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成功とはなにか?

2014-04-06 | 雑記
暇な時よくバッハのことを考えます。


ヨハン・ゼバスティアン・バッハは、18世紀のドイツで活躍した作曲家・音楽家。 バロック音楽の重要な作曲家の一人で、鍵盤楽器の演奏家としても高名であり、当時から即興演奏の大家として知られていた。後世には、西洋音楽の基礎を構築した作曲家であり音楽の源流であるとも捉えられ、日本の音楽教育では「音楽の父」と称された
~ウィキペディア



上の記述は間違いではないけれど大事な点が抜けている、生前は現在に比べたらさほど人気者ではなかったそうです。生涯音楽の仕事に携わったけど職探しには常に苦労したあとが見られるし、J.Sバッハよりその息子たちのほうがよっぽど才能を買われていたし、同時代に活躍したヘンデルに比べたらだいぶ格が劣ったそうです。

オルガンの超絶技巧はかなりのものだったそうだけど、作曲家としては「古い技法」というレッテルを貼られていて、単に技巧派オルガニストとして認知されていたような。その数多の偉大な曲も忘れ去られ楽譜が散逸してしまったものも多いとか。

死後50年を経てメンデルスゾーンが再認識し世に広めることでやがて今に至る「音楽の父」としての地位を確立するのですが、場合によっちゃ忘れ去られたままだった可能性だってあったはずだ、と。

まあ生前ある程度の評価はあったので一応音楽の仕事で生計を立てられたわけだけど、自己実現的な見地からは成功者ではなかったのでしょう。少なくとも本人はいささか不本意であることを手紙などに残しています。

一方その息子フリーデマンやエマヌエルは人気作曲家となり、J.Sバッハは彼らの父として知られる存在に過ぎなかったという逸話もあって。

ところが現代ではそこらじゅうでJ.Sバッハの曲が聞かれるのに対しフリーデマンの曲なんて1曲も知らないでしょ?知ってる人もいるだろうけど有名なフレーズとは言いがたいでしょ。

で、考えちゃうのです、生きてる間に自己実現し名声を手に入れることと、死後音楽の父と呼ばれるほど信仰を集めること。どっちがどうなのだろう?

死んじゃったらどんなに褒められたってわからないのだから「生前」のほうが良い気もするけど、死後神のように崇められるのもなかなかできることじゃないし。

ぼくが震えるほどの感動を受ける曲を作った人が案外庶民として平凡な人生を送った事実。それを思うと、なんだかやるせない気持ちになるのでした。


2 コメント

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Unknown (さくら)
2014-04-07 20:23:24
名を残すような成功とは無縁の我々には、生前も死後もあまり関係ないですな。
あ、失礼、よしろ君にはまだチャンスがあるかな?

以前書評を載せてた「変な日本美術史」にも書いてあったけど、
日本の場合、特にゲイジュツ的なものは、生前評価される事に対して否定的だと。
生きてる時代の人々に理解され、評価されるなんてクソだという気分の方々が多いと。 

著者の山口さんはその傾向に対して批判的なんだけど、
自分も気分として生前評価を受けたものより、死後評価を受けたものの方が高級な感じがするのは、
分からなくもない。

そこら辺の気分は、やっぱりバッハやゴッホの評価のされ方の影響かもしれないねぇ。
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Unknown (よしろ)
2014-04-08 00:24:51
そう、まさにそれ!生前評価されたピカソなどは供給過剰にならないようがっちり売り方を制御して資産管理して、もう芸術家というよりビジネスマンでしょ。

そういうところにケガレを感じてしまうの、ありますよね。

といっても生前自作が1枚しか売れなかったゴッホ自身はもっと認められて楽な生活したかっただろうなあ正直なところ。

まあ、死んじゃえばみんな一緒だけど。
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