内容紹介
「ニート」でも「無職」でも「ひきこもり」でも、会社を辞めても仕事してなくても、幸せに生きることはできる。こんなに文明や技術が発達した世の中、インターネットさえあれば、昔ながらの固定した生き方に縛られる必要なんてない。
日本一有名なニートが語る、お金がなくても無理なく楽しく暮らすための生き方と考え方。会社や国やこれまでの常識が信じられなくなった今を生き抜くための「ニート」なヒントが満載です!
こういう本を褒めちゃうと商工会の人とかに軽蔑されそうだなあ。人生=仕事のひとも多そうだし。いや、でも実際オモロイんだよね困ったことに。
いや正直な話
「ニートなんて甘ったれじゃん、甘ったれの自己擁護をわざわざ読むかよ」くらいに思っていた。というか今も思ってるかなw
最近著者のブログに将棋に関する記事を見つけ、徒然にいくつか読んだらどうやら面白い文章を書く人だと思えてきたので勢い著書も読んでみた。
ふーむ、色々と教わることが多かった。ある種の社会学であり哲学か、それを難しい言葉使わずすごく読み易く書いてるところがさすが京大卒ですな。
著者の場合、親に依存してるわけでなし、収入も最低限にはあるし、世の中で言われるいわゆるニートとは違うけれど。将来への不安を抱きながらも「こういう生き方しかできない!」と開き直っている姿はある意味清々しくもある。
毎日満員電車に乗りたくないとか、朝は寝たいだけ寝ていたいとか、そこは共感しちゃうわけでして。ぼく自身満員電車キライだったし。サラリーマンから自営業に鞍替えした時電車通勤無くなったことは望外の喜びであったなあ。
というか家族で営んでるうちのような業態はかなりニートに近いかも。それでも著者と違い余った時間を結局PTAやら商工会やら家族に投資して自ら縛られに行ってる部分はあって。「自由」ってそんなにいいもんじゃないからね。
実際この本からも社会に縛られない自由を獲得維持していくことの大変さがそこはかとなく滲み出している。そりゃそうだ何かを得るなら何かを損なうのだ。
後半に出てくるアリの話が印象的。働き者のイメージであるアリ社会だけど2割くらい働かない奴がいるんだと。で、それら2割を取り除くとまた働いてた中の2割が働かなくなる。つまりそういう「必要な無駄」ってのが組織の潤滑な運営に帰結してるとか。
一般企業でも3割の無駄社員がいて7割がそれを食わしてるなんて話も聞いたことある。だからといって積極的に肯定するつもりもないけれど、強硬に否定しなくてもいいのかな、みたいな。要するに「広い世の中にはそういう人達もいて、なんだかんだ社会を形作っている」というニュートラルな心構えで。
そんなわけで以前よりニートさんへの印象は若干暖かくなったかもしれない。
でも、実際自分の家族がこうなるのは嫌だったりする、ちょうど息子が帰郷してたのだが見つかって読まれないようにこの本隠しちゃったりしてw