石匠風間ブログ!

読書、音楽、雑学

『夜中に犬に起こった奇妙な事件』マーク・ハッドン著

2008-06-28 | 読書
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数学や物理では天才なのに、他人とうまくつきあえない自閉症の少年クリストファー。ある夜、近所の飼い犬が殺された。彼は探偵となって犯人を捜しながら、事細かに記録を取る。やがて驚くべき事実が明らかになり…事件を通して成長していく少年の心を描いた、『アルジャーノンに花束を』をしのぐ感動作。(解説より)

以前自閉症者のことを書いた、世間の認識と違うこと、彼らのなかには有名な学者や芸術家もいること。彼らは知能的に劣っているのでなく健常者の常識が通じないマイノリティなだけであること。
この本では自閉症を観察するのでなく、自閉症者自身に語らせる形式を取ることでリアリティが出ている。

この本の特徴であるひとつに章立てが素数になっていることがある、つまり2章から始まり3,5,7,11と続く、最初いきなり落丁かと思った。クリストファーが素数が好きで4桁の素数まで諳んじていることに由来している、このエピソードで『ジョジョの奇妙な冒険』を思い出した。そういうキャラが出てくるのだ。

他にも数学に関わるエピソードがたびたび出てくる。けれどベースは犬殺しの犯人探しであり、クリストファーの人生に関わることである。そのてんこ盛りななかで絶妙のバランスがある。今までにない面白さを味わえた。

しかし、この本が児童書というのは驚きだ。あ、そうか、自閉症だから健常者の複雑な心理描写がない分こどもでも読みやすいってわけか。いや~新鮮だわ、これ。


月に一度のバンド練習

2008-06-26 | 音楽
申し訳ないんだけど今回は酔った勢いで書くので脈絡がめちゃくちゃです。

そう、月に一度というのがすごくいい間隔!
ちょうど音楽から離れてちょっとさびしいなあと思い始めた頃にバンドがある!これは絶妙のタイミングで、いわば“まったりとしてしつこくない”ってとこかな。

今回はビートルズの「へルタースケルター」を追加、8年前にビックロフトで演奏済みだけど、やっぱ気持ちいい。すごく単純な構成でありながら尋常でないタイム感とでも言ったらいいのか、こんな名曲なかなかない。U2やエアロスミスがカヴァーしているが、オリジナルにはかなわない。

ってことで、ビートルズの『ホワイトアルバム』を久しぶりに聞いて、改めて震えてしまった。
高校生のときにレコードを買って散々聞いてきた作品なのにあれから20年以上経っても驚くほど新鮮!なんなんだ!この異様な鮮度!もう奇跡としか言いようがないだろ!

羽生善治は将棋の神様に一番近づいただろうが、ビートルズは音楽の神様の隣に並んだのだろう。ハンパないっすよ!ほんとに。ああ、自分で書いてて意味不明だ、面目ない。


死刑制度について

2008-06-23 | 社会・出来事
朝日新聞が紙上のコラムにおいて鳩山法相をを「死神」と揶揄した件は、相当話題になったからご存知かと思う。

平成5年以降の法相の中で、鳩山法相が最も多い13人の死刑執行を行ったことに触れ、「2カ月間隔でゴーサイン出して新記録達成。またの名、死に神」とした。(産経新聞)
そもそもそれ以前の法相が宗教的理由とか様々言って執行してこなかったから死刑囚がたまりにたまっていたことも原因であるし(職務怠慢で非難されないのが不思議)、法務大臣としてのきわめて合法的な判断を批判されてはたまらないだろう。これは朝日新聞も非難されるべきだろう。

と、そう思ってたら、掲示板やブログなどで意外にも朝日支持の意見が多いのにびっくりした。どういうわけだか読んでみると、微妙に論点が違うことがわかる。
鳩山大臣の判断の是非や朝日新聞のマスメディアとしての責任ではなく、もっと根幹的に死刑制度そのものに対する反対者が朝日を支持するにいたっているようだ。

ぼくは個人的には特段死刑制度には反対じゃない。むしろサカキバラ事件の犯人や女子高生コンクリ殺人事件の犯人がのうのうと社会生活を営んでいることに単純に怒りを覚える。事件当時心神喪失状態だとか未成年だとか、そんなことで許されてしまうのって被害者関係者はもちろん多くの人が納得できないんじゃなかろうか?

ただ、死刑制度反対を訴える人の理屈を読むと、うん、確かにそういうこともあるかなと納得しそうになる。なので、強くどちらかを主張できないのがブログとして成り立たないかなと、自信のない文章になってしまうのだけど、ただもし死刑をやらないのならそれ相応の今より重い刑罰を用意すべきだとは思う。それはそれで「非人道的だ」とか問題になるのだろうが。

だいたい終身刑って終身じゃないところがまずいんでは。ほとんどが途中で出所できるんでしょ。
人間は理屈では生きられない、最後は感情に左右される生き物だから、死刑廃止って相当難しいと思う。たとえばぼくの身内に被害者がいたらこんなやわな文章になってないだろう。

ところで主要先進国では死刑制度があるのはアメリカと日本だけだというが、情の部分で極刑の無い国の国民は納得してるのかな?不思議だ。


アンプも披露

2008-06-21 | 音楽
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披露したくなるほど良いアンプです。フェンダーのホットロッド、とはいっても実はぼくの所有物じゃない、最近一緒にバンド練習してる某歯医者がうちに置きっぱにしてる。

フルチューブ(真空管)アンプなので良い音がするが音量が馬鹿でかいのが難点。近所迷惑だから鳴らさないでいたが、月曜昼間ならいいだろうと鳴らしてみた。
いや、だめだ、想像以上に音がでかい、かなりボリューム絞ってもでかい。それでもこのアンプ独特の音色には抗えない。なんというか、しっかり野太く歪みながらも甘いのだ。

野太く歪んで甘い音色というのをどう説明したらいいか難しい、言うなればバニラコーヒー(グアムとかのお土産に多い)のような香りが甘くて飲むと苦いみたいな感じかな。
なんて考えながら酔いしれて弾いてたら
「あの、音量下げてくれませんか」
と、ご近所さんに怒られてしまった。

平謝りして事なきを得たが、フェンダーももうちょっと弾く側の立場も考えて欲しいものだ。まあ大きな音だからこその優れた音色だったりもするから難しいのだろう。
事のついでにぼく所有の普段弾いてるやつ
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マーシャルのVS100。
これなら「パワーディメンション」という機能があって歪ませながら音を小さく出来る。
この子は一昨年のオヤジバンド大会で大活躍してもらった、すごくありがちなひずみ方をする。

マーシャルはよくあるハードロック的なひずみ、フェンダーはちょっとブルージーな個性的なひずみ。音楽のジャンルが違う。ギタリストと同じで優劣つけるものじゃないけど、フェンダーはツイード貼りで見た目が渋い!マーシャルはギター小僧みたいで、40にもなるといささかこっぱずかしい。


羽生永世名人

2008-06-18 | 将棋
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ついに羽生善治が名人に返り咲いた、と同時に通算5期獲得で第19世永世名人資格者となった。
ついに、というか、ようやく、だな。94年にはじめて名人位を獲りそのあと2期防衛し7冠をとったりして20世紀中に永世名人になることは確実視されていたのだから。それから10年以上かかってしまったことは、不思議としか言いようがない。

弱いから獲れなかった、ではすまされない、なぜならこの10年も羽生は第一人者としてふさわしい成績を残しているし、タイトル獲得数も今回ので69個目だよ!将棋知らない人にはピンと来ないかもしれないが、尋常じゃない数字である(王座16棋王13王位12王将11竜王6棋聖6名人4)。ほとんどのプロは一度もタイトルを獲らずに終わるのだから。
ちなみにほかのタイトルでは永世位をほとんど獲っていて、これで「永世6冠」となった、あとは永世竜王だけ。竜王も後1期で永世だから夢の永世7冠が現実的になった。

単年7冠制覇('96)後の羽生は、勝利に執着しなくなったとよく言われる。勝ち負けよりも内容のいい将棋を追及しているとか。確かに羽生の将棋は見ていて面白い。見ている人をあっといわせる差し回し、これこそプロフェッショナルだ。
けれど「7冠の頃より数倍強くなっている」とは佐藤康光2冠の言葉。つまり回りも引きずられて強くなっているということか。

しかし今回の名人戦を戦った羽生と森内、この二人のタイトル戦ではほとんど先手が勝っていた。今回第3局で歴史的大逆転を見せて後手番の羽生が勝ったが、ようするにほとんど先手番が勝つということはこの二人の将棋は現在では最も将棋の神に近いところで行われているのかもしれない。以前このブログで森内をこき下ろしたが、やっぱ5期も名人位をとる人はぼくらのうかがい知れないレベルで違うのだろう。

それぞれ9時間の持ち時間で戦う一局の将棋のなかで考えることを、もし文字で表現できたとすると何万冊単位の百科事典ができあがるという。もうそれは想像を絶する狂気の世界だろう。

さて、永世名人資格を獲得し一段落したいところだろうが、羽生は忙しい。なにせ木曜日には橋本と王位の挑戦者決定戦、土曜は佐藤と棋聖戦第2局が待ち構えている。活躍しすぎだろ。

スポーツと違っておっさんがトップを走れる将棋に魅力を感じてしまう。なんでもっと人気がないのか不思議だ。


将棋盤、将棋駒を披露

2008-06-14 | 将棋
そういえば先月ゲットした新しい盤と駒について紹介してなかった。
まず、それまで使ってたのがこれ↓
100きん

盤も駒も100円ショップで買った。盤は薄ベニヤ製で悲しくなるほど薄い。思い切り駒を打ちつけたら簡単に割れそうだ。駒も柔らかくて均整がとれてない。それでも今までは(2年くらい)特に不満なかった、なんでもいいやと思っていた。

なにせちゃんとした将棋棋具は値が張るので(ウン十万もざら)、興味がわかなかった。
ところが、ヤフーオークションで結構ちゃんとしたのが格安であるじゃないか、それを発見して俄然熱が入った。紆余曲折の末、まずは盤をゲット↓
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新桂製2寸厚、駒台もついて4600円、まずまずでしょ。やっぱ厚みがあるといいわ^^

で、早速指したいから唯一所持の駒=100金駒をおいてみたら、全然だめ!話にならない。。。サイズが違うんだもん。升目の中に置くと駒が小さすぎてアンバランス。これは駒もいいものをゲットしなくちゃ、ってんで、オークションで落札↓
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おお!やっぱ違う!硬くて均整が取れてる。ちなみに新つげの彫り駒で駒箱駒袋付で約3500円。
先ほどから新桂とか新つげとか、“新”がついているのは大抵外国産で、リーズナブル、マニアからみればバッタもんだろう、けどぼくごときには十分。
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ああ、なんかすごく心地よい、、、収まりがいいっていうのか、あるべき姿ってか、満足まんぞう。

まあそんなわけで念願成就なわけだけど、まだせがれとしか指してない、持ち腐れ状態。そんでもいい!これらを持っていること自体が妙に心地よいのだ。数年後に押入れの隅なんてことにならないように祈る。


給食試食会

2008-06-12 | 教育
今日は中学校で給食試食会があった。ふだん中学生が食べているものを食べてきた。
とてもおいしかった、といってもぼくの場合いささか味音痴気味なので料理関係には自信を持って断言できないけど。

育ち盛りの中学生のメニューとしては思ったより量が少ないなと感じた。でも食べ終わってみるとそれなりに満足なのはむしろ普段が食べすぎなのかもしれない。腹八分目が理想なのだとするとこれはベストな量なのかもしれないと、日ごろのメタボ環境をやばく感じた。

ぼくが学生のころは給食といえばパン(まずかったなあ)だったが、今ではほとんどご飯。食育の観点もあるがなにしろ小麦が急騰してしまったそうだ。日本人が日本で作った米を主食にするのはきわめて健全だと思う。

もちろん栄養バランスはしっかり計算され、成長期の子供に理想的な栄養を網羅している。
深谷は野菜においては全国でも有数の生産量を誇る、その地産の食材をふんだんに使い栄養価を計りながらしかも生徒たちにある程度の満足を与えて調理するというのはすごいことなのだろう。

これだけ質の高い仕事をしてもらって給食費を払わないなんて言語道断だ。


『夢をかなえるゾウ』水野敬也

2008-06-09 | 読書
ぞう
ベストセラー本にはあまり興味を持たないのが常。このたび娘(小6)が友達から借りてきた。
「面白いから読んでみて」と強く勧められたそうだ。
ほほう、小学生にもうけるのか、と、ちょっと興味が出てちょろっと読んでみた。

とても文字数が少なく文体も簡単なので2時間くらいで読み終わったが、これはバカに出来ないなと考えを改めた。笑えてためになるという新ジャンルを開拓したと言ったら大げさか。いわゆる「成功術」とか「自己啓発本」の類なのだけど、他のどの本にもない魅力はあるな。堅い話をやわらかく進める技術は一流だと思う。これはまだまだ売れると思った。

どこら辺がどう面白かったかを詳しく書きたいけど、今回はぜひみなさんに読んでいただきたいので内容には触れないでおこう。一読の価値あり!

あ、でも過剰に期待されると困るので一言添えておくと「涙が止まらなかった」とか「生き方が変わった」とか、そんなことはないから。小学生ならもしかしたらそういうこともありうるけどね。
残念ながら身も心もおっさんなので。


PTA理事会

2008-06-07 | 教育
昨日は理事会、特筆すべきことなし。

この「特になし」という状態はPTAにとっては好ましいのだと思う。PTAが退屈だなんて贅沢なことを言ってはいけないのだ。小学校のときの理事会はいろいろあって、それはそれでほろ苦くも良い思いではあるのだけれど。

こども100番
これは「こども110番の家」プレート。登下校中に危険を感じたときにここに駆け込むことができるという表示、希望者に理事会で配られた。

まあ人通りがまったくないところでは効果は薄いかもしれないが、実際に子供が駆け込むことよりもこれがそこら中に張ってあることでこの地域は防犯意識が高いのだというアピールを強く打ち出せる。犯罪予備軍にとって実は結構脅威になるんじゃないかな。

もしほんの数パーセントでも犯罪率が下がるならみんなで張るべきだと思う。


月9ドラマ『CHANGE』

2008-06-02 | テレビ・映画・芸能
キムタクが総理大臣になるドラマ。
元来キムタクは好きなほうで(武士の一分以来)、毎週見ている。

正直言うとわりと冷ややかに観ていた、現代のおとぎ話といっても初当選から数ヶ月で35歳の元教師が総理になるわけないだろ、ってか、制作側はちょっと国民を馬鹿にしすぎじゃないかなと、そういう感じでありながら今日の4話まで欠かさず見た。

国民の政治不信をかわすためにスケープゴードとして老練な実力政治家によって無理やり仕立てられたかませ犬。しかし、予想に反して実直素直な言動が永田町の常識をぶち壊していく、そして関わる人も徐々にその魅力にとらわれていく。

そして、実はぼくも少し魅了されつつある。
もしかして“あり”なんじゃないかな、と。いや、ストーリーのこまごました所は無茶だらけだけど、このドラマが伝えようとしている核の部分には論語や武士道に通ずる哲学があるのではないかと。

そもそもこの国は日本国憲法という世界常識からずれたバックボーンを持っているじゃないか。
昨今「憲法9条の改正」ばかり叫ばれてきたが、ぼくもずっとそう思ってきたがどうも違う気がしてきている。太田光の『憲法九条を世界遺産に』がきっかけだけど、実はこの憲法は使いようによっては強力な武器=外交手段になりうるのではないか。

アメリカと協調してミサイル防衛構想が進められているが、とりあえずの形になるのに2000億かかるそうだ。で、できあがったところでたいした効果がないらしい(ミサイルでミサイルを打ち落とすってのが土台無理がある)。

それならばその2000億で対外交渉のエキスパートを育てるべきだ、というブログを読んだ。歴史を紐解けば、この国には日露戦争において外交戦術で戦局を有利に運んだという実績がある。もちろん戦闘自体も熾烈なものだったが、その影で暗躍したのが欧米各地で飛び回った外交官であったことはあまり知られてない(詳しくは『坂之上の雲』)。つまりいざとなれば外交はミサイルよりも強いってことだ。

っと、この手の話になるとつい大きく膨らんでしまう。
要するに面白いドラマなのでお奨めですってことなんだけど。

古参の政治家や官僚を敵に回しても怯まないってのはちょっとすご過ぎるけど。「自ら顧みて直くんば百万人と雖も我行かん」ってのはまさにこういうことなんだろうなあ。