・登記識別情報通知(書)の写しを、PDF又は書面で提供することを認めるよう提案する。
1.特例方式実施の事情と利用状況
平成17年3月7日新不動産登記法の施行により、法務大臣の指定を受けた登記所(オンライン指定庁)に対して、オンライン申請ができることになったが、電子署名するための電子証明書が普及していないこと、添付書面が電子化されていないことなどにより、まったく利用されていなかったので、平成20年1月から、一部登記について登録免許税を軽減することと併せて、代理人の電子署名があれば申請人の電子署名が無くてもオンライン申請できることとし、電子化されていない添付情報は書面のまま提供する方式(特例方式)を実施することとした。
特例方式の実施により、オンライン申請の利用率は急激に増加し、9月の集計では10%を超えたが、書面申請に比べて手間がかかるなど多くの阻害要因があり、充分に利用されているとは言いがたい状況である。
2.オンライン申請(特例方式)の阻害要因
特例方式実施直後に発生した問題(特例方式特有の補正事例)は、登記所の不適切な対応によるものもあったが、慣れるに従って順次解決されている。しかしながら、申請書作成支援ソフトとオンライン申請システムに関する次の問題は未だ解決されていないため、特例方式実施後もオンライン申請の阻害要因となっている。
① 法務省オンライン申請システムの安定性(処理能力)に対する不安
② 出来損ないの申請書作成支援シフトの問題
③ 登記識別情報の提供方法の問題
阻害要因①は、新システムへの移行作業が完了するまで待たなければ解決できない問題であり、阻害要因②は、申請用ソフトとともに改良する必要があり、予算の問題と併せて、新システムが完成するまで解決できない問題かもしれない。
しかしながら、阻害要因③は、新システムへの移行が完了するまで待つ必要も無く解決することができる問題である。
3.登記識別情報の提供方法についての提案
法務省は、登記識別情報の提供及び交付方法はオンラインに限定していた。特例方式の実施に伴い、希望すれば、書面での交付も認めることとしたが、提供方法はオンラインに限定したままである。
特例方式実施後も、登記識別情報を提供する場合は、出来損ないの申請書作成支援ソフトを利用して、オンラインで提供するための「登記識別情報提供様式」を作成し、申請情報とともに提供しなければならず、この作業は非常に煩雑であり、オンライン申請が利用されない要因の一つになっている。
多くの場合、「登記識別情報提供様式」は、申請代理人が作成しており、代理人のパソコンには提供可能な状態の登記識別情報が保存されることになり、繰り返し利用する可能性がある場合は、申請人にオンライン申請の利用を躊躇させる要因にもなっている。
そこで、更なる利用促進策として、登記識別情報通知(書)の写しを、PDF又は書面で提供することを認めるよう提案する。