フランスの原発政策

2011年04月10日 | 防災と琵琶湖










 

エネルギー資源に乏しいフランスは、第一次石油危機
を契機に輸入石油への依存を軽減させるため、国内資
源の開発、省エネルギーの促進、供給資源の多角化を
軸にエネルギー政策を実施してきた。特に、エネルギ
ー自給率の上昇に向けて原子力開発に邁進し、米国に
次ぐ世界第二位の原子力発電大国となった。2006年末
現在、6,600万kWの原子力発電設備を保有し、発電電
力量の約80%を原子力が占めている。電力需要の伸び
が鈍化しているのに対して、原子力発電所の建設が順
調に進んだため、国内需要を上回る発電設備を持って
おり、一部は輸出に当てられている。

フランスの発電電力量の電源構成は原子力と水力を合
わせて発電電力量の90%を占め、原子力はフランスの
エネルギーの自立と安定供給を促すとともに、地球温
暖化の観点からも温室効果ガス排出削減に大きく貢献
している。1990年代後半、原子力開発は内閣に原子力
推進に反対する緑の党が参加したことから、高速増殖
炉スーパーフェニックスの閉鎖、新規建設発注見送り
等、部分的な停滞となったが、2002年以降原子力推進
の保守政権が誕生している。なお、原子燃料サイクル
については再処理を行い、サイクルを閉じることを前
提に、各種設備の開発が進められている。


【フランスの主な原発事故】

March 13, 1980
INES Level 4 
Orleans, France - Nuclear materials leak
A brief power excursion in Reactor A2 led to a rupture of fuel
bundles and a minor release (8 x 1010 Bq) of nuclear materials
at the Saint-Laurent Nuclear Power Plant. The reactor was
repaired and continued operation until its decommissioning in
1992

ファイル:Eurodif.JPG


2008年7月23日
フランス電力公社(EDF)が2008年7月23日、フランス南
部のドローム県にあるトリカスタン原子力発電所にお
いて放射能(放射性物質)が漏れる事故(原子力事故)
が発生し、保守作業に従事していた作業員およびEDF社
員約100人が被曝。


4月6日(水)10時10分(時事通信)
仏、8割が原発依存低下望む=日本の事故受け
同国が20~30年以内に電力の原発依存を減らすことを
望む人が83%に達したとする世論調査結果を掲載した。
フランスは電力需要の80%近くを原子力で賄う「原発
大国」だが、東日本大震災に伴う福島第1原発の事故を
受け、国民の間に不安が広がっていることが示された。
3月31日と4月1日、896人を対象に実施された調査によ
ると、56%が原発に不安を感じると回答し、感じない
とした44%を上回った。実際に原発依存脱却が可能と
考える人は73%だった
。  

 



【エピソード】



2011年04月09日(北日本新聞)
志賀原発に15メートル防潮堤 北陸電力
北陸電力は8日、東京電力福島第1原発の事故を受け、
志賀原発(石川県志賀町)に海抜15メートルとなる防
潮堤や緊急時対策棟を整備するなど、津波に対する安
全強化策を発表した。非常用電源車の配備など既に公
表した対策と合わせ総費用は約150億円を見込む。

敷地内に建設する緊急時対策棟は、万一の事故対応の
拠点となる。独立した電源を備えた免震構造とし、放
射能の除染施設としても利用できる。このほか、大容
量の電源車2台を配備し、原子炉や燃料貯蔵プールに
注水するための水源として大坪川ダム(石川県志賀町、
貯水量約36万トン)を活用する。

短期対策は、非常用電源車や低圧発電機、水中ポンプ
の配備などで、多くは既に実施している。北電が申請
した保安規定には、電源機能が失われた場合の活動計
画の策定や要員の確保、訓練、資機材の備え付けなど
を追加し、8日、石川、富山両県、志賀町などに説明
した。

北電は今後、地元住民らに津波対策などを説明して理
解を求めるとともに、今月20日ごろに志賀原発で緊急
時対応訓練を実施。今月中に一連の対策などを盛り込
んだ緊急安全対策を経産省に提出する。



※フランスAREVA社の福島第一原発事故解説のスライ
ド画像をGif アニメ化






【脚注及びリンク】
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(1)日本原子力産業会議:世界の原子力発電開発の 
 動向―1999年次報告(2000年5月)
(2)日本原子力産業会議:原産マンスリー、1999年
 5月号、同6月号、2000年7月号
(3)アレヴァ社AREVA SA
(4)フランスの原子力政策および計画
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