒動になってしまう、というのが戦国時代の大変なところです。
 平和な時代に産まれてよかったと思う。

 自分は、昔、崩すわけにはいかない会合があって足の感覚が無くなってしまったものの、やむなく正座していたことがあります。
 そして、痺れまくった状態で、足の感覚が無いまま歩いて退出したことがあります。
 感覚が無いので転びそうで危なかったです。

 が、上には上がいるもので、私の上司で法事の際に足が痺れてしまい、焼香だかで歩いた際に感覚がないために変な転び方をして両足を捻挫した人がいます。
 
 両足捻挫って・・・。

 たかが足の痺れと思っていましたが、危険なものだなと改めて認識すると共に、両足捻挫ってなかなかやろうと思ってもできない技だな、と、妙な関心をしつつ、場面を想像して爆笑した覚えがあります。

 そう考えると、昔も今も足の痺れは、結構重大な結果を引き起こすようです。
 御用心。

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