住宅ローンの返済延滞が続出という報道がありました。
景気の早期復活の見通しは暗く、景気の二番底が危ぶまれており、非正規社員の解雇、正規社員のリストラも今後も実施され、可処分所得が減額傾向にあり、住宅ローンに延滞が増加しており、亀井金融相のモラトリアム発言については、一部から批判されていますが、当方は的を得た発言と思っています。
日経オンラインで『住宅ローン、「返済困難」続出 大手銀が対応強化』を転載すると、
”『勤め先の業績悪化で収入が減り、住宅ローンの返済が困難になる人が目立ち始めた。返済期間を延長して月々の負担を軽くするなど金融機関に契約条件の見直しを相談する人が増えている。民間金融機関の住宅ローン残高は100兆円以上で延滞が増えれば銀行の業績への影響は必至。各行は相談態勢を強化するなど対応に乗り出した。
国民生活センターによると、「勤務先に解雇され、住宅ローンを返せなくなった」といった住宅ローン関連の相談は4月以降、1625件。前年同期(1112件)より約5割増えた。』”
と報道しています。
住宅ローンの延滞問題については、荻原博子女史が「文藝春秋」(2008.02)に『日本版サブプライム破綻の日』で、2008年から、国内の住宅ローンの焦げ付きが続発する可能性が高いと論じていました。
その危険性の要因として、旧住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)の融資基準緩和であり、「ゆとり返済」による5年後、10年後からの返済額の増額仕組みであり、可処分所得が増えないのに、返済増額に制度上の問題を指摘していました。
また、澤井景子女史が「密かに広がる住宅ローン延滞の危機」(「日本版サブプライム」という悪夢の可能性は?)で、住宅ローンの家計への比率UPの問題を警鐘しています。
澤井景子女史は、
”「日本の住宅ローンは通常のリコースローンです。住宅が差し押さえられても、その価格がローンの残額を下回る場合は、差額は引き続き借金として残ります。 。」”
と、個人が住宅ローンが返済滞納し、住宅を差し押さえられたら、住宅で清算できなければ、住む家がなくなり、借金だけが残る悲惨な状況になります。
当方は、非常時であり、亀井金融相のモラトリアム発言(貸し剥がし、貸し渋り法案)は、生活を守る観点からも、的を得た政策と思っています。
昨年のリーマン・ショックによる金融危機は、経済規模の縮小であり、特に、グローバル化してきた日本は深手を負っており、企業も延命に事業スリム化し、派遣切り、賃金・ボーナスの減額、リストラ実施、更なるコストダウンを目指し、庶民の生活は金欠生活を強いられ、20年前の歳入規模、経済規模のデフレ経済に向っており、亀井金融相のモラトリアム発言は、金融システムのモラル破壊に繋がると批判意見がありますが、まずは、景気の二番底回避と社会的弱者の救済支援が先決と思っています。