石匠風間ブログ!

読書、音楽、雑学

最近は「和風総本家」

2015-07-30 | テレビ・映画・芸能
0120131223_tv_33.jpg

テレビ東京で日曜の昼に放映してるのを最近良く観るこの番組。年齢的なものもあるのか知らんけど、とても楽しくて。

大抵日本の職人について、それもあまり一般的には知られてないような地味な職人芸を見せてくれるのだけど、もちろんそんな企画は他局でもあろうが、この番組はよりそれをクローズアップして腰を据えてじっくり見せてくれるからかな。

工具をコンマ数ミリ単位で仕上げたり絶妙の加減で家具や道具を作ったり、それを見てるだけで心地いいのはなんでだろう。精密な器械を使う場合もあるし、まるっきり手作業で手先の勘に頼って極上の仕上げを見せてくれたりする。

ナレーションが「サザエさん」のフネさんで、これが抜群!番組コンセプトにも合致して和やかなトーンが耳にやさしい、とても安心を覚える。

なんか最近、テレ東が地味に良い番組作ってるような気がするなあ。この地味ってのがいいんだよねたぶん。当たり前のような「地味」感が見られなくなってきた世の中で、これは逆に視聴者を増やす手段かも。

職人を見せる合間にスタジオで芸能人がクイズに興じる部分があるのだけど、これいらないんじゃない?職人だけ見せてよ!
ってずっと思ってたのだけど、ある時真鍋かおりや井上和香が出てたら
「ん~、まあこれはこれであってもいいかな」と簡単に翻意するあたりがスケベオヤジです。


『船に乗れ』藤谷治その2

2015-07-26 | 読書

再読しながら。少し時間を於いて。その2を書きたいほど面白いとも言えるか。

この作品には生々しいほどにリアルなオケ事情やチェロ事情にあふれていて、それに関わる人には「そうそう、そーなんだよなぁ」的な共感に随所でおちいることになる。

サトル君=主人公がドイツで有名な先生に指摘される
「君の弾き方は弦を鳴らしている、弦ではなく楽器を鳴らすんだ」
っていうのは、まさしくぼくが常々悩んでいる重要な課題で、というかできませんw

早いパッセージになると音量が大きくなるとか、他楽器に負けないように弾きたいとか、気持ちが痛いほどわかる。
合奏の難しさそれ故の楽しさなんて普段感じる通りの感覚で、よくぞ書いてくれたと。

著者にとっては自伝的な位置づけの作品らしい。どこまでが事実なのか知らないけど、そうでなきゃこんなにオケや楽器に詳しいわけない。

となると、やっぱ2巻での大事件が引っかかってくる・・・

ぼくは単細胞だから本の中の話でも頭にきてしまう、とても腹が立つ。

この感覚は村上春樹の『色彩持たない多崎つくる~』で抱いたものと同じ、主人公だけに情報を与えずそれがミステリアスなストーリー展開を創るのだけど、そういうのはフェアじゃない、たとえ物語手法としての設えだとしてもすごく不愉快です。

あの時点では言えないでしょ的な落とし所をもってやがてサトル君も納得?するのだけど、ぼくがわからずやなのか、胸糞悪いのです。
そして「胸糞悪い」作品ってのが大概面白いんだ、残念なことに。

アマゾンのレビューを見ても賛否両論、ぼくの感覚を持つ人と持たない人がはっきり別れるようだ。まあ、フィクションに対して何熱くなってんの?って言われりゃ何ら抗弁できないのだけど。逆に熱くなりたくて読んでるところもあるけど。

ネタバレにならぬように書いているのでちんぷんかんぷんかもしれないけれど、機会があったら是非読んでみてください。

そして是非皆さんそれぞれの感想を教えて下さい。


薬のこと

2015-07-23 | 雑記
ぼくの親戚が浜松で薬局を営んでいる。

年を経て体にガタが来た昨今、相談することが多くなって、そうすると様々な薬を勧めてくれるというわけ。

ここ2年位飲んでいるのが「キョーレオピン」、要はにんにくなのだけど、そのまずさが効きそうな雰囲気wまあ薬なんてものは気持ち一つの持ちようで効いてる気もするし無意味な気もする。
滋養強壮に効果あり。蕁麻疹が出ると相談したらまず体質改善しなさいと勧められた。

そして薬じゃないけどテレビで特集してた「ココナッツオイル」もコーヒーに入れて飲んでいる。こっちはまずくない、むしろアクセントがあって美味しくなるかな。
成人病や認知症予防に効果的だとか。
ホントか嘘か、アルツハイマー患者がいくらか回復した事例があるとか。

こういったものを服用することは若い時には考えられなかった。もらっても飲まずにうっちゃってた。それが抵抗なく飲むようになったのは体より精神の衰えかもしれない。いや両方か。

正直、薬なんておおかたインチキだと決めつけていたし。
実際ただの水を万能薬のように売りつけている輩だっているらしいし、総合風邪薬なんて結局睡眠薬でしょ。

でも50を間近にして精神も軟化したか、軟弱化と言ったほうがいいか。
インチキだとしても心理的に安心できるのならそれはちゃんと効果があるのだし、目くじら立てて糾弾してるのもバカバカしい。

そして実際に普段科学的思考を心がけていても、風邪気味になった時
「最近キョーレオピン飲んでなかったなあ」とかふと思っちゃうのは人間的弱さとはいえ致し方ないでしょ。

世間一般から見ればぼくの薬服用はかなり少ないほうだと思っているけれど、今後歳とともに益々薬剤への依存は高くなるのだろう。

日頃「延命はしたくない!」と豪語しているけど、広い意味ではこれらも「延命」かね?


『船に乗れ!』藤谷治

2015-07-19 | 読書

内容(「BOOK」データベースより)
音楽一家に生まれた僕・津島サトルは、チェロを学び芸高を受験したものの、あえなく失敗。不本意ながらも新生学園大学附属高校音楽科に進むが、そこで、フルート専攻の伊藤慧と友情を育み、ヴァイオリン専攻の南枝里子に恋をする。夏休みのオーケストラ合宿、市民オケのエキストラとしての初舞台、南とピアノの北島先生とのトリオ結成、文化祭、オーケストラ発表会と、一年は慌しく過ぎていく。青春音楽小説。



くっ!悔しいほど面白い、面白すぎる・・・

クラシックやオーケストラに関わっていると特に面白さ倍増でしょう。

全3巻の青春小説、と言ってしまうと青臭く若者向けと思われるかもしれないがさにあらず。これは酸いも甘いも経験したオッサンこそ読むべきだ!と断言する。

実際40半ばのおっさんが高校時代を回想する体で一人称で書かれているから物事の捉え方がとてもアダルト。諦観が溢れているというか変に悟っちゃったような物言い。

実際、この津島サトルくんに自分を重ねてしまう人多いのじゃないかな。周りがみんなバカに見えて自分は才人だと根拠なく思い込み、チェロを弾いてオケに関わる。ってこれぼくのこと書いたの?とか未だにガキっぽい自意識過剰なぼくは思ってしまうw

1巻目は高校生らしく目まぐるしく奔走するキャラ達の活躍をストレートに書き綴る。
読了時点で大学でオケに入っている娘にすぐメール
「オケに関わってたら絶対読むべき!」

ところが2巻を読んでこれは早まったと後悔、どんでん返しが待っていた。高校生には重すぎる事態、ひどすぎる展開。

3巻は淡々と挫折を乗り越えてはいないが、それでも重い荷を背負って進むが如く暗闇の中でもがきながらも徐々に己を回復していく。

チェロやオケや音楽知識のかなり高度なものが散りばめられてそれが興味を引く部分もあるが、音楽だけじゃない、友情恋愛はもちろんだが哲学の解説としても秀逸。
一般課程の授業=倫理社会の先生がニーチェやデカルトをわかりやすく生徒に語る、それがとても面白いのだ。

ニーチェは重要な要素として物語全体の鍵になっている。こんなに理解しやすいニーチェは初めて読んだ。著者は只者じゃない!

なにせ読了後すぐ1巻から再読し始めちゃったくらい。
いやあ、これはすごいって。ホント。


強行採決とか

2015-07-16 | 社会・出来事
CJ7J02UUwAE7G2L.jpg
もうね、呆れますね。
こんな見え透いたパフォーマンスが支持されるとホンキで思ってるのかね?
小学校の学級崩壊と揶揄されてたが、それ以下でしょ。
なんだよ「自民党感じ悪いよね」ってw

安保法制についてはそんな「即戦争」みたいに過剰に反応しなくてもいいんじゃないかと思います。アジアの諸国も中国韓国以外には概ね支持されてるようだし、国際社会の中で担うべき責任を思えば仕方ないところだろうと。

「憲法違反」という批判をよく聞くけど、そもそも自衛隊を保持している時点で違憲なのだから何を今更ってところはあるのでは。
「憲法改正が先」というのは正論だろうけど、それじゃどれだけ時間がかかるかって話。

60年、70年の安保闘争の時も「戦争まっしぐらだ!」という批判が喧しかったそうだが、周知の通りとりあえず戦争になってないしね。

ただ、最大野党たる民主党はその立場として断固反対を貫くのは至極まっとう。今回も国会前で大規模なデモがあったようだし反対派の声を代弁するのに必要な存在でしょう。

でもだったら、というかだからこそ法に則りルールを守って冷静にそして知性的にやりなさいよ。来年には参院選も控えてるのだから、それを踏まえて戦略的に支持率を上げるように振る舞いなさいよ。辻本某のような賑やかしばかりが目立つ党って問題あるよ。

と、天に唾しても自分に降ってくるのです。彼らも我々有権者が選択した代議士、つまりあれは我々の姿なのでしょう。
大西郷曰く「人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし」です。

ちなみに以下の様なデータもあります。
CJ6ecHZUwAA5C27.png

まあ、強行採決も時には必要とは思います。強引さが国を救うことだってあるでしょう。

個人的には2500億もかかる新国立競技場のほうがよっぽど由々しき問題なのだけど。


『精霊の守り人』上橋菜穂子

2015-07-12 | 読書

内容説明
30歳の女用心棒バルサを主人公に、人の世界と精霊の世界を描いたファンタジー。野間児童文芸賞新人賞・産経児童出版文化賞・ニッポン放送賞・路傍の石文学賞を受賞した作品で、『闇の守り人』『夢の守り人』『神の守り人(来訪編)』『神の守り人(帰還編)』と続く「守り人」シリーズの第1弾。



これは凄い!ハリーポッターのような本格的な児童書ファンタジーが日本にもあるのだなあと感心した。

児童書といっても侮る無かれ、大人が読んでもまったく遜色ないというか、むしろ思いっきり惹きこまれちゃうから。躍動感半端ないから。

なんとなく「もののけ姫」を想起したけれど、もっと筋立てがわかりやすくてキャラも魅力的。
典型的で伝統的な冒険活劇としてその世界観が事前にしっかりと設計構築されているから、安心感を持って腰を据えてまったりと楽しめる、読書は基本こうありたいね。

現実世界とは完全に別の世界観であるものの、我々の古代でもこうやって神話が出来上がっていったのかなと思わせるような巧妙な筋立てで、オッサンにもわずかに残る子供心をくすぐられる。

こういう本こそ子どもたちに読んでほしいんだなあ。
そしてこういう本こそ案外遠い未来まで読み継がれ伝わってたりするのかもしれない。

しかし「30歳の女用心棒」って、珍しい設定だよね、大概若くて美人が主人公なのに。けどそれがバルサの強さにリアリティをもたらし物語の説得力を底支えしてるような。

べらぼうに強く賢く、人に温かい。こういう女性に弱いんだよなぁ。
コミックやアニメ版も見たらバルサが巨乳でw困るw


断れない人

2015-07-08 | テレビ・映画・芸能
先日「しくじり先生」というテレビ番組で去年ゴーストライター問題で話題になった新垣隆先生が出てました。
E696B0E59EA3E99A86.jpg

自分がどのようにしくじっていったかを講義するのだけど、その中でタイトルの「断れない人」が取り上げられ、
「みなさんの周りでもいませんか?PTAの役員を断れない人とか」

え。ぼくのことw
まいったなあ、その通りなんだけどね。

ぼくも新垣先生の立場ならゴーストライトしてたでしょう、そしてぼくならそのまま告白せずに甘い汁を吸い続けるつもりでいたかも。
その点、彼の実直な行動はまだ救いがあるのでしょう。

いやいやいや、よく考えてみたらゴーストライトとPTA役員同列にされてもねw

というかそもそもこの人
「日本で芸術音楽に関わる者で知らない人のない、トップランナーの1人として20代前半から注目されてきた芸術家」なのだとか。

この事件で本人も「人生終わった」と思ったそうだが、今年はバラエティに出まくってるしね。

セーラー服着たり節操のない活動に「先生何やってんすか!」と突っ込まれるが、

「バラエティに出るのは恥ずかしいのですが、わかったことがあるんです。
人に笑ってもらえることがとても嬉しいということ。ひとを喜ばせることが自分の歓びなのだと。」

なんか、思いもかけず名言に出会ってしまったw
これはとても素朴なのだけどあらゆる職業、いや仕事にかかわらずどんな活動でもあてはまるのじゃないかなと思いました。

今後の活動を応援したいです。
しかし自分より年下とは思えんなあ。


『みんなの少年探偵団』万城目学・湊かなえ 他

2015-07-03 | 読書

内容(「BOOK」データベースより)
怪人二十面相に5人の人気作家が挑む!懐かしくて新しい、傑作ぞろいのオマージュ・アンソロジー!江戸川乱歩生誕120年記念プロジェクト第一弾。



なにしろこの表紙が最高ですね!
ちょっと前に万城目学のレビューを載せたらケルンさんが「これも読んでみろ」と貸してくれました。「第1弾」ってことは続々刊行されるのかな?

こういうオマージュものって肩の力抜いて気楽に読めるので、それはそれで楽しい読書ですな。ある程度オリジナルを知っていることが前提なれど。

傑作と呼べるほどの作品はないけど、5者5様の少し穿った「怪人二十面相感」を展開していて飽きさせない。

名探偵・明智小五郎やその相棒・小林少年、時代的に仕方ないが型にはまった典型的正義の味方じゃないすか、それをちょっとほんのり崩すだけでとても人間味が豊かになって魅力あふれるキャラになるのだなあ。

ってほど崩してないのが本作だけど、もっとグダグダにしたらそれはそれで面白そうだ。

ところでこの「怪人20面相」シリーズ、小学生の頃学校の図書館にあったのをガツガツ読んだはずなのだけど、内容を殆ど覚えてないことに思い当たり愕然としてしまった。