石匠風間ブログ!

読書、音楽、雑学

『たそがれ清兵衛』

2004-04-29 | テレビ・映画・芸能
なんと!もう4月が終わるのかア!春が来たと思ってたらこの調子じゃすぐに冬になりそうだ。

前々から見たいと思っていた映画がこの『たそがれ清兵衛』、監督が山田洋次なら見なくても分かりそうな内容だが、予想通りとても面白く激しい感動はないのだがあとからじわっと染み出てくるような感動があった。

ストーリーはどうってことない、これまで何度も使い古されてきたようなありがちな人情時代劇で、逆に言えばそういうなかでどうしてあのように感動作を作れるのかとても不思議だ。

寅さんなどとも共通する監督のねらいは本人も公言するように「古き良き日本を映像で残しておきたい」ということだろう。山形の方言も庶民のくらしも人間関係においてそこかしこに見え隠れする『武士道』も遠い未来の日本に伝えたい大事な文化なのだ。

これを見ちゃうと同じ武士道ものの作品として『ラストサムライ』の作品としての底の浅さを感じずにはいられない。エンターテイメントではあるけどね。

ところで「清兵衛」って「せいべい」って書くと変換できない、「せいべえい」と書かないとダメです。これが正しいのかな?


郷土の偉人の実態

2004-04-23 | 歴史
火曜日に「渋沢栄一」の勉強会のような集いに参加した。郷土の偉人とはいっても栄一の生家のある血洗島はもともと岡部宿の範疇らしいが。

渋沢栄一は明治維新の激動期において日本経済の立役者として財界では未だに根強い信仰を維持しているが、維新の英雄としては西郷どんや坂本竜馬などに比べてイマイチパンチが弱い。とても大河ドラマの主人公になるキャラではない。

ぼくも受験のときにチラッと勉強して知ったけど印象は薄かった。それが大学生のときに城山三郎の「雄気堂々」を読んでこりゃすごい!と感動した。むしろ玄人好みの偉人だな。事実近代日本の経済基盤は彼が作り上げたといえる。

講師の先生によると、坂本竜馬が海援隊を起こすときに会社の作り方を渋沢に聴きに行ったという逸話があるらしい。その当時渋沢はヨーロッパ視察によって合本会社(株式組織)の数少ない理解者の一人だったからだ。まあそのほかにも様々なエピソードを聞いて渋沢にかぶれて帰ってきた。

木曜日に渋沢栄一をあまり好きじゃないという人と話した。
渋沢は論語の精神といって財産を残さなかったとか子孫を関係会社の後とりにしなかったとかいうが、孫の渋沢敬三は第一銀行の頭取を務めその邸宅は豪華を極めたものだ、西郷は本当に何も残さなかったのだから偉人としての価値が全然違う、と。

明治維新、100余年前の歴史ながら真実はなかなかわからないものだろう。坂本竜馬だって英雄扱いされているが、実は木戸孝允が操っていただけで歿後日露戦争に際し忘れ去られていた竜馬を英雄として祭り上げ国威の発揚を図ったのもその木戸孝允だという説が歴史学者の間である。まあ、確かに一介の脱藩浪士が藩の代表と謁見しているのも混乱時とはいえまだまだ身分制度の厳しい時勢に無理があるかもしれないな。

でも、真実がどうだっていいじゃないか!ぼくはやっぱり司馬遼太郎の描く竜馬が大好きで「竜馬が行く」は依然としてバイブルなのだ。
そしてまた、ここ深谷においては渋沢栄一は永遠の偉人であるべきだ、誇れる郷土への一助となるのならば細かいことは見過ごしてもよいだろうと考える。

そういう手前勝手な論理によって自己正当化していくのが人間の性(さが)なのだ


イラク人質事件

2004-04-19 | 社会・出来事
とりあえず5人すべて開放されて解決となった。まずはめでたいことだ。
今更述べるまでもないが、今回の事件で改めて注目されたのが「自己責任」ということ。責任を背負って初めて自由が生まれる。平和ボケした国民にはちょうどよいカンフル剤となったのかもしれない。

事件発生直後は人質の家族がテレビ等で「頼むから自衛隊を返してくれ」とか「助けてください」の連呼状態であった。僕自身も家族がさらわれたらどんな醜態をさらすか分かったものではないが、自分を棚に上げて言うと、いささか不快感を感じた。それをここに書こうかどうか迷っているうちに解決した、それも最も望ましい形で終結したので書きやすくなったことも事実だ。

政府からの避難勧告・退去勧告を無視して危険地帯へ自ら行った以上、自己責任としてとらえて欲しい。もちろん国家としては最善を尽くすが、それをメディアを使って家族が訴えるのはいかがなものか。同じように感じた人が多くいたらしく人質家族への嫌がらせ電話や脅迫文書が多数入ってきたそうだ。
ネットの掲示板では事件当初から「3ばか大将」と命名されてくそみそに言われていた。

脅迫文というのも輪をかけて無責任ではあるが、とにかく数日後にはこの家族たちはテレビで「ご迷惑をおかけして・・・」的な発言をするようになった。
きっと今後もいくらかの社会的な冷遇はあるだろう。

今回の事件から得られる教訓は「身内の為にむやみに人前で泣かない、公の場では男子たるもの毅然とした態度を取ること」であろうか。
書いてて思い出したのが昨年ご19歳のご長男を亡くした先輩のこと、彼は葬儀の場で焼香する人たちの横に立ち「足元の悪い中ありがとうございます」と一人一人に涙も見せずに敢然と挨拶していた。立派だなあと感じた。ぼくは果たして立派でいられるだろうか?


植草教授

2004-04-13 | 社会・出来事
フジテレビ「トクだね!」など報道番組でコメンテーターを努めていた経済評論家・早稲田大学教授の植草教授が手鏡で女子のスカートの中を覗くという随分とつまらないことで捕まった。

ぼくは「トクだね!」をほぼ毎日30分だけ見ていて、曜日ごとに変わるコメンテーターのうち植草教授はなかなか鋭い発言をするなあと出演を楽しみにしていた。発言も鋭いしルックスもかなりイケてたのに何でやねん?収賄とかそういうことならまだしも、かっこ悪すぎだ。

人気コメンテーターは経歴も凄い!東大経済学部卒業し京大助教授をはじめ野村総研の主席エコノミストや大蔵省財政局勤務などまさにエリートを絵に描いたような人。まだ43歳だからね、血統が違うね。

エリートと言われるような人はやっぱりどこかでバランスをとるために下劣な行為をしてしまうのか?それにしたって金持ってるだろうからそんなことしなくても欲望を満足させることくらい簡単な気がするのだが、もしかしたらその方法を知らなかったのかな?知ってても抑えられなかったのならこれは人間失格だ、仕方がない。

でも、世の中のエリートたちがもしかしたら下々の欲望解消法を知らないで育ってしまっていることもありえなくもない。人間バランスだよね。
いずれにしろもう植草教授のコメントが聞けなくなるのは残念だ。


自画自賛シリーズ

2004-04-07 | 地域・暮らし
先日萱場自治会の総会に出席した。17組の班長なので仕方なくだけど。でもこの日で新班長に交代だからね。1年間何もしない班長だったなあ。
最後の議題で『萱場自治会館新規建設に伴う建設委員の選出』という案件があり、自治会長から「是非班長さんに兼務していただきたい」とお願いがあった。誰かがやらなければならないなら仕方ないだろうと思っていたらおもむろに手が上がった。
「今回たまたま班長になったからといって建設委員にされてしまうのはおかしいでしょ!?」

それほど大変な役だと思えないしそんな意見が出るのが不思議だ。公の精神って知ってるのかな?なんて思っていたら、まばらながらも拍手がなってる!
そしてそれを支援する意見がまた出る。自治会長は苦しいながらもなんとか答弁した、簡単に決まらない役なので班長さんにご理解いただきたいという趣旨だ。それに対して説明になっていないと言う意見。なってるだろうが!

大人がこんなザマだからね、子供社会が荒れるわけだ。
臆病者のぼくは特に発言しなかったけど、とりあえずだまって役を受けてきた。えらいなあ~、ぼく。


島田荘司 著『ねじ式ザゼツキー』~御手洗清シリーズ

2004-04-04 | 読書
一番新しい御手洗シリーズが図書館にあったので借りて一気に読んだ。

以前「読書部屋」で御手洗清は紹介したが、知らないひとの為に解説しよう。御手洗というしろうと探偵が天才的な頭脳で難事件というかむちゃくちゃなありえない事件を見事に解決していく、まあ推理小説なのだが、シャーロックホームズを意識して書かれていてワトソン君にあたる友人が彼の活躍を文章にしているという設定で、少々理屈っぽくて大掛かりな設営で状況説明が細かくてくどい、しかもどれも大長編、実際読みにくかったりする。

ここまで言うとどこが魅力的だかわからないだろうけど、魅力はズバリ御手洗清にある。実際にこんなやつはいないほど天才であることはともかくそのキャラクターに深~い魅力がある。どこが魅力的なのかは読んでもらわないと分からないだろう。

シリーズ14作目くらいの今回は、またとんでもなく大掛かりな設定で読んでいてかなり疲れた。最初に読むのなら『暗闇坂人食いの木』とか『異邦の騎士』あたりがおすすめ。手っ取り早く御手洗の魅力を知りたければ短編集『御手洗清の挨拶』『御手洗清のダンス』は短くて読みやすい。

推理小説にありがちな無茶な設定は無い、とはいえないな、むしろオンパレードだな。それでも読みたくなる魅力を持つ。つまりなんでもそうだけど人は人の魅力=人間性にこそ惹かれるのだ。