内容(「BOOK」データベースより)
西暦2083年、超光速粒子推進を実用化したピアノ・ドライブの普及により、人類は太陽系内のすべての惑星に到達していた。観測プロジェクト“クリーンアップ計画”により発見された謎の新天体2075Aの調査のため、深宇宙探査船DSS‐01“ファルケ”が派遣される。船長のブレイドをはじめとする搭乗員たちによる観測によって、この星は24年後に地球に迫り壊滅的な被害をもたらすことがわかった。迫る厄災の報を受けた地球では、様々な対策案が提唱される。ブレイドの姪である12歳の天才少女・風祭魅波はACOM(人工意識コンパニオン)のマイカとともに、天体物理学者である父・良輔が発案・提唱した驚くべき計画の実現を決意するのだった…。著者入魂の本格長篇宇宙SF。
ええ、ご察しの通り、最近は「山本弘」漬けです。
短編のふざけた作風は惹かれなかったが、『アイの物語』に感動してからは片っ端から読みまくっている。本作も上下巻の長編大作でとことんSF好きによるSFファン向けの傑作!
ホーガンの『揺籃の星』を彷彿とさせる地球破滅系のお話です。
この話の中では「ACOM(エイコム)」と呼ばれる人工知能が人々の必須アイテムとなっていて、さながら誰でも秘書を持てる世界みたいな、ちょうどスマホが意思を持ったような感じかな。
また網膜や内耳に微細なコンピュータをインプラントして見たり聞いたりした記憶を保存したり分析したりが自在に出来て。
さらに若返り手術が当たり前で平均寿命は180歳位。小惑星から稀少資源を採取できるから食糧問題もエネルギー問題も克服、となると国家間・民族間の諍いも激減!
近未来がいいコトずくめの夢の世界に描かれている。
そんな都合よくいくのか?基本楽観派のぼくとしては案外この話の詳細って実現するんじゃないかなって気もするのだけど、楽観過ぎかな?ここまで事細かに数値的な描写をしてるとまんざら夢物語とも思えなくなってくる。そんな理想社会に地獄絵図が出現するわけで、それも大いに有り得ることも含めてバカに出来ない未来予想です。
しかし唯一辟易するのが著者の幼女趣味でwなにかとロリコン的ディテールが出てきて、本の表紙にしてもそうだけど、この部分だけ共感できないです。それを加味してもまだ面白いから困る。
まあ個人の趣味だから難癖は付けないけどさw