石匠風間ブログ!

読書、音楽、雑学

ネットで拾ったシリーズ4月

2014-04-28 | 雑記
“オバマ氏のすし代は税金から出ていると考えれば私がオバマ氏に寿司おごったと言っても過言ではない”“この前医師から「休むというのはただゴロゴロしたり寝るだけではなくて、やりたいことをやり、やりたくないことをやらないことですよ」と言われました。疲れてる方の参考に”
その通りですね、でも案外バランスが難しかったり。

“面白い時代劇を書くコツは、「時代考証に負けるな」という事。ただ歴史的事実が知りたいのなら、国会図書館のデータベースにでもアクセスすればいい。資料を読み込む力は必用だが、その資料からどれだけ想像力をはばたかせる事が出来るかどうか。時代劇はエンターテイメントなのだ。(小池一夫)”
あ、もちろん時代劇を書く予定はありませんが、歴史というのは存外そうしたものですな。水戸光圀は全国漫遊をし将軍吉宗は暴れん坊にしたほうがみんなうれしいのだから。

“夏の昼間暑い中、火照りきって顔を洗う人は結構いると思うが、実は耳の後ろ、耳と頭部の付け根がラジエターの役割を果たしているようで、この部分を水にぬらして冷やすと、嘘のように顔全体が涼しくなります。
耳のウラって一番発熱が多い所でもあり、また一番汚れが貯まりやすい所もである、人の上半身の匂いは大体ココから匂う”

これって信じていい?

“小学4年生が社会の授業で工場見学に来た時に、「嘘をつくと嘘をついた事を覚えておかないといけないので、そんな面倒な事をせずに正直に作っているんですよ。」と言ったら全員うなづいてたなあ。”
とても単純にして真理!嘘って効率悪いんですよね。

“簡単に感動する人は簡単に忘れる。”
はい、ぼくのことです。


『宇宙から恐怖がやってくる!』フィリップ・プレイト

2014-04-25 | 読書
【告知】深谷フィルハーモニーが4/26(土)12:45頃より深谷市駅前通りの埼玉りそな銀行前にて演奏!屋外でチェロ弾くの初めてだあ~。

内容(「BOOK」データベースより)
巨大隕石がある日突然ぶつかってきたり、ブラックホールに呑み込まれたり、エイリアンが侵略してきたり―それが「もしも」のことではなく、「いつか」起こることだとしたら…?そのとき、地球は果たして生き延びられるのだろうか?幼いころからB級SFエンターテインメントに夢中で長じて天文学者となったプレイト博士が、少年時代の空想を最新の科学研究から検証。太陽の爆発、ガンマ線バースト、宇宙の死など古典的な名作SFからハリウッド映画まで、さまざまな形でとりあげられてきた地球の滅び方を再現しながら天文学的知識をまなべるクールなサイエンス・ノンフィクション。


これは傑作!
難しい素粒子物理学から最新宇宙論まで網羅して、わかりやすく伝えてくれるという、「こういうのが読みたい」と思ってた通りの本に出会えた。

ただし結論としては「宇宙から恐怖はまずやってこない」ってことになるかなw
「恐怖」の内容を以下抜粋。
◆小惑星や彗星の衝突
 これが一番実現性が高い、というか昨年ロシアに落ちたばかりだしね。でも小さいものは毎日たくさん落ちていてほとんどは大気圏で燃え尽きちゃう。流れ星なんて大概チリ状の隕石、米粒くらいあるとかなり明るく輝くレベルだとか。

で、恐竜たちを絶滅させたレベルの隕石(直径10キロ)となると、現代科学では数年前からある程度予測できるので、たとえそうなってもなんらかの処置ができるだろうと。

ただし映画『アルマゲドン』(核爆弾で破壊)のようにはいかない、小惑星は中身スカスカのことが多く破壊できるかが疑問だし、破壊できても散弾銃のようにかえって被害を大きくする恐れもあるとか。物理的力でコースを変えるのが現実的。

◆太陽の暴走・太陽の死
 これも確率としてはかなり小さいと。まあでも過去に太陽フレアで大きな気候変動を起こした歴史もあるそうで(氷河期とか)、絶対安全とは言えない。太陽が放射してくれる熱が数度変わるだけで生き物が大量絶滅するらしいので怖いのは怖い。

ちなみに太陽の寿命はあと60億年は健在だろうと。その時は赤色巨星となり水星金星は飲み込まれ地球は灼熱地獄と化し生物はいられなくなる。

◆超新星爆発・ガンマ線バースト・ブラックホール
 大変に危険な現象なのは確かだが、地球の近所にはそういう現象を起こしそうな天体はない、つまりほぼ安全。ことの危険度より超新星爆発というプロセス自体が興味深い現象で、読み応えはあった。銀河系の中心には巨大ブラックホールがあるそうだけど巨大質量の恒星だと超新星爆発の果てにブラックホールになる。

◆エイリアンアタック
 まず知的生命体の存在の可否だ。宇宙はデタラメに広いからいてもおかしくないのだけど、現在いない可能性(過去や未来に存在したとしても)も結構あるそうでそれを諸々解説してくれている。もし知的生命が我々だけとなるとそれはそれで寂しい物があるね。

以上の通り、「恐怖」というより「ここまで解明した宇宙」という内容。
宇宙の始まりや終わりについても面白い仮説が多く紹介され、とは言え見慣れない言葉のオンパレードで本の分厚さも加わり読了に時間がかかった。

まあ、興味のない人には無価値な本だろうけど、ぼくにとってはしばらく楽しめそうな最高の玩具を見つけたような。


神セブンをまとめておこう

2014-04-23 | 雑記
誰しも憧れの人って、いますよね?あるいはいましたよね?

ぼくの場合は作家やギタリストに大きく偏っているけれど、自分の好きな方面の功成り名を遂げた人ってのは必然的に憧れ対象となるのでしょう。

正直言うと47歳となった今は以前に比べ熱を上げるような対象はいないのですけど、ぼくという人間の形成に大きく影響した人々、その中でも「神7」をちょっとまとめておこうかなと。

1.手塚治虫 
小学生の時、『ブラックジャック』でノックアウトされました。ファンクラブみたいなのに入って単行本買いまくりました。今でも好きだけど当時は神のように思っていたなあ。水島新司『ドカベン』もかなり買ったけど「神」とはちと違うよな。

2.エドワード・ヴァン・ヘイレン
中3かな。ギター弾いてる小僧にとってはこれは説明はいらないくらい定番的「神」でした。まあその前にジミー・ペイジ、ジェフ・ベック、ランディ・ローズやマイケル・シェンカーなどもあったけど、演奏する音楽傾向的にエディに落ち着いたわけです。そこからスティーブ・ヴァイ、ヌーノ・ベッテンコートと連綿と続く。高校の一時熱を上げたイングヴェイ・マルムスティーンは黒歴史w

3.村上春樹
これは大学時代。もちろん今でも好きだけど新刊発売と同時に買いに行くほどの熱は冷めてしまったかな。この人の文体はある意味ぼくの骨肉となっているのです、ちっとも似てないけどw

4.ゴルゴ13(デューク東郷)
神化するのは実在の人物ばかりではない。ゴルゴの究極の非人情は実在は無理だし。だけどね、ひたすら、限りなくとてつもなくカッコいいのです・・・マンガの人物としては『子連れ狼』の拝一刀もエントリーしたいが、熱を上げた長さ的に違うかと。

5.坂本龍馬
歴史好きを自認してて歴史人物がパッと挙がらないようではだめですね。高校の頃読んだ『竜馬がゆく』は全8巻ながら5回くらい読んでます、若かりし頃の「バイブル」でした。その後「薩摩の犬だった」とか「グラバー(フリーメイスン)の手先だった」など諸説知ったけど、いいんです!司馬遼の「竜馬像」でいいんです。

6.羽生善治
まさに「神」という名がふさわしい御仁。現役バリバリの「神」!将棋をかじった人なら異論はないと思うけど、いや、あっても認めないけどw

7.ヨハン・セバスチャン・バッハ
こないだかじり始めた素人がさすがにおこがましいか。「音楽の父」たる大バッハ、といっても好きになったのはここ数年で、一番古い人でもぼくとしては最も新しい「神」。この人のせいで突然チェロを買ったりオーケストラに入ったりしたのです。

もちろんここに挙がってない人もたくさんいて今のぼくが在るわけだけど、上記7人は特に次代に伝え残したい、いや我々には伝え残す義務がある人達だと、強く思うわけです。まあぼくが語るまでもなく伝わり尽くしてる人ばかりだけどね。


『たったひとつの冴えたやりかた』ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

2014-04-20 | 読書

内容(「BOOK」データベースより)
やった!これでようやく宇宙に行ける!16歳の誕生日に両親からプレゼントされた小型スペースクーペを改造し、連邦基地のチェックもすり抜けて、そばかす娘コーティーはあこがれの星空へ飛びたった。だが冷凍睡眠から覚めた彼女を、意外な驚きが待っていた。頭の中に、イーアというエイリアンが住みついてしまったのだ!ふたりは意気投合して〈失われた植民地〉探険にのりだすが、この脳寄生体には恐ろしい秘密があった…。元気少女の愛と勇気と友情をえがいて読者をさわやかな感動にいざなう表題作ほか、星のきらめく大宇宙にくり広げられる壮大なドラマ全3篇を結集!


なんとなく買った。
理由はこの邦題、かっこいいじゃないですか、すごく魅力的だったので。

そして、あまり「冴えたやり方」ではなかったのじゃないかなと思うところもあるけど、なにしろ面白かった。っつーかこんな題名だから軽いお話かと思ったら、とんでもなかった。

3篇の中編で構成されるが一応つながりを持ち、ちょっとした宇宙開拓史におけるサブストーリー的な。3つ読み終わった時点で感じた重たい感動!この重さにしてこの題名!って感じ。

で、解説を読んだら更にその数倍重たくなる!それは作者の選択した凄絶な最期。そうかそういう状況においてこれを書いたのだなと思うと、物語が展開する意味合いが深くなる。

これは解説まで入れて一つの本になっている。SF慣れしていればお薦めしたい。そうでないと若干読みづらいかも。


色彩知覚能力とか

2014-04-17 | 雑記
d0237353_3284418.jpg(「サカナのおカオ」よりもちろん無断転載)
この季節の深谷はとても綺麗ですね。桜と菜の花のコントラストはもう贅沢すぎて言葉を失います。

ところで「ホンマでっかテレビ」で気になる話があって。
「男性よりも女性のほうが色彩を捉える感覚が優れている」というのです!

確かに女性のほうが花や装飾品などへの執着は強いし、ぼく自身若い頃は花を見ても無感動だったし、それはそうかもしれないなとは思うのです。

で、それは具体的にどういうことかな?と考えるわけです。

それは同じ色を見てても脳内では若干違う色に変換されてるってことか?
例えば同じ白い色を見て、ぼくは普通の白、女性には「スーパーホワイト」なのか?

ぼくがブラウン管モニタを見てるとすると女性は高画質テレビモニタなのかな。
まあ、性別が全てではない個人差もあろうが、これはよくよく考えるとすごいことでは?と愚考するのです。

だって、同じ景色に立っていてもそれが違う景色を見てることになる、形状は一緒でも色合いがそれぞれ違うとしたら、もうそれは同じ世界じゃないでしょ。
ここから多世界解釈へと思考が連なる・・・
大げさかw

もっと考えてみりゃ、若者と老人で聞こえる音域が違うってのは有名で、これも聴覚の世界では別世界になるか。
嗅覚だって様々だし、取り立てて騒ぐことではないってことか。

騒いで損したわw


『四畳半神話大系』森見登美彦

2014-04-14 | 読書

内容(「BOOK」データベースより)
私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。



随分前に読んだやつを引っ張りだして。う~ん、見事、変わらぬ面白さ。

実は某タイヤ屋さんへ行ったら森見登美彦ガイドみたいな本があって何気なくパラパラめくったら・・・居てもたっても居られなくなって再読。

森見登美彦は基本ドタバタギャグストーリーというスタイルを頑なに守っているが、本書は「並行世界=パラレルワールド」といういささかSF調の工夫が施してあり、だけでなくそれをベースに様々な伏線を張り、きっちり回収する心地の良さ。

などと言葉を並べ立てても、やっぱり所詮ドタバタなのだけど。明石さん(ヒロイン)に「またしょうもないもん書きましたね」と言われそうな本なのだけど。

個人的には森見登美彦風の独特な古臭い言い回しがとても好きで、明らかにストーリーよりも文章を楽しむ本。
あと、キャラも秀逸!小津みたいな奴は学校に一人くらい必ずいたような。樋口師匠も魅力的、他作品でも登場するほど著者の思い入れが強いのでしょう。

きっとこれからも思い出して再読する本だろう。
ああ、心地良い。


STAP騒動の真相

2014-04-11 | 科学
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昨日の話題はツイッターもテレビもこればっかでした。巷の話題独占状態でしたね。前から記事にしたいと思いながら敷居が高いかなあと遠慮していたけれど、もうこうなったら書かないほうが不自然かとも思い自分なりの意見を吐露します。

いや、自分の意見といっても結局はいろんな専門家などの意見に感化された果てでしかないのだけれど。そして学問的見地から述べられるほどの知識はないので印象論に終始するのだけど。

STAP細胞=刺激惹起性多能性獲得細胞というのが正式名称だそうで。
ネイチャー発表の論文に複数の疑義がありその存在が疑われていることはみなさんご承知でしょう。

理研による調査発表に反論する形で発見者小保方晴子さんが昨日記者会見して、「(STAP細胞は)ある。200回位作成している」と答え世間をあッと言わせました。

涙を流して訴える姿にはなかなか男心をくすぐるものがあって、ツイッターでも「小保方さん頑張れ」的な意見が多かったように思いました。

ぼくが感じてたのは、世界中で追証実験がなされいずれも失敗している事実・論文が捏造にまみれていること・マウスでの実験で若山教授が別系統のマウス細胞を渡されたこと、などからSTAP細胞は存在しない小保方さんは嘘つきと。

ネットでいろんな記事やブログなど読み漁って以下が物事の本質が一番わかり易いと思いました。

『謎はすべて解けた!! それでも、STAP細胞は捏造です ~金融日記』
一部引用します。

200回ということは、1週間毎に成功したしても、4年もかかるのだ! テラトーマを作るのもキメラマウスを作るのも数週間かかる。ちなみにテラトーマは小保方晴子自身の実験だが、キメラマウスは若山氏が小保方晴子から受け取ったSTAP細胞を使って実験している。ところが、Oct4-GFPの発現のチェックはすぐにできるのだ。つまり、彼女が「実験成功」と言っているのは、このOct4-GFPの実験のこと以外にありえないのである。


このOct4発現というのは、細胞内に自己複製のタンパク質ができていることを示し、それは万能細胞であることの必要条件のひとつになるのだそうです。

今回のSTAP細胞の研究では、遺伝子操作をしておき、Oct4が作られると同時にGFPもできて光るようにしたマウスが使われるのである。これがOct4-GFP発現だ。まだ、世界中が称賛していたときの小保方晴子のプレゼンテーションに頻繁に出てきたあの緑色の光る細胞だ!


こうした遺伝子操作されたマウスの体細胞を酸に30分ほど晒すと、実際に多くの細胞が光り出すのである。これは死にかけの細胞の自然発光だったり、実際に酸で晒してストレスを与えると、初期化されたわけではないが、Oct4-GFPの発現が観測されることがよくあるのだ。
たとえば、先日、香港の研究者が掲示板にバカンティのレシピに従ったらSTAP細胞の兆候が見えたと報告して、後に訂正したのはこの現象である。


そんなわけで小保方さんはとても初歩的な勘違いでSTAP細胞を作成したと思いこみ、またこれがきっかけで理研でユニットリーダーに抜擢されたそうです。

理研での地位そして莫大な給料と研究資金、それらは彼女に成功へのプレッシャーとして大きくのしかかったことでありましょう。やがて期待を裏切らないよう小さな嘘を積み重ねていった・・・

あるいは彼女の中ではこれらは真実なのかもしれません、人間はたやすく記憶を操作してしまうこともあるので、盲信していれば黒も白に見えるわけで。

昨日の会見で徹底抗戦を宣言し一部の世論を味方につけた以上、幕引きは簡単ではないでしょう、やがて世間は忘れ去るのですが、残るのは日本の科学に対する国際的不信感なのかもしれない。これって案外大きな痛手かもしれません。

発見直後の華々しい会見では世紀の大発見を若く美しい女性が成し遂げたことを日本中で祝福する声が溢れ、ぼくも大いに胸踊りました。それだけにこの真相は心より遺憾です。


『マイナス・ゼロ』広瀬正

2014-04-08 | 読書

内容紹介
タイムマシンを駆って、懐かしい少年時代の世界へ戻った男…。恐るべき空想力と奇想天外なアイディア、奇抜などんでん返し。日本SF史の記念碑的存在となった著者の第一長編。(解説・星 新一)


日本SFの記念碑というので読んでみた。

1960年代の作品ってことで、さすがに古さは感じるのですが、昭和7年の東京を克明に描いてあるところはホントに自分がタイム・トラベルしたみたいな感覚を味わえたかな。

そして奇抜な結末は驚愕でした!たまげました。
読後数日経っても、未だに「あれはつまりは?どういうことか?」なんて考えてしまう不思議なタイムパラドックス。これだけ矛盾に頭を捻ってしまうということはすなわちタイムトラベルは不可能なんだろうなあ。

ただ、今回古典SFに触れて思ったことは、自分はホーガンなどいわゆる「ハードSF」が好きなのであって、そこにある科学的裏付け(的なもの)があってこそ興奮も発生するのだなと。

クオークとかニュートリノとか陽子崩壊とか出てくると、ゾクゾクしてくる、って我ながらどういう体質なのかw

あ、難癖つけてるようですが、傑作なのは間違いないです。SFとしてより奇想天外ファンタジーとして読まれることをお薦めします。


成功とはなにか?

2014-04-06 | 雑記
暇な時よくバッハのことを考えます。


ヨハン・ゼバスティアン・バッハは、18世紀のドイツで活躍した作曲家・音楽家。 バロック音楽の重要な作曲家の一人で、鍵盤楽器の演奏家としても高名であり、当時から即興演奏の大家として知られていた。後世には、西洋音楽の基礎を構築した作曲家であり音楽の源流であるとも捉えられ、日本の音楽教育では「音楽の父」と称された
~ウィキペディア



上の記述は間違いではないけれど大事な点が抜けている、生前は現在に比べたらさほど人気者ではなかったそうです。生涯音楽の仕事に携わったけど職探しには常に苦労したあとが見られるし、J.Sバッハよりその息子たちのほうがよっぽど才能を買われていたし、同時代に活躍したヘンデルに比べたらだいぶ格が劣ったそうです。

オルガンの超絶技巧はかなりのものだったそうだけど、作曲家としては「古い技法」というレッテルを貼られていて、単に技巧派オルガニストとして認知されていたような。その数多の偉大な曲も忘れ去られ楽譜が散逸してしまったものも多いとか。

死後50年を経てメンデルスゾーンが再認識し世に広めることでやがて今に至る「音楽の父」としての地位を確立するのですが、場合によっちゃ忘れ去られたままだった可能性だってあったはずだ、と。

まあ生前ある程度の評価はあったので一応音楽の仕事で生計を立てられたわけだけど、自己実現的な見地からは成功者ではなかったのでしょう。少なくとも本人はいささか不本意であることを手紙などに残しています。

一方その息子フリーデマンやエマヌエルは人気作曲家となり、J.Sバッハは彼らの父として知られる存在に過ぎなかったという逸話もあって。

ところが現代ではそこらじゅうでJ.Sバッハの曲が聞かれるのに対しフリーデマンの曲なんて1曲も知らないでしょ?知ってる人もいるだろうけど有名なフレーズとは言いがたいでしょ。

で、考えちゃうのです、生きてる間に自己実現し名声を手に入れることと、死後音楽の父と呼ばれるほど信仰を集めること。どっちがどうなのだろう?

死んじゃったらどんなに褒められたってわからないのだから「生前」のほうが良い気もするけど、死後神のように崇められるのもなかなかできることじゃないし。

ぼくが震えるほどの感動を受ける曲を作った人が案外庶民として平凡な人生を送った事実。それを思うと、なんだかやるせない気持ちになるのでした。


『至高の音楽』百田尚樹

2014-04-02 | 読書

内容紹介
19歳のときにクラシック音楽にめざめて以来、ほぼ毎日クラシックを聴いている作家百田尚樹が、ベートーヴェン「運命」、チャイコフスキー「白鳥の湖」などの不朽の名曲や、『永遠の0』『海賊とよばれた男』を執筆中に聴いていた曲など計26曲を紹介。クラシック初心者にとっては最高の入門書であり、ファンにとっては百田節にのせられて夢中になって読めるクラシックエッセイ集である。
また、本書で紹介する「聴きどころ」だけを集めたCDを付録として添付。百田さんが「最高に贅沢な一枚」と断言する特別編集盤である。


『永遠の0』で号泣させられた百田尚樹、たまにテレビに出てると小説から想像付かないオモロイおっさんで、その人の音楽エッセイということで即買い。

期待以上に面白かった。名曲や巨匠のエピソードも興味深いけど、論評ひとつひとつが歯切れよく爽快ですらある。音楽評論家と違って共感しやすい直情的な言葉でストレートに評してくれるのが痛快。

私は他人から「ベートヴェンは好きでない」と言われても腹を立てないが「シューベルトのどこがいいの」と言われたらそいつとは友人にはなりたくない

こういうこと言っちゃいますw
NHK経営委員として発言が問題になってるらしいけど、思ったことをそのまま表す人だから仕方ないっすなw

しかし所蔵CD2万舞超!ベートーヴェンの『エロイカ』だけでも100枚超えって、尋常ではない。まあそれだけに説得力があるっていうか、クラシックへの情熱が半端無くて、単純なぼくはかなり感化されたようです。

読後youtubeで『エロイカ』を繰り返し聴いているのだけど1時間近い曲なので大抵途中までになっちゃう、でも著者の言ってることがわかったのは「繰り返し聴くことで真の魅力が理解できる」ところかな。前にも書いたが、やっぱベートーヴェンはロックだ。フレーズが飛び跳ねてる。

これは続編を期待したい。これほど情熱を持っている著者なら必ずや書いてくれるだろう。

付録CDは蛇足だったかも。すごく短く収録されて曲の良さがわかりづらい。Youtubeで検索してすぐ聴けるしね。そのぶん安くしてくれたほうがよかったんじゃ。