芹川

2010年08月11日 | 滋賀百川






芹川は彦根市民にとって、最も親しみのあ
る川はないが、40年前ここに移り住んで、
正直言ってその川名前のもつイメージから
かけ離れたものはない。それは典型的な三
面張りの薄汚れた河川というイメージだ。
都市化による『水辺→疎水→放棄』という
規路循環から抜け出せない。ここでいう「
疎水」は灌漑かんがい・給水・発電などのため、
土地を切り開いてつくった水路という意味
でなく、住民の生活から疎遠になるという
(→単なる下水道や塵投棄としての空間機
能との)意。これを『水辺→親水→景観・
機能再構築』の良循環に変えるという住民
の意識の変革が求められている。


 河川環境は時間の経過とともに変化を
 する。生物はその変化を前提に生息し
 ており、その変化を種の保存・繁栄に
 利用している

 河川環境を考える場合、基盤としての
 河床地形を十分に理解し、基盤が変化
 することを認識する必要がある。人間
 の思い通りに瀬淵は作れないので、自
 然の力を利用する必要がある

       
渡邊康玄『河川生態系の
      基盤としての河道の変化』

とはいえ、「市街域の芹川の美観と治水」
を両立させる住民運動が高齢・少子化など
で盛り上がらないと「NPO芹川」の辻橋正
一さんは語っている。

  NPO芹川   

継続は力なり、そして力の源は? ともあ
れ、芹川の美観・治水は近隣住民の心を投
影する。
 

■ 


鈴鹿山脈北端の霊仙山(標高1,084m)を源
とし、多賀町の山間部を南西に流れる。多
賀大社付近で湖東平野に出ると共に北西へ
流れを転じる。彦根市市街地の南を潤しつ
つ彦根市長曽根町と中薮町の境で琵琶湖東
岸に注ぎ琵琶湖へ注ぐ。
上流の山地は石灰
岩質。扇状地を開き、河口では三角州を形
成する。一級河川の起点は犬上郡多賀町霊
山の大動谷。全長約21km、流域面積61平方
km。

【古称】不知哉川、不知也河(いさやがわ)
大堀川の称も。善利川。



芹川は彦根城が作られた際、河道を付け替
えらたが、付け替え
以前の芹川は彦根市河
原付近から北に流れ、現在総合運動場とな
っている松原町付近にあった松原内湖へ注
いでいた
。付け替え後はいまのようにまっ
すぐ北西流し、堤には土止めのため多くの
ケヤキが植えだされた。この並木は今も残
っている。




旧河道と入り江を利用して彦根城は三重の
濠を持ち、強固な備えとされた。また、芹
川も防御ラインの一とされた。
彦根城のお濠は準用河川扱い。

潜流瀑  

芹川=権現谷、(滋賀県多賀町)

■ 芹川の洪水の戦後史年表

年月日
事項
1953年9月25日
(台風13号)
大堀橋上流左岸で木流し工するも決壊.
芹橋14丁目北岸で土のう積.
恵比須橋、中芹橋、東沼波橋で危険水位のため通行止.
上芹橋上流右岸で木流し工.
芹川決壊により大橋町(仏具店街)を中心に1mの床上浸水.
池州橋付近で越水し、市内冠水.
後三条橋流失・恵比寿橋流失・中薮橋落下・芹川井堰流失
多賀町中川原他1箇所で堤防決壊.
1959年8月12~14日
(台風7号)
大橋町、芹橋八丁目~橋本町右岸で土のう積.
池州橋付近で土のう積.
恵比須橋付近左岸で土のう積.
後三条橋一部流失・恵比寿橋一部流失・芹橋欄干一部損傷
1965年9月17~18日
(台風24号)
芹川流域住民に避難命令.芹川白山神社付近で溢水.
国道8号旭橋上流左岸で堤防法面20m崩壊.
後三条橋下流左岸で堤防法面10m崩壊.
後三条橋の橋脚流失.
芹橋、池州橋で土のう積.通行止.
芹川右岸八丁目~池州橋間通行止.
多賀町月の木で堤防決壊.
1971年8月31日
(台風23号)
恵比須橋左岸上流で木流し工.
多賀町中川原の銭取橋流失、一円の高橋が橋脚流失.
多賀醒ヶ井線の河川に並行した箇所で冠水と各所で欠損.
1972年9月16日
(台風20号)
池州橋で土のう積.
多賀醒ヶ井線の河川に並行した各地で冠水.
1975年8月23日
(台風6号)
旭橋右岸下流で木流し工.決壊.
1976年9月11~13日
(台風19号)
西沼波橋上流左岸で堤防法面70m崩壊.
1979年9月30日
(台風16号)
国道8号旭橋上流150m右岸で堤防法面崩壊.
1985年6月25日
(台風13号)
恵比寿橋で警戒水位(2.3m)を超え、2.5mに達する.
1990年9月19日
(台風19号)
山間部の河川に並行した多賀醒ヶ井線が各地で冠水.
多賀町栗栖で堤防溢水、護岸欠損.
野田山町早川や外町、古沢町等の各所で浸水被害
1995年5月12日
(集中豪雨)
池洲橋にて河川水位5.0m
1997年7月26日
(台風9号)
池洲橋にて河川水位4.9m
2002年7月9日
(台風6号)
中川原で河川水位1.24m(通報水位1.10m、警戒水位1.80m)


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芹川川づくり会議

滋賀県河川砂防課の部会。平成13年から平
成14年にかけて芹川川づくり会議を計6回開
催しており、平成19年2月から再開。従来の
「ながす」に加え、「ためる」「とどめる」
「そなえる」といった「流域治水」対策に
力を入れ、流域にお住まいの方を中心に議
論を重ねながら、河川整備、各種防災対策
などの「芹川のあるべき姿」を模索。
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