石匠風間ブログ!

読書、音楽、雑学

危機管理のない国

2005-07-28 | 読書
明日からは深谷まつり、例年通りにぎやかになることだろう。って、今年ももうそんな時期か、はや~!

ということで、読み終わったのでふたたび『半島を出よ』。村上龍としては傑作に類する作品だった。なにせ怖かった!

よく北朝鮮の核搭載可能ミサイル「テポドン」「ノドン」が話題になるが、そんなの打ち込んだりしないようだ。そこまでバカじゃないそうだ。
でたらめな国家といわれるが、トップはでたらめでもブレインはとても優秀らしい、だからナントカ国としての体裁を保っていられる。

いきなり他国にミサイル打ち込んだら国連をはじめ全世界が敵になる、そんなことはしない、もっと戦略的立場からより有効な戦術を取るらしい。たとえば、北朝鮮の軍部の中で反乱軍が発生し自国から逃亡、というシナリオにして、日本の離党を占拠し島民を盾に自治権を求めるとか。

それがこの小説の題材なのだが、作品中くどいくらいに出てくるのが有事における政府の無能さ加減。でもそれは政府に限られたことではなく日本人すべてに共通したことで、危機意識の驚くほどの欠如!

いざというときに的確ですばやい対応ができないのは言われるまでもなく阪神大震災で立証済みではあるが、敵国やテロ集団の侵略に対し我々はかわいそうなくらい無力である。実際侵略などに際する政府の行動基準を何も決めていない国だ。そして有事を的確に乗り切れる優れたリーダーシップを持った個人にすべてをゆだねることもできない国民性、ファシスト扱いされるだろう。

言っとくけど、いざというとき在日米軍に期待しても無駄だ、当たり前だが、どこの国だって自国にメリットがなくちゃ動かないものだ。逆に自国を有利にするためにテロリストを応援することだってありうる。

だからってアメリカを憎んだって仕方がない。そういう対応はある意味国際的には常識だから。国境を越えた友情だの信頼だのは日本国内でしか通らない話だ(個人間は別だが)。いかに自国に有利に国際情勢をわたっていくかが各国首脳が日夜考えること、自国民に安全を保障するには当然の責務である。

内容にはほとんど触れなかったが、それは自分で読んで欲しいからです。是非ご一読を!

しかし、村上龍ってどうも変質者っぽいところがあって、いまいちファンといいづらいんだよなあ


『半島を出よ』村上龍

2005-07-24 | 読書
まだ読み終わってない本を書くのは異例なのだが、上記の近未来小説、すごい!

村上龍はもともと好きで大体読んできた、傾向として社会のカオス的部分をクローズアップして綿密な調査の上に優れた想像力を駆使して極上の社会派小説を書いている。
アメリカ作家で言えばフォーサイスなどを思い起こすが、でもちがうな、もっと怖いし現実味もある!

物語は2010年に北朝鮮が福岡を占拠して、という決してありえない話とはいえまい。問題はどう占拠するかだが、これが綿密な計画の上に国際間の矢面に立たぬよう念には念を入れて極めて理にかなった方法を取る。

そして、もう一方で注目すべきは2010年の国家間経済の変遷!すなわち力関係。そこを経済学者のように事細かに書いてくれている。

これは絶対お勧めだな、って読み終わってないのに言ってしまっていいのかな?ちなみに村上龍の作品は尻切れトンボが多いです^^


ようやく重い腰を上げる

2005-07-20 | 音楽
いよいよ、というか今年初めてなのだが、バンド活動を再開した。
ブランクは思った以上に演奏に出た。指が動かない!切れが悪い!なので、充実した演奏には程遠かったが、それでもやはりバンドは楽しい、気持ちよい。

久しぶりの練習のために選んだ曲目はEXTREMEの『CUPID'S DEAD』といって、ファンクな匂いの漂うハードロックナンバー。とてもかっこいいしとても難しい。バンドとしてもカザマロックスのドラム、ベース、ギターのトリオ編成での「プチカザマロックス」。

16ビートの神経質なリズムに乗せてギターカッティングから始まる。曲の後半は4拍子に3拍子を乗せるみたいな複雑な構成が出てくる。
CDを聞きながら弾くとできるのに、生演奏だとわけがわからなくなってしまう。

同じ曲を何度も何度も繰り返し練習した。それでもうまく決まらない。う~ん!とうなりながら、それでも繰り返す。繰り返すしかできることはない。3人ともまいったなあといいながら、心のうちでは極上の快楽を楽しんでいるのだ。

この曲をマスターしたら一皮向けるんじゃないかな、なんて希望を抱いてしまうような難曲、当分楽しめそうだ。


 まちづくりのカタチ

2005-07-12 | 地域・暮らし
先日、岬先生にお会いして様々なお話をいただいた。岬先生とは『今なぜ武士道か』などの著作で有名な作家先生で、深谷には【深谷岬塾】講師としてよくお越しいただいている、このコラムでもたびたび取り上げている。

岬先生が街づくりに携わった話で、とても興味深かった。
まず、町おこしの手法として「自転車と徒歩で暮らせるまち」を打ち出した。これによって当然コミュニケーションが増大する、車と違って遭った時に話ができるからだ。防犯システムとしてはコミュニケーションの活発化以上のものはないだろう、ロンドンでそこら中にカメラを設置したって逆効果だと思う。

このほかに独自の教育手法や産業推進など、様々な分野で先生の発案を実行し、住みやすい町として内外から高い評価を得ているそうだ。
ぼくはなにしろ「自転車と徒歩」というのにえらくショックを受けた。もちろんその町は人口1万余り、人口10万の深谷はまた違うやり方も必要だろうが、もっと細かい区分けをして公民館レベルでの活動なら十分当てはまる。

結局コミュニティ(地域)からコミュニケーションが消えたことが諸問題の根源にあるのだ。

そんなことを思っていたら、今日テレビでやっていたが、最近の都心のマンションでは住民が進んで隣人と関わりあいたがる傾向が出てきたそうだ。何かサークルを作ったり教室を開いたり。

マンションは元来面倒な人との関わりのなさがメリットとされてきたのに、このような傾向が出始めるというのはきっとみんな世の中の歪みとそれがなぜ生まれたかを重要視してきてるんじゃないかな。

となると、これからの社会は、いや、商売はコミュニケーションというところがカギとなってくるかも(一応商人なので)。


「女王の教室」

2005-07-07 | テレビ・映画・芸能
ここんとこ仕事に精を出してコラムの更新忘れてました。

夏の外仕事は暑いねえ。それでも夏はいい。頭がくらくらするけど、それでも夏だ。夏であれば我慢もできる、夏こそ最高。
まあそんなことはいいんだけど、こないだ久しぶりにドラマを見てて面白そうなのを見つけた。

「女王の教室」という小学校を舞台とする話で、冷酷な女教師が6年生を恐怖に陥れるみたいなストーリー。
スクールドラマといえば最近では「ごくせん」がヒットしたが、ああいった生半可なバカドラマと違うと思う。真の人間関係とは何かを問いかけるところがある。

このなかで、同僚の教師に対し「結局あなたはいい先生と思われたいだけなのよ」というセリフがあった。ドキッとした。自分に対して言ってるのではないかと【八方いい顔したがり】の自分に対する戒めなのではないかと、感じた次第。

でも、このドラマ土曜の夜なので連続してみるのは厳しいな、というか大抵見忘れちゃうんだけどね、ドラマって。