石匠風間ブログ!

読書、音楽、雑学

『スタープレックス』ロバートJソウヤー

2016-05-31 | 読書
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内容(「BOOK」データベースより)
探査宇宙船スタープレックス号は地球人とイルカ、六本足のウォルダフード族と統合生命体のイブ族という異星人の乗組員を乗せ、旅立った。建造者も建造目的も不明ながら、瞬間移動を可能にする謎の通路を使って、銀河系のさまざまな未知宙域を探険するのだ。異種族混合の乗務員を率いる宇宙船の指輝官キースが、壮大なる旅路の果てにつきとめた銀河創成の秘密とは…?ネビュラ賞作家のソウヤーが描く、驚異の冒険SF。


SF作家の山本弘が薦めていたので読んでみた。これは愉快だ痛快だw
ある程度物理知識は踏まえた上で読むべきかもしれないけど、とことん面白いこと請け合い。

宇宙SFの様々なテーマがてんこ盛りで、物理学の諸問題を力技で解決してしまうような。それだけにとどまらず異人種間の心理的衝突とその解決までじっくり描いているという、なかなか盛り沢山な一冊。

様々な宇宙の謎を取り上げてくれるだけで楽しいのにそれをすっかり解き明かす、もちろん法螺話だけど、これぞエンターテイメントです。
ダークマターの正体なんて秀逸!すんごい想像力!

最近山本弘や野尻抱介の「日本SF」にすっかり移行してたのにグッと海外モノに引き戻された。これくらい肩肘張らずに読めてかつ内容の濃いものなら大歓迎。

当初「スター・トレック」のパロディかと思って読んだけど、まあ異星人と一緒に大型宇宙線で探査するってのは似てるけど、だからといってパロってはいないし、驚愕の結末が用意されてるし、つまり別物です。


お薦めアプリ=「星座表」

2016-05-27 | 雑記
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ほんの数年前には便利がって諸々利用していたけれどいまやすっかり使わなくなってしまった、その最たるものがスマホのアプリ。
皆さんがどうだかは知らないけど。

人間って原則飽きちゃうんですよね、どんなオモロイことも。仕方ないよね。
もちろん地図とか計算機とか役立つ系は普通に使うけど趣味系はすぐ飽きちゃう。
そんな中、無益だけどこれは使い続けてますってのを紹介します。

起動すると
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こんなふうに表示されます。夜空にあてがって星の名前を知るのが目的、昼間でももちろん使えます。昼間見えないだけで星は存在してるのでね。あたりまえだけど。

夜空を見上げひときわ明るい星を見つけた時に名前を確認する、それだけのために使ってます。「ひときわ明るい」のは大抵木星や火星など太陽系内惑星で、季節ごとに位置が変わるので常に確認する、するとなにげに安心する、ってのは変人なのかなw

カミさんに教えてやったら「ふ~ん。」で終わっちゃったしね。夜空の美しさは認めても星の名前まではいいだろってのが普通かw

だからって望遠鏡を買うほど天文ファンではない、星の名前も覚えないしそんな中途半端な星空好きにうってつけのアプリです。


『女子高生、リフトオフ!』野尻抱介

2016-05-24 | 読書
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内容(「BOOK」データベースより)
女子高生の森田ゆかりは、16年前ハネムーン先で失踪した父親の消息を求めて、ソロモン諸島・アクシオ島を訪れた。そこで出会った「ソロモン宇宙協会」の所長、那須田と名乗る男は、父親捜しを手伝うかわりに、ゆかりを協会にスカウトする。そこには、軽量化を余儀なくされたロケット打ち上げのため、小柄で体重の軽いゆかりを飛行士に採用しようという協会の思惑があったのだが…。野尻宇宙開発SFの原点、ついに復刊。


「ロケットガール」というシリーズ物で四冊いっぺんに読んだ。

このふざけた題名からは想像もつかないほどガチガチの空想科学小説、そして上質なエンターテイメント。またしても野尻抱介、期待を裏切らない面白さ!

女子高生と宇宙という一見かけ離れた要素を「重量を軽くするため」という安直かつ切実な理由付けで結びつける、豊かな発想。

毎度変わらず根底には「楽観的未来感」があって、とても軽薄に物語は進むのだけど、やはり変わらず一つ一つの説明がもろハードSFでそこが魅力。

三巻目くらいになると慣れもあるのかちょっと冗長に感じたけど、どの巻も絶体絶命の状況から知恵と勇気を振り絞ってなんとか任務をやり遂げる、冒険活劇としても一級品でしょ。

20年以上前の作品なので、当然その後の宇宙開発は考慮されておらず、それでも当時の知識のなかでは科学的な矛盾をほぼ排除して実現可能性の高い未来図であるのだとか。だからこそ面白いのだろう。

しかし、宇宙に行ってみたい者のひとりとしては宇宙線による大量の放射被曝とか厄介な下の処理とか、これは実際行くもんじゃないなと思った次第。

ジジイになって腐るほど金持ってたら考えるだろうけど、そんな可能性はほぼ無いしなぁ。小説で読んでるくらいが丁度良いのでしょう。


『バイエルの謎』安田寛

2016-05-20 | 読書

内容紹介
世界的ベストセラーとして、出版されてから160年間ロングセラーを続けているバイエル・ピアノ教本。ピアノ導入期から日本文化にまでなった経緯、バイエルの出自……実は、まったく謎に包まれているのだ。ふとした疑問から、バイエルの足跡をたどった筆者の記録、日本とドイツ、数年にわたりバイエルを追い求めたドキュメンタリー。


いろいろ勉強になった、かなw

日本で定番的な地位を誇る「バイエル」がその著者についてほとんど知られていないこと、というか本当に実在したのか?複数の作曲者のペンネーム説とか。

そしてヨーロッパに行くと今やさほど評価されておらず、それどころか初歩の教本として評価が低いとか。それを受けて日本でも数年前に大バッシングがあったこととか。

著者が現地ドイツに赴き丹念に調査する様をしつこいくらい丁寧に描く、その情熱的姿勢が説得力となる。何年にもわたってヨーロッパ各地を訪れ小さなヒントを追求していく。ドキュメントを作るのも大変だ。

ピアノを習った経験のある人には興味深いかもしれないが、そうじゃないと「だから何なんだ?」的な本かも。

個人的にはすごく面白かった、有名作曲家と違いその生き様はほとんど記録されず今や墓もない人。微妙な著名人なんて160年で忘れ去られちゃうんだなあと。本人も21世紀にその名が取り沙汰されてるとは思ってないだろう。

彼の場合はその著書が21世紀にも使用され普遍的な教則本名となってるわけでそれはそれで成功者かもしれないが、現在「バイエル」が定番となった経緯も偶然が重なった産物と言えるし、まあ先々何がどうなるかわかったもんじゃないね。

ちなみにいわゆる出自は判明するのだけど、やはり生き様とか詳細は不明のままで著者が想像して「・・・であったのだろう」的な著述が多い、それでも面白いのだけど、まるっと解決!という爽快感はないかな。


昨今のスキャンダル

2016-05-17 | 政治経済
東京都知事
舛添都知事が不正疑惑で毎日世間を賑やかしている。確かにやり過ぎだ公金を使いすぎですねあれじゃ。ヤフオクで落とした絵画を資料費として請求って、そんなの通ると思ってるのかね?

正直、舛添は評論家の時から嫌いだった。あの攻撃的な物言いがすごく気に障る。正しいとか間違ってる以前に生理的に気に触る態度振る舞い。

だけど今回の一連の疑惑追求には行き過ぎな気もする。
昨今の不正疑惑は大抵億の単位なのになんだこいつ、ってくらいせこい話ばかりで。金額の多寡によらず不正は不正だから責められて当然なのだけど、まあ、己の非を認め素直に謝罪すりゃこんな盛り上がらない話なのだけどね。

舛添に限らずその前の猪瀬都知事、そして不倫疑惑の政治家やタレント、これらは結局世間のやっかみの犠牲になった面もあると思う。
人間は常にやっかむ、そういういきものなのでしょう。

以前の失敗例を踏まえれば嘘をつかず最初に頭を下げるってのが肝心だと分かりそうなものだけれど、人間ってそれができない。子供なら出来るかもしれないことを大人はできない。

ただ、年々その叩き方が大げさにイジワルな感じになってるような。
人気のある人、権力を持つヒトを引きずり下ろしたい心理も働いてるのだろうけど、このままエスカレートしていったらどうなるのか?という危惧。

政治家は「何をしたか」より「何をしなかったか」を問われるようになり、でくのぼう化してかないか心配です。
政治家というより東京都知事は格別なのだとか。

けど、でくのぼうを都民があるいは国民が望んでいるのならそれも仕方ないのかな。

米国の大統領選、トランプ候補はあれだけ暴言を吐いても高い支持を得ている、有権者は「何を言いそうか」より「何をしそうか」に重点を置いているのだとそんな話を読んだ。

国際社会においてあのリーダーはちと恥ずかしい気もするがそんなこと言ってられないほど米国は問題まみれなのだろう。


『うつくしい人』西加奈子

2016-05-13 | 読書
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内容紹介
他人の目を気にして、びくびくと生きている百合は、単純なミスがきっかけで会社をやめてしまう。発作的に旅立った離島のホテルで出会ったのはノーデリカシーなバーテン坂崎とドイツ人マティアス。ある夜、三人はホテルの図書館で写真を探すことに。片っ端から本をめくるうち、百合は自分の縮んだ心がゆっくりとほどけていくのを感じていた-。



娘に薦められた1冊。
いつもこちらから薦めるばかりだったから、なんだか「いつのまに大人になったなあ」感に包まれましたw

著者・西加奈子は『ふくわらい』以来。人の弱さ、社会の厳しさと同時に暖かさをほんわか書く人だという印象が。

本作品も印象を裏切ることなく、生きていくことの不器用な人達による現実の辛さ苦しさを女性の視点で有り体に表現しながらも、癒やしをあるいは救いを描いているような。

アマゾンレビューでは酷評が目立つ、「感情移入できない」「展開がつまらない」「恥ずかしい・気持ち悪い」。

確かに分からないでもないレビュー。30過ぎの主人公女性が中二病に苛まれて自分探しの旅に出る、って冷静に考えるとひどい設定だねw

それでもぼくだったら星4つは付ける。

それは著者の軽妙な文章に拠るところが大きいかな。肩肘張らずにリラックスして読めて且つ卓越した表現ってのはストーリーに関わらずそれだけで価値があると思う。

また「感情移入」できるかどうかってのは大事なのも確か。
このいささか精神を病んでいるような主人公に入り込めるかどうかは読者の特質であって、入り込めたぼくは精神疾患を証明されたことになるのか?

いずれにせよそういう「弱い人」に求められる題材かも。
なので面白かったけどだれにでも薦める本ではないなあ、「強い人」はスルーしてください。


パスワード社会

2016-05-10 | 雑記
カミさんが間違ってLINEを削除してしまったというのでDLして設定してやろうとしたら。これが面倒極まりない、、、というかもう無理、ギブアップw

だってパスワード覚えてないというwww、仕方ないから新規アカウント作ろうとしたら「不正な電話番号」とか謂れ無き罪をかぶってるし。

どうやら何度もパスワードを試したことでスパム対策としてロックが掛かった模様。回復法を調べたら「24時間位間を開けたほうが」だと。

数時間でロック解除されログインできてめでたし。いや、無駄に数時間汗かいちゃったじゃないか。

今やLINEに限らず、何やるにも「パスワードを」って話でしょ?もうね、うんざりですよ。もういいからそういうの、プライベート情報盗んでくれても構わんしw

ちなみにぼくの場合パスワードは堂々とメモ帳にその都度記しているので今のところナントカなっているけど、アイホン事態もアップルIDとソフトバンクIDと何やらと、もういい加減にしてほしいと思うのはボクだけじゃないでしょ?

いや、世にはびこる不正行為に対向する手段としてそりゃあ必要でしょうよ。その有意性を否定するものじゃないのだけど、何とかならんものかね。
全部指紋認証とかにならないかな。

便利を追求すればするほど一面不便になるという、文明の象徴ですか。


『ハーモニー』伊藤計劃

2016-05-06 | 読書

内容紹介
ベストセラー『虐殺器官』の著者による“最後”のオリジナル作品。
これは、“人類”の最終局面に立ち会ったふたりの女性の物語??急逝した著者がユートピアの臨界点を活写した日本SF大賞受賞作。



『虐殺器官』以来久しぶりに手にとった伊藤計劃作品、相変わらず緻密でとことん暗い。

そして著者がこの作品発刊後3ヶ月で亡くなったため(享年34歳!)、オリジナル長編として“最後”になったわけだが、まだ2作目でもあった。
そのためどことなく文章に素人っぽさが見て取れるのだけど、だからといってその世界観は何ら劣ることなく微塵も揺らがない。

野尻抱介のような楽観SF読んでるとこういう暗く重たいテーマが読み進めるのに億劫な感もあるんだけど、終始ミステリっぽい展開が広がって先が読みたい衝動を維持できた。

しかし、、、重い、、、w

重く暗い未来って命が蔑ろにされ暴力がはびこるようなのが多いじゃないすか、その真逆だからね。
これはSFというジャンルを舞台にしているが、その実訴えたいことは現代社会への違和感なのかも。


“体内に埋め込まれた医療分子が個々人の健康状態を常にモニターし、病気をいち早く発見してくれる社会。酒やタバコといった健康被害に結びつく物質も既に排され、人々は健全で長命でいる世界を実現した。”


これって今の世の中の理想とする姿そのものじゃないか?

公園のジャングルジムは柔らかい素材で作られ、児童が落下すると棒が伸びて助けてくれるんだって。
世のお母さんたちが歓迎しそうな遊具だけど、子供の健やかな成長にとってどうなの?って話だよね。“痛み”を経験しないで成長してしまって健全なはずない。

そしてそんな健康第一長寿社会に対し様々なほころびが露わになり、やがて人類の存亡に関わる事件が起こるって話で、社会のハーモニー=調和を目指した先が人間の意志の喪失っていう恐ろしい展開。

またしても読後考えこんでしまった、そもそも意思ってなんだろう?意思のない人生ってどんなもんだ?

つくづく著者の急逝が惜しまれる。


春に第九をやった

2016-05-03 | 音楽
5/1(日)本庄文化会館にてベートーヴェン交響曲第9番合唱付き、フルバージョンを演奏してきました。
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今回は「本庄第九を歌う会」主催で、深フィルはそのアシストなので準備も少なく気が楽でした。

第九といったら年末というイメージ強いですが、それでもかなり前にチケット完売、客席は満杯、開場前には大行列。なかなかの演奏会になりました。
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個人的にも今までで一番うまくできたかな。まあ最初から無理なムズい所もあるのだけど。
「指板を見ない」というのが今回の個人的なテーマで、ちゃんと正しい位置を抑えているか確認したくて見るのだけど、カッコ悪いんだよね~wそもそも弦楽器は手元を見ずに弾くものだと聞いて、見ないとかなり不安だし実際音程危なかしいが我慢しましたできるだけ。
で、その分指揮者を見るってことを己に言い聞かせてプレイしてたわけです。ん~、音程は多少犠牲になったかも。

さて、世界中で演奏され続けているこの長い交響曲、やはりそれ相応の魅力というか魔力というか、ありますね。すごいもんが。

1楽章で早くも管と弦全体のタイミングがズレかかったところもあってヒヤヒヤものでしたが、指揮者の豪腕でガッチリとまとめ上げてくれたようでした。

しかし2楽章、むちゃくちゃ早かったなw
振り落とされそうなスピードを必死についてった、って毎回そんな場面あるな。

3楽章はゆったりとした味わいなので、ちょっとした休み所、まったりと優雅に弾いて体力を回復。

そして怒涛のように始まる4楽章、しょっぱなからチェロの独壇場。ベストではなかったけどまあそれなりにできたんじゃないか。

合唱が入ってくると脇役に。でも早いパッセージが断続的に配置されていて忙しい楽章。自分が忙しくてちゃんと合唱聴けなかった。それでも美しいハーモニーが間近で展開されているので心地よく弾けました。

そして最期のプレスティッシモはアホのような早さwもう何弾いてるんだかわかんないくらい。楽団全体がテンションマックス状態だから仕方ないのだろうけど。なんかドリフの寸劇の締めみたいでいつも笑っちゃいそうにはなるのですが。

ベートーヴェンは比較的チェロの活躍場が多いので嬉しいです。リズムも構成も変に懲りすぎてないしシンプルな造りでありながら感動を呼ぶ、やはり名作なのでしょう。

いつか年末にもやってみたい。


引き続きプリンス

2016-05-01 | 音楽
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はあ、演奏会当日なのに頭の中はプリンスでいっぱい。第九がファンキーになってしまいそうだ。

「パープルレイン」とか「レッツゴークレイジー」みたいなキャッチーな曲を作ればもっとヒット曲も多かったことだろうに。と思わず余計なおせっかいを考えてしまう。

それだけ凡人の理解を超えた天才の所業であったと言えるかな。

正直言うと好きなアルバムでさえすべてわかるとは言いがたくて「なんだこれは?」的な曲が必ずあって天才だから理解しきれないのも仕方ないか、と看過していたが、天才には天才の苦労が会っただろうね。

とにかくアルバムごとに曲調が雰囲気が全然違ってリスナーを裏切ることでは右に出るものがいないでしょう。最大のヒットアルバム『パープルレイン』のあとの『アラウンドザワールド・イン・ア・デイ』は個人的にはすごく好きなのだけどかなり聴く人を選ぶものだったのだろう。リスナーに選ばれるのでなくリスナーを選ぶアーティスト。傲慢だw

繰り返して言うが、M.J.やS.ワンダーみたいに一般受けを考えて作ればもっと偉大な音楽家に数えられたのでは?J,ブラウンを崇拝してたというがその方向性はまるっきり違うじゃん。

いや、案外そうでもないかも。少なくともぼくは万人受けするプリンスではさほど聴かなかったな、そうか、そのままでいいんだなプリンスは。そのままあるがままが偉大なんだきっと。

最期は六日間寝ずに働き続けインフルエンザ及び薬物で逝ったという。どことなくモーツァルトやシューベルトなどの最期を想起してしまうじゃないか。彼らよりは長生きしたわけだが、人生は長さじゃなく濃度かなと、あらためて思わせるような。