石匠風間ブログ!

読書、音楽、雑学

小林よしのり著『ゴーマニズム宣言 戦争論』

2004-02-23 | 読書
「歴史を知らないということはどの木に生えているかを知らない葉っぱのようなものだ」とは去年コラムで紹介した名言のひとつ、我々はじいちゃんばあちゃんたちが過酷な時代を生き抜いてきたからこそ今こうして平和を謳歌していられるのだ。

「ゴー宣 戦争論」は主に先の大戦=大東亜聖戦について、そしてそこから派生する現代日本の問題点について鋭く切り込んだ著書だと思う。ぼくはこの本(というか漫画なんだけど)を読んでまさしく大ショックを受けた。後頭部をボブ・サップあたりにひっぱたかれたくらいの衝撃だった。もしかしたら洗脳が解けたときというのはこんな感じなのかもしれない。

さて、大東亜聖戦において敗戦国となったわが国は米国の統治下におかれ二度と台頭してこないようにGHQによる高度の洗脳を施された。つまり「戦前戦中の日本は悪の帝国であり我々の先祖は他国にひどいことをした。だから原爆を落とされても仕方がないのだ」という自虐史観を植え付けられた。

ぼくも学校で習ったまま日本は悪い国だったというそのままを信じきって生きてきた。親も教師もそう説明していた。だから連載開始時から大好きだった「ゴーマニズム宣言」で小林よしのりが従軍慰安婦問題に異議を唱えたとき、ぼくは反発を覚えた。かわいそうな慰安婦たちに何てこと言うんだ!と嫌いになりかけた。

ところが、小林は様々な文献を出してきて従軍慰安婦はマスコミが取り上げるような悪行ではなかったことを論理的に解き明かしていく。それを読みながらぼくの中でまずは混乱が起こった。さらに小林は先の大戦に到る経緯を日本の立場からじっくりとしつこいほどに検証していく。韓国併合や満州国設立が本当に悪行だったのか?本当に南京大虐殺はあったのか?

小林の提示する資料に寄ればすべてNOである、南京大虐殺は30万人とあるが当時の南京には2万人しか住んでいなかったし慰安婦の記録も無理やり拉致されて連れてこられたという記述は最近書かれたもの以外にはない当時の日記のようなものから軍人の中で楽しい暮らしぶりを書いているものさえある。現代では侵略と言葉を改ざんされているがアジアに進出した日本は様々な国のインフラ整備を怠っていない、なにより当時の日本軍は武士道を重んじ世界でもその規律の厳しさが伝えられていた。もちろんこれに対して左翼などからその資料は間違っているという反論もあるし、50年前の事実を議論するのは難しいことだ。

混乱したぼくにもわかることは、戦争に正しいも悪いもない、戦争というのは国家の究極の外交戦略で、各国とも自国の人民・富を守るために戦略をきめている以上ぼくたちの先祖が悪の枢軸みたいな言われ方をするのはおかしいだろう。だから百歩譲って旧日本軍が悪いことをしたとしてもそれはお互い様の状況であった、ならばその子孫であるぼくたちまでもが先祖を悪くいうのは間違っている!どこの国でも自分の国を贔屓した思想・発言をしている、日本を贔屓できるのは日本人しかいないじゃないか!?

でも、はっきりといえることは戦争ってのは負けちゃいけないんだなということ。とすると負けが見え見えでありながらも欧米列強に最後まで立ち向かった我らが先祖は日本人にとっては英雄だろう。戦犯なんて言い方はむごすぎる。

勝ち続けた米国は今もアフガン・イラクと自国の利益のためだけに他国を蹂躙し続ける。ロシアもチェチェンを虐待し中国はチベットにおいて昔さながらの虐殺をし続けているという。中国のはまったくマスコミに登場しないところが怖い。

ぼくらは自分の子供たちに誇りを持てる国家像を伝える責務がある。いつまでも大国のご機嫌取り的な外交をしていてはそんなこと伝わるか!いつまでも北朝鮮になめられていていいのか?北朝鮮に強い態度で出るにはノドンの1~2発を覚悟しなくてはならないという、米国は日本が叩かれてからでないと動かないらしい。


Over The Mountain

2004-02-21 | 社会・出来事
先日は花園アドニスでアルピニストの野口健氏の講演会を見てきた。深谷青年会議所主催の無料講演会で、結論から言うととても面白かった。野口健は僕よりも7歳くらい若いが、エベレストや富士山の清掃登山で知られた有名人、何年か前にコーヒーのCMで「違いのわかる男」とかって出てた人。それくらいの知識しか持ってない僕には正直言って彼のことを胡散臭く思っていた。だって清掃登山なんてむちゃくちゃ偽善者っぽいじゃん。

まあ、野口健は話術に長けていて思わず話にのめりこんだ面もあるんだけど、実は割りと単純に日本に住む日本人として(彼はハーフだが)国の水源が汚れるのがいやだという裏も表もない衝動的な動機から始まったようだ。詳しく言うとエベレストへ登頂した際の日本隊のごみの多さにとても恥をかいたことからエベレスト清掃が始まり付随して自国をきれいにしだしたわけだ。

そして、その体験を巧みな話術で日本全国に講演して回る、自分の言葉で大衆に伝えるというここんとこがみそだと思う。マスコミに任せたら一番大事なところが伝わらない恐れがあるから。彼の講演は活動を実際に現場で体験した人特有の生々しさがある。

清掃登山もさることながら、エベレストへの登頂のエピソードはまさに平和ボケした我々の常識では想像できない話だった。何よりエベレスト山頂付近には死体がごろごろ転がっているというのは結構知られてないんじゃないか?

その彼が今富士の樹海の清掃に取り組もうとしていて、様々な妨害にあっているそうだ。飼い犬が殺されたり石を投げ込まれたり。樹海には産廃だけでなく殺した人間を捨てるのにも都合いいそうなので、その筋の人からの妨害らしい。そこまでしてやるんかよ!とも思ったが、当人はとても生き生きして楽しそうだ。命を張って何かをやる楽しさみたいなものを感じた。

野口健氏のホームーページでは掲示板に書いたことを本人がくまなくチェックしているそうなので興味ある人は一度ご覧ください。


老兵は・・・

2004-02-14 | 政治経済
先日、はるばる入間まで行って土屋義彦前埼玉県知事の講演を聴いてきた。
土屋前知事は知事の頃何度か話を聞いたことがあるが、割と面白い印象があった。ところが、今回はがっかりさせられた。

演題は『地方豊ならずして国は栄えず』、それにもかかわらず最初から苦労話・自慢のオンパレード、知事時代の実績にいたっては用意した資料を読み上げるという役人さながらのスピーチ。しまいには講演時間をオーバーして係りの人が止めに入るがそれでますますヒートアップ、会場もしらけたムードに包まれて最悪の講演会だった。

とにかく演題とはおよそかけ離れた内容、そしてわざわざ読み上げなくても資料を見れば分かるような自慢話に段々腹が立ってきた。こんな話を聞くために仕事も早く切り上げて遠く入間の地までやってきたのかと思うといやになってくる。今後彼が講演する機会はなかなかないと思う。

でも、腹が立ったそのあとになんだか土屋さんがかわいそうに見えてきた。知事時代はたくさんの側近に囲まれて悠々自適の明るく楽しい毎日だったろうに、今やただの人。いろいろと政治上の裏エピソードを持っていても耳を貸す人もなし。そんなときにこの講演依頼、簡単に引っ込みたくないのも分かる。

でも、饒舌だったスピーチ技術はどこへ行ってしまったのだろう?もう80も近いと聞く、歳をとるということはこういうことなのだろうか。


UNFOGETTABL

2004-02-11 | 地域・暮らし
先日ラーメン屋で仲間4人で芸能人について交わした会話。
「あの娘かわいいよね、え~と、なんとかエミリ」
「辺見エミリ?」
「違う違う、ほら、もうひとりもっとかわいくてお嬢様系で」
「ああ、あれね、あのえ~と、なんだっけ、なんつったっけ?」
「あ、わかった、あの、ほら、『三井住友ビザカード』の」
「そうそう!その、それ」

というわけで『中山エミリ』が出てこない。オヤジ性健忘症は自分だけじゃなかったんだと少し安心した。

しかし、最近のぼくはひどすぎる。ほとんど名前が出てこない。さっきも『高島礼子』が出てこなかったし、「上戸彩」もわかっているのに出てこない!これはちょっとひどい、もしかして本当に初期アルツハイマーかもしれない。

ただ、言い訳をすると、昨今のテレビってめったやたらと画面にテロップが流れる、昔だったら外国語を訳した文章が下に出ることはあったが日本語をそのまま出すということは考えられなかった。タレントの名前も頻繁に下に写る。これって記憶の妨げになってるかも。

携帯電話が普及し、みんな電話番号を覚えなくなった、というか、覚える必要性がなくなった。こういう文明の発展がぼくの脳みそを弱らせてはいまいか?そんなふうに人のせいにすると幾分か心が晴れるのだった。


なぜ宇宙は有限と言えるか

2004-02-09 | 科学
最近『ホーキング、未来を語る』という本を読んでいる。図書館で借りたのだが、去年の量子論入れ込み以来ぼくはいくつかのクエスチョンを抱えたまま日々を過ごしている。大きな疑問のひとつに「光とは何か」というのがある。このコラムの量子論の回に苦し紛れの説明を書いてはいるが、いろんな本を読むたびに分からなくなるのだ。中には「光は実在しない」なんて言ってる学者もいて混乱は深まるばかり。

そんなわけで答えが載ってそうな本を探すのが図書館でのぼくの営みとなった。この本は大ベストセラーとなった『ホーキング、宇宙を語る』の続編で、さらに専門的な話に及んでいる。まだ全部読みきっていないので光とは何かについて未だはっきりしない。

ただ、読んでいてホーキングが偉大であることは随所に感じられる。それは難しいことを分かりやすく表現する技術に長けていることにつきる。とはいってもやっぱり難しくて何度も読み直して輪郭がやっとぼやっと浮かぶくらいだ。その中でもとても明瞭な文章が表題の答え。

なぜ宇宙は有限と分かるのか?端的に言うと、あるいは詩的に表現すると「夜空が暗いから」分かるのだ。
これはホーキングなどの主流派の科学者が支持するビッグバン理論をなぜ証明できるのかということ。ビッグバン理論は、宇宙は無限に広がるものではなくおよそ150億年前に特異点と呼ばれる小さな一点からビッグバンという大爆発をもって始まったという説で、論理的に始まりがあるということは終わりがあるという帰結に到る。

逆に宇宙がもし無限であったらどうだったか?夜空は無限の恒星の光でとても明るかっただろうと予測されるらしい。暗い夜空に輝く星星を地道に研究すると150億光年より遠くからの光がないことが実証されこれによって有限性が立証された。本当はもっと様々な証拠があるんだけどね。

じゃあ、ビッグバン以前はどんな世界だったのか?と考えるのが人情だ。ところがビッグバン以前には時間もなかったんだって!だから何も無い。この考え方はいささか理解に苦しむところだが、一般相対性理論によって時間と空間は密接に絡み合っており、ニュートンの唱えた『絶対時間』『絶対空間』はありえないという結論にたどり着くそうだ。時間は相対的なもので変化をするという前提に立てば時間には始まりがありやがて終わりが来るのは用意に理解できる(らしい)

いやあ、すっかりはまってしまった。ホーキング万歳!


テレンス・リー氏講演会

2004-02-04 | 社会・出来事
今日は蕨市までいってテレンス・リー氏の講演会を見てきた。テレンス・リーとは最近テレビに出始めた元傭兵、プロボディガードという肩書きのヒト。毎週日曜日の「サンデージャポン」に出演しているときはまるっきりタレントなので、まあB級タレントのつまらない話だろうとまったく期待していなかった。
ちなみに会場である蕨市は小さいながらも県内での犯罪発生率がダントツに高い町でそれを危惧する地元青年会議所によって企画された講演会である。

そりゃ傭兵やってればいろんな修羅場を見てきたろう、敵を倒す様々なノウハウを持っていることだろう。でもどんなに危険な体験を語ってもらってもぼくたちの生活の中でそれが役に立つとは思えない。

ところが、聴いて驚いた。予想外に面白い講演だったのだ。ぼくの想像とは違い、氏はまず防犯の根底から話を始めた。「防犯といえば戸締りや護身用具などを思いつくだろうが、これらは『守備的防犯』、では『攻撃的防犯』とはなにか?究極を言えば犯罪を受けて立ち向かうのでなく犯罪を生まない地域づくりだ」B級タレントだと思ってた人から地域つくりの話しが出るとは思わなかった。

そして前ニューヨーク市長ジュリアーニ氏の話をしてくれた。ジュリアーニは市長になるとまずニューヨークの地下鉄などの落書きをきれいにしそのほかにも街の清掃美化に努めた。なんだそりゃ?と思っていたら町をきれいにすることで犯罪発生率が如実に下がったそうだ。

これは古今東西を問わず、昔からきれいにしている街の犯罪発生率は低いそうだ。たとえば江戸時代の100万人都市江戸、当時世界最大の人口を誇る江戸はごみが増え異臭が漂い始めるにいたりその美化政策を幕府直轄ではじめた。

さらに江戸では現在で言うところの自治会組織がしっかりしており加えて日本人特有の清貧の美徳意識が強くあったことも大きな原因だが、とにかくとても犯罪発生率の低い町であったそうだ。

テレンス・リー氏は続ける。「今、欧米各国が日本の美徳意識に注目している、武士道がブームになっている。そんな中逆に日本は日本らしさをどんどん忘れ去ろうとしている、今地域が崩壊し隣に住んでいるヒトの顔も知らない、そんな状態のコミュニケーション欠如が犯罪を生み出す温床になっている」

とても共感できる講演だった。とりあえずこの講演を聴いて、ぼくはタバコのポイ捨ては絶対しないことを誓ったのであった。