ストレステスト

2011年07月07日 | 防災と琵琶湖


 



【EUのストレステスト 6月1日に開始】

2011年6月1日以降は、EU内のすべての143の原子力発電
所は、EU全体の基準を使用して再評価された。これらは
自然と人工的な危険(飛行機墜落やテロ攻撃)の両方を
取り入れた包括的なテストだという。欧州委員会と欧州
の原子力安全規制当局グループ(ENSREG)の合意基準に
基づき実施される。

ストレス・テスト(stress test)とは、システムに
通常以上の負荷を
かけて正常に動作するか、つまり隠れ
た欠陥がないか調べるリスク管理
手法。原発のストレス
テストは、原発の設備が安全基準で決められた水準をど
の程度上回っているかを調べる評価作業。大きな地震や
津波なとの際の安全性にとの程度余裕かおるかが分かる。
個々の原発の弱点を明らかにし、補強につなげて安全性を
高める狙いもある。東京電力福島第1原発の事故後に実施
を決定した欧坦連合(EU)では、中間評価までに約3ヵ月か
かるとしている。
 

【ストレステストの概要】

ヨーロッパ諸国の原発に対する既存の安全性解析は、多
種多様な状況を網羅している。福島で発生した事故で示
された問題点を検討上、災害と事故を含めストレステス
トの技術範囲が定義する。

a)起因事象

 地震、洪水

b)起因事象による設備の安全機能の損失

 ・電源損失
 ・冷却設備の損失
 ・その双方の損失

c)重大事故の管理問題

 ・炉心冷却機能損失の管理
 ・燃料貯蔵冷却機能損失の管理
 ・事故封じ込め管理

尚、b)、c)は、福島地震津波に限定されず、
水などの
悪天候条件を追加する。さらに、AC配電システ
ムや
森林火災航空機の墜落事故による大規模停電など
の間接的な安全機能損失なども含める。これは、安全と
緊急事態にかかわるものも含まれるが、一般的な公共機
関は対象外とする。


一般的側面

提出報告書の形式

原発サイト特性の明記

・設置場所(海、川)
・ユニット番号
・ライセンスホルダー
・原子炉形式
・発電出力
・最新の臨界データ
・使用済燃料貯蔵量

ユニット間の安全性に関わる有意差を明確にし、評価範
囲と確率論的安全性の事前評価結果の提出

さらに、第二部にある過酷状況での評価方法を経なけれ
ばならない。

前提

6月30日まで稼働する現存設備再評価。建設中の設備は
受理された設計内容で再評価する。過酷想定とは未検査
設備に限定せず、原子炉と使用済み燃料の双方への影響、
反応域の劣化状態をも加味するものである。

・自動機能
・緊急時操作手順にもとづく再現評価
・その他、計画的予防処置および復旧と事故の鎮静化

内包情報

3つの主要側面の報告

・プラント設計基準と内部規定、設計要件への適合性
・設備の設計想定を超えた堅牢性(可能な余剰設計
 様性
冗長性保護構造、物理的隔離などと多重防
 護
概念評価。堅牢性の再構成と評価
 
その回避のための施策の検討見直し一つの焦点に
 クリフ・
エッジ効果(突出現象)に対する逐次的、総
 合的評価。
・構成要素および防護水準と独立性強化による多重防護
 の再構成

             (中略)


地震

1.基礎設計

a)耐震設計

設計基準の地震(DBE)のレベルは最大加速度(PGA)で
表現と選択理由明記。

b)DBEに対する防護規定
c)規定遵守

2.裕度水準

d)耐震裕度評価
e)入手可能な情報
f)想定を超える地震および洪水

洪水

1.基礎設計

a)耐洪水設計(DBF)
b)DBFに対する防護規定
c)規定遵守

2.裕度水準

d)利用情報の構築

電力と冷却装置の喪失

a)別置き予備電源の喪失
b)別置き予備電源と非常用電源の喪失
c)初期緊急冷却装置の喪失
d)電源喪失下の初期緊急冷却装置の喪失

※原子力安全委員会の「東京電力株式会社福島第一原子
力 発電所における事故を踏まえた既設の発電用原子炉施
設の安全性に関する総合的評価実ついて」はこれを下地
に作成されているので下記掲載の「脚注及びリンク」を
参考にされたし。津波対策と洪水対策というのが対応し
ているが、活断層などのデータがどの様に利用されてい
るのか等詳細なことについては、時間を見計らい調べる
ことにする。




【エピソード】

国会中継をみていて現状認識の混乱さがうかがえる。
国民の大多数がこの国会政治劇場に不満をもっているが、
誰がリーダになろうとこんなものだろうという思いと、
もっと強力なリーダを求める心がせめぎ合う。いずれに
しても、易きにつかず、大所・高所に立った住民の全体
のになる行動を望むほかない。

このたびの、欧州連合の原発の包括的なストレステスト
の動きは断念ながら上手である。公的(政府)-私的(
民間)な役割分担に対するシステマティクな仕分けがで
きなければ、おおよそ原発など管理できないぞと、日本
政府、国民に指摘されている様なものだ。これも、二つ
の大戦をかいくぐってきた欧州の底力なのかもしれない。
 

【脚注及びリンク】
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1)「
Joint Declaration on comprehensive risk and 
    safety assessments of nuclear plants

2)「EU Stress tests specifications
3)
放射線量モニタまとめページ
4)緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステ

5)「IAEA 安全基準」原子力安全基盤機構
6)「東京電力株式会社福島第一 原子力
発電所における
  事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に
   関する総合的評価実ついて
」2011.7.6
7)「Fukushima Accident: Actions for the Future
   from Industry’s Perspective

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