傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

拉致問題:蓮池透・薫兄弟の意見が解決への正攻法

2009-10-04 04:28:30 | 拉致問題

拉致問題については、歴代首相が「自分の政権で解決する」と広言してきたが、具体的に何ら解決への展開が見えず、「対話と圧力」路線では膠着状態を打開できるとは思えず、限界ではないかという歯がゆい思いがあります。
NHKニュースに、蓮池薫氏とのインタビュー内容があり、「経済的な見返り」を踏まえた折衝を切望していると報道しており、当方も補償(経済的支援?)を前提とした「対話と圧力」路線にすべきと思うこの頃ですね。

NHKニュースの『蓮池さん 実質的な交渉求める』を転載すると、

”「北朝鮮による拉致被害者のうち5人が帰国して今月で7年がたちます。その1人、蓮池薫さんが3日、NHKのインタビューに応じ、「残された拉致被害者が帰国できるよう、政府は北朝鮮を動かすための実質的な交渉を進めてほしい」と話しました。

昭和53年、北朝鮮に拉致された蓮池薫さんは、平成14年の日朝首脳会談の翌月に帰国を果たしました。蓮池さんはことし発表した手記「半島へ、ふたたび」が「新潮ドキュメント賞」を受け、その授賞式で上京したのにあわせてNHKの単独インタビューに応じました。
この中で、こう着状態にある拉致問題について、「絶対に動くと思っている。われわれが帰国できたのは北朝鮮なりの目的があったはずで、それは経済的な見返りだったと思う。それが実現されてないまま引き下がるかというと、絶対にそんなことはない」と話しました。
そのうえで、政府に対し「日本としての姿勢を見せると同時に、北朝鮮が何を望んでいて、どういう情勢なのかということをしっかり踏まえたうえで交渉をやってほしい。
動かない北朝鮮をなんとか動かして、われわれの目的に沿った解決を出していく。並大抵の努力ではないと思いますが、ぜひやってほしい」と求めました。
また、拉致問題をめぐる世論について、「国民の関心が薄いと、解決に向けた落としどころが被害者家族が望んでいるところからかけ離れてしまう。国民の皆さんの声というのは、『北に対して強く当たれ』ということだけじゃなくて、『交渉やれよ』『早く進めろよ』というプレッシャーとして国に向けられるべきだと思う」と話しました。
蓮池さんは今後、執筆活動を通じて拉致問題の解決を訴えるとともに、日本の人たちが朝鮮半島や東アジアの平和について考えるきっかけ作りにも取り組んでいきたいとしています
。」”

と報じています。
NHKニュースですから、蓮池薫氏の言葉を、間接的な語句にしているのでしょうが、当方には、意味深なニュースと感じましたね。

当方が注視した部分は、
(*)”『こう着状態にある拉致問題について、「絶対に動くと思っている。われわれが帰国できたのは北朝鮮なりの目的があったはずで、それは経済的な見返りだったと思う。それが実現されてないまま引き下がるかというと、絶対にそんなことはない」と話しました。』”
(*)”『拉致問題をめぐる世論について、「国民の関心が薄いと、解決に向けた落としどころが被害者家族が望んでいるところからかけ離れてしまう。』”
の箇所です。

当方が啓発されているブログ「社会科学者の時評」様の『■ 埒があかない拉致問題 ■』を読み、「家族会」、「救う会」の変遷を知り、特に、拉致帰国者の蓮池薫氏の実兄で、家族会の初代事務局長の蓮池 透氏が家族会と距離を置いた北朝鮮観が現実的と思いましたね。

「社会科学者の時評」様は、

蓮池 透の悟り
蓮池 透が拉致被害者の意識を変化・発展させていきながら,確実に悟ったあることがある。それは,北朝鮮に対する「制裁よりも交渉を」であり,「いかなる民族であれ,コミュニケーション,ネゴシエーションなくして,和解はありません」(『拉致対論』218頁)という基本認識であった。太田『「拉致」異論』に巻かれた帯には,こう謳われていていた。「拉致家族だけが “国家の虜囚” なのか? 『救う会』の煽動政治的発言と嵐のような排外主義に抗して」。・・・・」”

”「蓮池 透のほうでは,四半世紀も北朝鮮に「拉致された弟・薫」,そしてその「兄という立場」と突きあわせていく方途において,「在日コリアンの方をはじめとして,日本という国のやったことの犠牲になったり被害にあわれた様々な方たちと,これから私たちが本格的な対話を始めることはとても大事なことのように思えます」(『拉致対論』209頁)と,「寛容の心」をもって相手に対していえるようになった。」”

”「蓮池 透のその態度は,「家族会は他者に対してしだいに非寛容になり,『絶対的な被害者』として自分たちへの疑問や批判を許さないという意味での『強者』としてふまうようになった」(24頁)これまでの体験の経過を,反省し,払拭するものである。」

と、蓮池透氏の北朝鮮認識の変節を論じています。

「社会科学者の時評」様は、

現在「家族会」の2代目事務局長の増元照明氏については、
増元照明は,一言でいって「北朝鮮に対する憎悪感」を剥きだしにしながら,北朝鮮という独裁国家を口をきわめて非難・攻撃する姿勢を構えている。ついでに中国までボロクソにいってやまない。増元は実兄を北朝鮮に奪われ,しかもいまだに,その生死さえ確認できていない状況のなかで,精神的な我慢を限界をはるかに超えたためか,この感情表示を率直かつ過激に行動に反映させた言動を記録してきている。」
と論評しています。

そして、

”「旧日本帝国による朝鮮に対する植民地支配に関していえば,日本はいまだに北朝鮮についてはなにも補償していない。
「日朝平壌宣言」はきわめてあいまいなかたちでしか,日帝時代の政治責任を認めていないにせよ,もしも鳩山首相率いる日本政府が「拉致問題」も含めて,あらためて本格的に日朝国交樹立めざして北朝鮮との交渉に入るとすれば,「家族会」の成員でいえば増元照明の価値観・方向性では破綻あるのみであり,蓮池 透の悟った世界観・目標性であれば,努力しだいでいくらでも実現の可能性は開けている
。」

と蓮池 透氏の主張が現実的と結んでいます。

傍観者である当方には、老いてゆく横田早紀江さんの健気な講演活動ニュースを接する度に、我慢強さと親の愛を痛烈に感じ、政府に「もう弁解無用、なんとかしろ!」と怒鳴りたく心境になり、政府に苛立ちを感じる思いで、増元照明事務局長には、心情を察するが、蓮池 透・薫兄弟の論調が現実的と思うこの頃です。

拉致問題は、日本と北朝鮮との2カ国の問題であり、朝鮮半島の非核問題、北朝鮮のミサイル脅威もありますが、歴史的事実を踏まえた自省歴史観で、戦後補償(経済的支援?)を前提での折衝が正攻法と思っています。
蓮池 透・薫兄弟の論調に同感の思いですね。

それにしても、日本の政府・外務省は、何を基軸にして、拉致問題を取り組みしてきたか?、不可解ですね。



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