銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

手話と口話

2016年11月20日 | Hの生きる喜び、それは

突然ですが、「西川はま子」という方をご存知でしょうか
もし、ご存じなければ、「西川吉之助」はいかがでしょう

私は「ノー」でした
今日、初めて知りました

伊丹の聴覚障がい者さんたちのバス旅行に、今年もご一緒してきました
行き先は近江八幡


水茎焼の絵付け体験や、八幡堀周辺の散策など
よくある近江八幡の観光プランでしたが、
職員の方からどうしても立ち寄って欲しいと言われた場所がありました

それが、「西川吉之助」さんの家(跡地)です
ところが、観光協会に聞いても、町並み案内人に聞いても分からない
地図で調べても、何もない

ガイドさん曰く「近江八幡は西川の姓をもった商人ばっかりですから
誰かと勘違いしておられるんじゃないですか、多分西川利右衛門でしょう」

そんなこんなで分からないまま今日を迎え、
西川利右衛門に寄ろうとしたところ、

「利右衛門じゃないです、間違いなく、西川吉之助です!」
「私たちの間では当たり前に有名な方で誰でも知ってるんです、
でも、一般の方には分からないかも・・」としょんぼり

「え、ほんまに吉之助ですか??」と、あわてて再び探し始めるガイドさん
協会に聞いても知らないんだから、町の長老らしき人??に確認し

ようやくわずかな情報を得ました
今では、家の跡も、碑も、案内表示も何も残っていませんが
ここに住んでいたであろう場所を突き止め、案内することができました

西川吉之助、とは、口話教育の普及につとめた第一人者
西川はま子、とは、吉之助の娘で生まれながらに聴覚障がいを持った人

娘のために、と父が口話教育を研究し、広めたのです

そもそも私は、「口話教育」という言葉ですら初めて聞きました

手話とは全く違います
口の動きで言葉を読み取るのです

西川はま子は、手話教育をいっさい受けず、
正しい口形の読み取りと、正しい発話を身に付けました

聞こえない耳を持ちながら、口話法を習得するのは、至難の業です
父から厳しく教え込まれたことによって、努力をし、
その甲斐あって、聴覚障害者とは思えぬほど流ちょうに、国語の教科書を朗読したそう

その朗読や会話がラジオで放送され、世の中のろう児の親たちを驚かせました

聴覚障がいを持った方のコミュニケーションは手話が一般的とされていますが、
小さい時から手話を使うことに慣れきってしまうと、
いつか社会に出て行った時、否応無しに手話を知らない人と出会う事になります
例えば私のように・・
その時、どのようにコミュニケーションを取ればいいのでしょう?
いずれ社会に出て行って、そんな壁にぶつかっても乗り越えられるように
考えられたのが口話教育、だそうです

聴覚障がい者のグループのバス旅行だと、静かだと思われるでしょうか
いえ、全くそんなことないんです

ボランティアさんがたくさん来てくださって、
手話や筆記で説明をし、その説明に、手話や筆記で返事するのではなく
口の動きや、声に出して反応してくださるのです

ひとつひとつの言葉をすくい上げるように、
ゆっくりと、丁寧に

あ、り、が、と、う

手話だって、手をポンと打ったり、素早く動かしたりと、音が出ます
だから、けっこうバスの中は賑やかなんです(笑)

ボランティアさんも、手話をしながら、口の動きも大きくしてくださり、
嬉しい、悲しい、などの顔の表情も豊か

皆さんは、あらゆる方向から意味を理解するのです

吉之助の娘を深く思う愛情から生まれた「口話」
果たして今どれだけ浸透しているのでしょうか

口話法のみの教育に反対をし、
強く手話を推し進めた、高橋潔というろう学校の先生がいました
日本のろう教育において、手話の発展に大きく尽くした人です

西川吉乃助と高橋潔は、
ろう教育者として同じ時代に生きましたが、
その教育法は、口話と手話に分かれて、お互い相容れることはなかったようです

その後、吉之助は何かに行き詰まり、自死という道を選びます
吉之助の死後、41歳の若さで無くなった娘のはま子の死因も謎に包まれています

手話 OR  口話 でないといけないのでしょうか
手話 & 口話だといけないのでしょうか

一日そこら、聴覚障がいの皆さまとご一緒しただけで
偉そうなことを言える立場ではありませんが、

今日一日、皆さまが手話も口話も分け隔てなく、
コミュニケーションツールとして活用され、
楽しんでおられた様子を見て、そんなことないんじゃないかと思いました

気持ちが伝われば、笑顔だって、ジェスチャーだって
立派な伝達ツール、だと思います

関西初展示のバイカルアザラシ(琵琶湖博物館)

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