作成日:2021.8.12|更新日:
地域循環共生圏概論 ㉖
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超大型台風と集中豪雨の災害リスク
その1
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大型台風の直撃や過去にない集中豪雨・大雨・洪水・
土砂災害が多発。過去に発生したことのない地域での
広域かつ大規模な被害も多く、都市中心部での電気や
上下水道等のライフラインや交通インフラ等の被災に
より、甚大な社会経済被害も発生してます。
台風の通り道
1年間に平均22.8個の台風が発生し、11個の台風が日
本に接近し2.2個の台風が日本に上陸
出典:「国土が抱える災害リスク」国土交通省:
https://www.mlit.go.jp/river/bousai/library/
pdf/kokudo.pdf
出典:気象庁「台風の統計資料」:http://www.data.
jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/statistics/ index.html
より作成
■ 猛烈な勢力の台風の存在頻度が増す
日本に接近、上陸する台風の最大強度が北に移動し、
日本国土付近で最強になってきている。日本近海の海
水温度が上昇していることから、台風のエネルギー源
である大気中の水蒸気量が増加するため、日本付近に
おける台風の強度は強まると予測されています。日本
の南海上においては、非常に強い熱帯低気圧(猛烈な
台風に相当)の存在頻度が増す可能性が高いことが示
されてもいます。
気象庁は台風のおおよその勢力を示す目安として、風
速(10分開平均)をもとに台風の「大きさ」と「強さ」
を表し、「大きさ」は強風域(風速15m/s以上の風が
吹いているか、吹く可能性がある範囲)の半径で、「
強さ」は最大風速で区分し、さらに、風速25m/s以上
の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲を暴風域
と呼んでいます。台風に関する情報の中では台風の大
きさと強さを組み合わせて、「大型で強い台風」のよ
うに表しているが、強風域の半径が500km未満の場合
には大きさを表現せず、最大風速が33m/s未満の場合
には強さを表現していません。
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広い範囲で記録的な大雨
48時間降水量の期間最大値(期間2018年6月28日~7月
8日)
出典:「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり
方について」~複合的な災害にも多層的に備える緊急
対策~対応すべき課題・実施すべき対策に関する参考
資料(平成30年12月)/国土交通省水管理・国土保全局
より
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台風によって引き起こされる災害には、風害、水害、
高潮害、波浪害などがあり、これらは単独で発生する
だけではなく、複合して発生し大きな被害を及ぼす。
2019年9月に関東を襲った台風15号では、各地で観測
史上最も強い風が吹き荒れ、千葉県では鉄塔や電柱が
倒れて大規模な停電が発生。東京湾に到達した時点で
中心気圧955ヘクトパスカル、最大風速45メートルと、
関東に接近・上陸した台風としては「過去最強クラス」
とされています。
地球温暖化が進んで海の温度も上昇すると、台風はよ
り強くなる。関東だけでなく、ほかの地域でもこれま
でにない強さの台風が接近・上陸するリスクが増大し
ていると警告。関東の近海で異例とも言える発達を見
せた台風15号が進んだコースの海水温は29℃ほどと平
年に比べて2度ほど高くなっていました。
平均海面水位の上昇は浸水災害のリスクを高める
日本近海の平均海面水温は、1900~2019年の間に、100
年当たり1.14℃の割合で上昇している。これは世界平
均(0.55℃/100年)よりも大きい。世界平均海面水位は、
1902~2010年の間に約0.16メートル上昇した(氷床・
氷河の融解や水温上昇に伴う海水の膨張による)。
2006~15年の間の上昇率は、約3.6皿/年で、1901~90
年の上昇率の2.5倍です。
東京湾、大阪湾及び伊勢湾における高潮の最大潮位偏
差は、台風に依存して大きくなると予測され、日本沿
岸において、10年に1回程度の確率で発生する極端な
高波の波高は増加すると予測され、将来、より強力に
なると考えられている台風。その背景にあるのは地球
温暖化です。気象研究所のシミュレーションでは、今
世紀末に世界の平均気温が3℃から4℃ほど上昇するシ
ナリオで温暖化が進んだ場合、世界で発生する台風の
数は現在より3割ほど減ります。
一方で、日本の南の太平洋に限ってみると中心気圧920
ヘクトパスカルほどの猛烈な台風の発生・通過は、現在
10年間で平均3つ程度なのに対して、今世紀末には10
年間で5つほどに増えると予測しています。
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河川整備基本方針・河川整備計画の目標流量を上回る
流量を記録した地点数
気候変動等による豪雨の増加傾向は顕在化しており、
計画規模(河川整備基本方針、河川整備計画)を上回る
洪水の発生地点数は、国管理河川、都道府県管理河川
ともに近年、増加傾向である。
出典:「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり
方について」~複合的な災害にも多層的に備える緊急
対策~対応すべき課題・実施すべき対策に関する参考
資料(平成30年12月)/国土交通省水管理・国土保全局より
気候変動等による災害の激化
(氾濫危険水位を超過河川の発生状況)
気候変動等による豪雨の増加により、相対的に安全度
が低下しているおそれがある。ダムや遊水地、河道掘
削等により、河川水位を低下させる対策を計画的に実
施しているものの、氾濫危険水位(河川が氾濫する恐
れのある水位)を超過した洪水の発生地点数は、増加
傾向となっている。
出典:「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあリ方
について」~複合的な災害にも多層的に備える緊急対
策~対応すべき課題・実施すべき対策に関する参考資
料(平成30年12月)/国土交通省水管理・国土保全局
氾濫危険水位を超えた国管理河川国管理河川の状況
国管理河川では、26水系50河川、都道府県管理河川で
138、水系234河川で氾濫危険水位を超過。国管理河川
のうち、23水系46河川は記録的な大雨となった西日本
に集中。
出典:「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあリ方
について」~複合的な災害にも多層的に備える緊急対
策~対応すべき課題・実施すべき対策に関する参考資
料(平成30年12月)/国土交通省水管理・国土保全局
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地球温暖化がもたらす豪雨
日本における大雨の発生数が長期的に増加傾向にある。
地球温暖化が影響している可能性があり、さらに大雨
の発生数は増加すると予測。我が国における観測結果
の分析によると、過去100年において、自然災害につ
ながる日降水量100mm以上や200mm以上の降水が発生す
る日数は増加傾向にあります。
このように大雨が増加する傾向にあるのは、日本だけ
でなく東アジアの広い範囲でも共通しており、地球温
暖化やそれに伴う水蒸気量の増加等の世界的規模の変
勣による。
今世紀末頃を想定した気象庁の地域気候モデルによる
地球温暖化予測実験では、日降水量100mm以上などの
大雨の発生数が日本の多くの地域で増加するとともに
6月から9月に現在よりも降水量が増加するという予測
結果が出ています。今後、集中豪雨や台風が多発する
夏期の防災が大きな課題となってくると予想されます。
この項了
■ 出典:2021.SP 環境ビジネス
【エピソード】
国連環境計画と世界気象機関が設立した気候変動評価
機関・気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がおよそ
8年ぶりに報告書を発表し、その中で「地球温暖化は
人間が原因」と初めて断定。国連事務総長は「人類に
とって赤信号」と警鐘を鳴らしました。いよいよ正念
場を迎えています。
via 環境高付加価値時代 極東極楽 2021.8.10
✔ 知っていましたか
カーボンニュートラルは目標13番
【脚注及びリンク】
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- 人間は他の生物との相関関係なしには生きら
れない 五箇公一 『中央公論』2021年3月号 - 「謎の感染拡大〜新型ウイルスの起源を追う
〜」 NHK、2020/12/27 - ESG地域金融』で地域を元気にする 環境ビジ
ネス - スウェーデンでゴミの99%を有効利用する「
リサイクル革命」が起きている(動画)ハフ
ポスト - 『環境ビジネス 2020年夏季号』
- 滋賀県に根づく『三方よし』の経営を実現,
環境ビジネス,2020年冬季号 - 環境への取り組み CSR(企業の社会的責任)
佐川急便株式会社 - 彦根市一般廃棄物処理基本計画の進捗状況評
価について(平成30年度) , - 滋賀県出身の人物一覧 Wikipedia
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