傍観者の独り言

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汚染水問題:トリチウムは希釈して海に放流?・・・学会が経済的観点で?

2013-09-05 20:50:15 | 社会

福島原発事故による汚染水について日本原子力学会が放射性物質の除去装置では取り除けないトリチウム(三重水素)は、水で希釈して海に放流すべき見解を発表と報道。
トリチウムを現行の除去装置で除去できないのであれば、世界の皆が納得できるまで除去技術を開発するのが産学官の本筋であり、技術開発をバンザイして海に放流する程度の原子力技術力で原発輸出、オリンピック招致など笑止千万です。

9月3日の朝日新聞の記事『原子力学会が見解 「トリチウム 薄めて海に流すべきだ」』を転載すると、

”「日本の原子力学会の事故調査委員会(委員長、田中知・東京大教授)は2日、東京電力福島第一原発事故で増え続ける汚染水について、放射性物質の除去装置で取り除けないトリチウム(三重水素)は薄めて海に流すべきだとする見解をまとめた。ほかに手はなく、高濃度の放射性物質が漏れるリスクを減らすべきだとしている。
 この日公表した最終報告書の原案の中で示した。原案の中に、トリチウムを自然界に存在する濃度にまで薄めて海に流すことを盛り込んだ。
トリチウムは水素の同位体。法で定める放出限度は1㍑あたり6万ベクレルで、放射性セシウムに比べ千分の1の濃度。水として振る舞うため調査委員会は生物の中で濃縮されることはないとしている。
 福島第一原発内にあるトリチウムの量は、定められた年間放出量の数十年分になる。年間放出量を超える量の放出について田中委員長は「(福島第一原発は)通常の原発ではない。全体のリスクを低減する必要がある」とし、放出の基準の見直しも検討すべきだとの考えを示した。
 このほか、原案では事故の直接原因として「津波や過酷事故への対策が不十分だった」と指摘。東電や規制当局の姿勢を批判した。原案は3日から青森県で開かれる日本原子力学会秋の大会で報告される。年内に最終報告書をまとめる
」”

と報道。

原子力に無知な当方は、この記事については消化不良気味で、田中知委員長の言う「(福島第一原発は)通常の原発ではない。全体のリスクを低減する必要がある」の「全体のリスクを低減する」意味は何を言わんとするか意味不明であるが、現行の東芝製の除去装置では除去できないトリチウムは諦めて、早期に汚染水の除去作業を再開させ除去済汚染水に含有するトリチウムは希釈して海に放流することが現実解で、今後予想される不具合のリスクが軽減できると解釈でき、今後予想される不具合のリスクも意味不明ですね。

トリチウムについて、東京電力は、平成25年4月26日、【資料4-1】「福島第一原子力発電所のトリチウムの状況について」で、トリチウム除去技術は調査中とし、調査結果に「 水-水素交換法(液層法)+電解法」の採用例・・・・「ふげん」の「重水精製装置Ⅱ」は、
「水-水素交換法(液層法)」
 ・触媒を用いて低温で水素原子の置換反応を行う方法
 ・高濃度トリチウムを対象とした技術で、塔内に液を均一に分散させるための内部構造が複雑なため、処理流量に上限がある。
「水-水素交換法(液層法)+電解法」
 ・二種類の技術を組み合わせたもの
 ・高濃度トリチウムを対象とした技術で、処理量に上限がある
 ・「ふげん」で採用されたアルカリ電解槽はアルカリを取り除く工程が必要

と報告し、【資料4-2】に「新型転換炉原型炉「ふげん」の重水精製装置における重水精製(トリチウム分離)実績について」を参考に紹介しています。
東電の参考資料にある新型転換炉原型炉「ふげん」については、平成20年2月12日、新型転換炉ふげん発電所は、原子炉廃止措置計画の認可を得て、「原子炉廃止措置研究開発センター」(通称:「ふげん」)に改組し、原子炉廃止措置の研究開発を進めている組織で、技術開発成果(概容)に「トリチウムの管理技術」の項目があり【技術報告】「ふげん」におけるトリチウム管理を公表しており、廃止措置に係る技術開発に「重水トリチウム除去技術」の項目があります。

東電の調査報告では、「ふげん」で開発されたトリチウム除去技術については、適用の可否は今後も調査するとあるが、原子力学会の事故調査委員会は、”「放射性物質の除去装置で取り除けないトリチウム(三重水素)は薄めて海に流すしかほかに打つ手がない」”とは、学会の見識・力量を疑いますね。
福島原発事故の誘因に原子力学会による原子力ムラを先導した安全神話があり、福島原発事故で総懺悔すべきなのに、トリチウム除去技術開発は技術的限界とし薄めて放流したいという営利組織の東電の本音を原子力学会が代弁しているとしか思えないですね。
事故の自責の念が原子力学会にあれば、営利組織の東電が技術開発出来ないと言うのを学会が総力上げてトリチウム除去技術開発を担うとし、技術開発が実現するまでは東電側で汚染水を保管しとけと助言するのが自然体でしょうね。
現行の東芝製の放射性物質の除去装置では除去できないトリチウム除去技術を研究開発の先導するのが学会なのに、東芝製の除去技術並かそれ以下の技術開発力しかないのが原子力学会の力量ということなのでしょうね。

自然界に存在するというトリチウムの毒性については、ネットでは諸々の情報がありますが、想定外であろうが原発事故を起し世界に大気汚染、海洋汚染の公害を発生させた地震国の日本が「東京は安全だ! オリンピックは安全な東京で!」の喧騒は異常ですね。
この程度の技術力・見識で、原発輸出などは笑止千万ですが、笑止千万と過ごすことが出来ないことが日本の悲劇です。
それにしても、学会の見解が放射性物質を海に放流とは、開いた口が塞がらない!



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