【琵琶湖周辺の原子力発電設備】
設置者 | 発電所 | 号炉 | 所在地 | 炉型 | 出力 | 運転開始 |
関西電力 | 美浜 | 1号 | 福井県三方郡 | PWR | 34.0 | 70/11/28 |
関西電力 | 美浜 | 2号 | 福井県三方郡 | PWR | 50.0 | 72/07/25 |
関西電力 | 美浜 | 3号 | 福井県三方郡 | PWR | 82.6 | 76/12/01 |
関西電力 | 高浜 | 1号 | 福井県大飯郡 | PWR | 82.6 | 74/11/14 |
関西電力 | 高浜 | 2号 | 福井県大飯郡 | PWR | 82.6 | 75/11/14 |
関西電力 | 高浜 | 3号 | 福井県大飯郡 | PWR | 87.0 | 85/01/17 |
関西電力 | 高浜 | 4号 | 福井県大飯郡 | PWR | 87.0 | 85/06/05 |
関西電力 | 大飯 | 1号 | 福井県大飯郡 | PWR | 117.5 | 79/03/27 |
関西電力 | 大飯 | 2号 | 福井県大飯郡 | PWR | 117.5 | 79/12/05 |
関西電力 | 大飯 | 3号 | 福井県大飯郡 | PWR | 118.0 | 91/12/18 |
関西電力 | 大飯 | 4号 | 福井県大飯郡 | PWR | 118.0 | 93/02/02 |
日原力発 | 敦賀 | 1号 | 福井県敦賀市 | BWR | 35.7 | 70/03/14 |
日原力発 | 敦賀 | 2号 | 福井県敦賀市 | PWR | 116.0 | 87/02/17 |
北陸電力 | 志賀 | 1号 | 石川県志賀町 | BWR | 54.0 | 93/07/30 |
計 | 14基 | 1,097.3 |
※出力:万kW
【美浜原発のリスク概要】
原子力施設のリスクを管理するうえでは、リスクが
十分低いように設計することが基本である。しかし、
設計基準を超えるような事故に対しても、原子力発
電所等については確率論的安全評価(PSA)により、
残されたリスクの評価を行って設計の余裕を確認し
たり、PSAの結果を参考に、そうした事故に対する
対応策(アクシデントマネジメント策)を整備して、
リスクを一層低減する努力が行われている。
下図は、原子力発電所の事故で我々が生命を失うリ
スクの評価例を病気やけが等の日常的なリスクと比
較したものである。この図には、各プラントの炉心
損傷事故及び格納容器破損事故の発生率と公衆の発
がん及び急性死亡の死亡リスクが示してある。我が
国では、まだ環境影響の評価はなされていないので、
原子力発電所のリスクについては、米国原子力規制
委員会の5基のプラントでの評価NUREG-1150報告書
の結果を不確実さの幅を持たせて表示している。
因みに、沸騰水型炉心破傷事故の年間事象発生率は
10-6で、原子力発電所の事故による死亡確率は10-9
程度となる。しかし、今回のように事故が発生しま
っては、確率論は吹っ飛ぶ。適切な発生現場労働が
なければ、いまも、炉心溶融→施設外に散逸する大
事故に繋がり、現場にもっとも近い労働の担い手に
とっては、有り体にいえば、事故カウントの終わり
が真の災害の始まりと例えられ、死亡率は1/2にま
で急上昇する。確率論はあくまでも‘安心’を担保
する数値以外の意味はないのだから「保全の質」×
「設計の質」×「環境の質」の動的リスク評価がす
べてで、そのアルゴリズムの確立とシステム化が問
われているのだと考える(これを自己流で『中性子
環境システム工学』あるいは『中性子制御環境シス
テム工学』と呼んでいる)。
【過去の主なトラブル】
1973年(昭和48年)3月(日付不明)
美浜一号炉において第三領域の核燃料棒が折損する
事故が発生1991年2月9日
2号機の蒸気発生器の伝熱管1本が破断、原子炉が自
動停止、非常用炉心冷却装置(ECCS)が作動する事故
が発生。美浜沖の海水から、通常なら数Bq/Lより少
ないトリチウムが、2月10日に470Bq/L、2月18日にも
490Bq/L検出。
2003年5月17日
2号機の高圧給水加熱器の伝熱管に2ヶ所の穴が開く。
放射性物質の外部への漏れはなし。
2004年8月9日
3号機二次冷却系の復水配管(第4低圧給水加熱器~
脱気器間)から蒸気漏れ。11名のうち5人が死亡、6
人が重軽傷を負う。運転中の原子力発電所における
死亡事故としては国内初。原子力関係施設での死者
は、東海村JCO臨界事故の臨界事故以来7人目。
【エピソード】
鳶職には生命保険が掛けられないとされるほど危険
なので建設業では日当がトップだ。原発現場の労働
はどの様に扱われるのだろうか。非正社員、請負業
者のリスクが高く、補償が少なければ踏んだり蹴っ
たりだと思いつつ、そのような環境がリスクを大き
くする、どこかで「逆立ち」はしていないかと疑心
暗鬼にもなる。
【脚注及びリンク】
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(1)「日本原子力研究開発機構」
(2)「日本の原子力発電所」
(3)「放射性物質による環境汚染予防に向けて」
(4)「地域防災計画データベース:消防庁防災課」
(5)「関西電力の美浜原子力発電所1号機が運転
開始から40年」11.10.26産経新聞
(6)「原発と地域振興-美浜町の事例-」
(7)「さよなら原発 KOBE NETWORK」
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