石匠風間ブログ!

読書、音楽、雑学

『継ぐのは誰か?』小松左京

2014-07-30 | 読書

内容(「BOOK」データベースより)
「チャーリイを殺す」―ヴァージニア大学都市のサバティカル・クラスの学生達に送られてきたこのメッセージは、単なる殺人予告ではなく、“人類への挑戦”だった!人類の科学技術を超えた手段で攻撃を仕掛けてくる“何者か”を追って、舞台はアマゾンへと移るのだが…。人類は果たして地球の“最終王朝”なのか、それとも“後継者”が現れてくるのか。


す、すげえ。。。
表現が古臭くはあるものの1960年代にすでに21世紀のインターネット社会を描いている!そしてクライマックスの緊迫感!

前回『果しなき流れの果に』で著者=小松左京を軽んじるような表現をした自分を深く恥じます!やっぱこの人すげえわ。天才と言わずしてなんと言う?

この「新人類」系の話は『ジェノサイド』以来大好きなジャンルであり、そこにうまくハマったともいえるが、40余年も前に書かれたSFがここまで興奮をもたらすなんて、もう驚愕としか言いようがない。

前半は大学での殺人事件を探るミステリーのような展開。そこに国際警察が絡んできてから一気に生物論文明論的にド派手な広がり!

まあ、それだけに結末は肩透かし感が強く、ちょっと残念な気もするが。ここまで広げまくった世界観を展開してくれればそれぐらいは良しとしたい。

インカ・マヤなど南米古代王朝のエピソードをうまく活かして「新人類」ネタにするという、よくもまあこんな奇想天外なストーリー考えるなあ。


うんちは汚くない

2014-07-27 | 雑記
*注:食事前ならば読まないほうがいいです。

何年か前、青年会議所の事業で「市内の公衆便所を掃除しよう!」みたいな企画があって、それに参加したことがあります。

しょっぱな、便器をのぞき込むと古いうんちがこびり付いてるんですよ~、うげ~!ってなりますよ。ところが粛々と清掃作業を進めていると不思議と「汚い」感が薄れていく・・・そもそも「汚い」って感覚はかなりあやふやなのかな?

確かににおいは臭いけどね、だんだん感覚が鈍化するというか、手に触れたって洗えばいいだけじゃん、って感覚になるのです。

ばい菌がうようよいるから?以前他所のブログで読んだ知識だけど、うんちより手のひらのほうが細菌がたくさんいるのだそうですよ。

だいたい日本人はきれい好き過ぎるよなあ。殺菌除菌の商品ばっかになってきて少々息苦しく感じます。インド人なんかウンチしてるガンジス川で沐浴もするんでしょ?

キレイ・汚いの感覚ってかなり思い込みに左右されてるのかなと思った次第です。
もちろん普段から公衆便所を掃除するつもりはないし、犬のウンチすら人並みに汚がるんだけど、思い込みによる価値判断に行動を左右されるのもつまらんでしょ。親の世代は「肥溜めに落ちて…」みたいな話よくしますよね。

と、このように目一杯自分を鼓舞してからトイレ掃除を前向きに始めるのでしたw


友の死に寄せて

2014-07-24 | 雑記
友達の葬儀に出てきた。

ぼくより二つ下なのに死んでしまった。あっけなく。
長期入院中であったからポックリとまでは言わないけど、突然の訃報ではあった。

近年はさほど交流してなかったがJC活動では割と近しい仲だっただけにそれなりの感慨がある。

だからといって友の死を悼むのに感情露わな文章を書くほどには若くない、そういう年齢はすでに通り越してしまった。

それにしても。
ぼくはすでに人生の折り返し地点は過ぎてるのだなと、今後、身の回りで同様の悲報が相次いだとしても不思議ではない年頃なんだなと、今更ながら認識を新たにした。

あるいはそれは自分自身の悲報になることだって意外ではないんだ、年齢的に。事故だって病気だって、死は予告なくやってくる。

そう考えると自分に残された時間は、思ってるほど長くないのじゃないか?なんてことを思ったりする。

だからといって焦って何かできるわけでなし。一つ一つ身の丈にあった出来ることを日々着実にこなす、それしかないじゃないか。

よく「俺はやりたいことやって来たしいつ死んでもいい」みたいなこという人いるじゃないっすか。昔はかっこいいと思ったけど、そうでもないかも。未練タラタラはかっこ悪いけど、達観してるみたいに振舞っても所詮人間の煩悩なんぞ似たようなもんでしょ?

「煩悩がない」なんて言ってる人はインチキだ。

そして道半ばで死ぬ人も未練なく死ぬ人も、死んでしまえば同じこと、か。なんか無性に虚しい。

こういう戯言をのたまってる時点で自分がいかに恵まれているか、のんびり生きてるかがうかがい知れよう。真剣に命がけで生きてる人だっていっぱいいるのに、この自分ときたらいい年こいてこのザマだ。

通夜・告別式を通過し一息ついたところで「ああ、奴はもういないんだな」感が押し寄せてくる。生きてる限りこれから幾度もこんな思いを味わうのか。


『果しなき流れの果に』小松左京

2014-07-21 | 読書

内容紹介
N大学理論物理研究所助手の野々村は、ある日、研究所の大泉教授とその友人・番匠谷教授から一つの砂時計を見せられる。それは永遠に砂の落ち続ける砂時計だった! 白堊紀の地層から出土されたというその砂時計のなぞを解明すべく発掘現場へと向かう一行だったが、彼らは知る由もなかった──その背後で十億年もの時空を超えた壮大な戦いが展開されていようとは。「宇宙」とは、「時の流れ」とは何かを問うSFの傑作。


日本SFの名作中の名作、と数多のレビューで絶賛しているから読んでみた。小松左京なんて30年ぶりだ。ものすごいスケール感はあるものの、うーん、しかし古さを感じてしまった。

思ったままに申し上げると「絶賛する読者さんいったいどの部分に強い感動を覚えたの?」ってことになるか。

いや、古生代から西暦40世紀過ぎまで時間モノSFとして壮大な舞台を縦横に駆け巡るって舞台仕立ては驚愕だけど、すごいんだけど。

同じ時間モノ=タイムトラベルものとしてはハインライン『夏への扉』のほうがスリリングで身の丈にあった世界として感動深かった。広瀬正『マイナス・ゼロ』も最後とても複雑な種明かしが痛快だったし。

多くの人に傑作と推されている作品に難癖つけるのは心苦しい(というか理解力不足と言われても仕方ない)が、ぼくにとっては響くところはなかった。残念です。


将棋大会2014夏

2014-07-18 | 将棋
やりました。苦節6~8年くらい?、よく覚えてないけど毎年のように懲りずに参加していた深谷の将棋大会、見事優勝。
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くっw 我ながらしぶとそうな顔してるなあ、紅顔の美少年がいつの間に・・・

と、ここまでで報告を済ませればかっこいいのだけど。
正直に言えば一番下のCクラスだし、今回急遽の開催で参加者が少なくて(=12人!)とても楽に勝てちゃったので、いまいちありがたみが薄くてw

そうは言っても初戦、いきなり強いオジサンと対局して、序盤で飛車取られちゃってほぼ負けだった。正確には飛車=金交換だけど、飛車を無くすことの圧倒的不利感は将棋知ってる人ならわかるでしょ。

それがどうしたことか?「ああ、これは負けだな」と多少諦めたところに逆に勝機が生まれるとは!

仕方ないからもう玉粋覚悟、自陣の守りはほっといて、と金を作って地味に攻めるぼくと、形勢が良すぎて差し手に迷うオジサン、という構図。まさしくここに一瞬の活路が生まれたのでした。
結果は、近来稀に見る大逆転勝利を味わえたのです。

「子連れ狼」でいうところの「死中活あり」(=死を恐れるのでなく飛び込んでこそ活路が見出せる)でしょうか。

こういうことは案外実人生でもありそうですね。

ちなみに今回プロ棋士の藤井猛9段がゲスト参加!本当は藤井さんを見たくて行ったのでした。
syogitaikaifuzii920.jpgカッコ良かったわ~


月のあれこれ

2014-07-14 | 科学
先日、満月を見てるうちに色々気になってネットでひたすら調べてました。全く何の目的もないのにそういうことに限って熱が入るのでしたw
せっかくだからまとめ!


◆月の初日(1日)は「朔日(ついたち、さくじつ)」と呼び、月の最終日(29日又は30日)は「晦日(みそか、つごもり)」と呼ぶ。「ついたち」とは「月立ち(つきたち)」、「つごもり」は「月隠り(つきこもり)」が音変化した語である。

◆西洋では月が人間を狂気に引き込むと考えられ、英語で "lunatic"(ルナティック) とは気が狂っていることを表す。

◆北欧において「妊娠した女性は月を見てはいけない」、あるいは「イヌイットの娘は月を見ると妊娠するから月を見ない」、「子供が精神障害になるから妊婦が月に顔を向けてはいけない」など、女性が月を見ることを禁忌とした伝承はいくつかある。

◆現代においても月齢が、人間の生理的精神的な事象(例えば出産や、自殺、殺人、交通事故の頻出等)に影響しているという説が語られることがある。月齢と暴力行為の因果関係については、2007年初頭にポーランドの科学者Michal Zimeckiが確認したとされるが、その一方でシドニー大学の研究者らが心理学専門誌に1998年に発表した内容では「特別な関連性はみられない」と結論された。

◆従来地球に対する月は衛星としては不釣合いに大きいので、二重惑星とみなす意見もあった。月の直径は地球の4分の1強であり、質量でも81分の1に及ぶからである。

◆月はナトリウムやカリウムなどからなる大気をもつが、地球の大気に比べると10京分の1ほどの希薄さであり、表面は実質的に真空であるといえる。したがって気象現象が発生しない。

◆月の表側(地球から観測される側)の北緯60度 - 南緯30度にわたる領域は光をあまり反射せず黒く見えることから、「海」と呼ばれている。海は月表面の35パーセントを占めるが、月の裏側にはほとんど存在しない。月の海は隕石の衝突によって生じたクレーターの底から玄武岩質の溶岩がにじみ出てクレーターが埋められたものとされている。黒っぽい玄武岩の層で覆われているために光をあまり反射せず、他と比べて暗く見える。

◆月と地球の距離は年間約3.8cmずつ離れつつある。かつて月は現在よりも地球の近くにあり、より強力な重力・潮汐力の影響を及ぼしており、また地球(および月)はより早く回転していた。サンゴの化石の調査によれば、そこに刻まれた日輪(年輪の日版)により、4億年程前には1日は約22時間で、1年は400日程あったとされる

◆地球上から月を観察すると、空高くに位置する場合と地平線または水平線近くに位置する場合とは、前者の場合は小さく見え、後者の場合は大きく見える。
この現象は人間の目の錯覚によるものである。実際の月の視直径は、腕を伸ばして持つ五円玉の穴の大きさとほぼ同じである。地平線近くにある大きな月の場合は、五円玉の穴に入りそうもなく思えるが、実際は小さな月と同じように五円玉の穴に全てが収まってしまう。

◆俗説として月面着陸は捏造であったとするアポロ計画陰謀論も流れたが、捏造の証拠とされるものはことごとく反証されており、また日本の月探査衛星が月面に残るロケット噴射跡を確認したため、少なくとも月に到着したことは事実と確認されている。


典型的な「だからなに?」って話題でした、ゴメンナサイm(__)m
突如こういうわけのわかんない御託をブログに並べだすところが「ルナティック」なのですね。


映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』

2014-07-12 | テレビ・映画・芸能

2004年に発行された桜坂洋の同名SF小説を基に、ハリウッドが製作したアクション超大作。侵略者から襲撃を受けている近未来の地球を舞台に、敵と戦う任務を課せられたトム・クルーズ演じる主人公が、戦闘の中、不可思議なタイムループの世界に囚われていく様が描かれる。



久しぶりに映画を見てきた。派手なSFアクションもちろん一人です。
結論から言うと面白かったです。ただ万人にうける映画ではないか。
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今回テレビで予告を見てて心動かされた原因はすごく明快です。登場人物たちは地球を襲うエイリアンと戦う兵士で、機動ジャケットと呼ばれるロボットを着る、ロボットといっても巨大なやつじゃなくて『アバター』や『エイリアン2』で使ってた等身大のロボットを想起してもらえばいい、大体一緒です。

どうやらぼくは、ロボットに弱いんです。最近自覚しました。
子供のころのマジンガーZからこのかた、ロボットが出てくるとぞくぞくするのです。やがてアニメより実写それもリアリティのあるロボットを見せられると虜になってしまう・・・

そんなわけでストーリーよりも見栄えに惹かれて映画館へ足を運んだわけ。
といっても物語もなかなか凝ってて面白い、いわゆるタイムスリップものというのかな、死ぬとある時間に戻るという、これはハリウッドより日本のライトのベル的な発想ですね。

面白いとは言いつつも、所々意味がわからない部分もあって見終わってからネットでネタばれサイトを見る、どうやら原作とは諸々違う筋のようで益々疑問が増えて。

ウニクス上里の映画館、下に書店があるので速攻で原作を購入、映画を見てから原作読むって今までと逆のパターンだけどたまにはいいかも。

ちなみにネタばれサイトで原作・映画・コミックをすべて踏まえた人によると、コミックが一番!だとかw
まいったな、マンガも買っちゃうか。


『奪取』真保裕一

2014-07-08 | 読書

内容紹介
第10回山本周五郎賞、第50回日本推理作家協会賞長編部門受賞。
偽札造り──それは究極のだましのゲーム。
「そのお札を使ったところで、誰が被害者になるわけでもないんだ。おれの手を放れた紙幣は、また次の誰かの手へと伝わっていく。誰も気づかず、どこにも被害者はいない。札を造り上げた者だけが勝利者となる。
……おれは決めたぞ、雅人。この先何年かかるか分からない。けど、必ずこのゲームに勝利してやる!」


上下巻で900p超の力作、これは読み応えあった。もうお腹いっぱい!

なにせ偽札作りってことで製紙・印刷技術が内容の8割がたになる、専門用語と数字の海にこれはちょっとキツイなと思ってたら、突如ハリウッドばりの大立ち回り!

しばらくするとまた印刷用語が溢れて。だんだん専門語部分は斜めに読むようになってしまったが、ストーリーは変わらず魅力的。緊迫感がずっと続くような。

ただ、キャラに共感できないってのは致命的だなあ、残念だ。
だって普通に考えて偽札作りってかかった手間に比べて実入りが少な過ぎだし。

結局ある種の芸術家魂を満たすために作るという「職人」の世界、自己満足の世界じゃないの?
そんなに器用ならもっと情熱傾けること他にいくらでもありそうな気がする、って言っちゃったら野暮だろうけど。

日本の紙幣製造技術がいかに凄いか、現在の紙幣にどのようなテクニックが埋め込まれてるか、などを知ることは出来たがそれ以上でも以下でもないってところか。

ただの紙切れを価値づけしてその「信用」をもとに成り立つ世界、ちょうどここ最近金=ゴールドが急落しているって言うし、「価値」ってなんなのかな、という感慨に至りました。


号泣県議の件

2014-07-04 | 社会・出来事
今年は小保方さん、佐村河内など変な人大活躍の巻だけど、もっと凄いのが出た。

号泣兵庫県議のこっちが泣きたい釈明

何なんだ、この人・・・!

ネットで画像だけ見てたぶんには議員失格だな、とかその程度に思ってたけど、テレビで動画見たら、議員云々でなく人間としてどうかってところ。ちょっと絶句した。

あるいは知的な障害をお持ちなのかもしれないし、あまり責めるのはよそう。
(ってかかなりの確率で脳障害だと思う)

こないだの都議会のやじ問題にしろ問題頻出の地方議員。最近クローズアップされただけで元々こういう実態が潜んでいたのかもしれないし。
特に県会議員ってのは市議と国会議員に挟まれてよくわからない存在感の薄い位置にある。有権者も関心が低いのは仕方ないところ。

何やってるかわかんないしね。ぶっちゃけ必要なのかな?市議から選出してやるとかさ、効率のいいやり方ありそうなもんじゃん。

そういう人たちの活動費用を我々は税金の形で負担してるわけで、本当はもっと関心持たなきゃダメなのだろうけど。

この最近話題になってる人たちって、一般企業にいたら仕事が成り立たないレベルじゃないかな?職種にもよるけど。ということは「議員」というのが、まあ成るまでは大変だけど受かってしまえば酷いレベルでも大丈夫な世界ってことになるのでは。

それは、実際やばいっしょw
だからって何をどうすればいいかわからないけど。

やじ問題はちょっとやり過ぎだとぼくは思っているのだけど、こういうことが起こると地方議員さん益々厳しい目で見られることになるのでしょうね。


『ラッシュライフ』伊坂幸太郎

2014-07-02 | 読書

内容(「BOOK」データベースより)
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場―。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。



いつのまにやら〈伊坂中毒〉になっていた。
「変てこな話書く作家だなあw」と、軽く嘲っていたはずなのに、目の前に積んであるとつい買ってしまう。

そして尽く面白いから困る。なにこのハズレの少なさ!

ストーリーとして手放しに絶賛はできないんだけど、いろいろ突っ込みどころもあるのだけど、でも結局夢中にさせられて、読後の満足度は軽々と平均をクリアする。

本の冒頭にエッシャーのだまし絵「=上昇と下降」が載っている、読み終わるとこの本自体が「文章で表しただまし絵」だとわかる。実に愉快で荒唐無稽な物語!
m-c-escher-上昇と下降

映画『パルプフィクション』を思わせたのは各章の時系列をあえて無視しバラバラに配置して錯覚を効果的に用いているところ。本著の場合4つの物語をさも関係ないかのように配置してミステリーを際立たせて進行させる。結果的にどこが物語の始まりだか終わりだかわからないようになっている。すごい仕掛けだ。

『オーデュボンの祈り』のカカシの話が出てきたり、『チルドレン』の銀行強盗にさらっと触れたりして、自分の他著をチラリと使うなど今までにない異質な作家である。

何度も言ってるけど、ホント、この人オカシイ、頭の中を見てみたいw