虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

自負と偏見(その2)

2006年04月08日 | 
 この小説の構成でジェントリー、紳士階級の中身を端から端までわかるように書いているのには、本当にうまいなあ、と思わされる。

 主人公エリザベスは年収2000ポンド(下限に近い年収)の父親の5人姉妹の次女。それも父親の土地に男子限定相続の縛りがあるので父親が死ねば親戚の男性が継ぐことになり、彼女たちには夫しか経済的な後ろ盾は無くなる。しかも紳士階級の娘だから自分で稼ぐための準備なんてまったく無い。そして母親は若いころは可憐な美人だったらしいが、今ではただの俗物。その縁戚の行動は、主人公に夢中なダーシー青年をしても、エリザベスと結婚して、縁続きになるのをためらわせるに十分な下品さ。

 片やダーシー青年は母が貴族の娘で年収が1万ポンド。しかも正しい倫理観を持ち、男友達に尊敬され、娘たち・親たちには絶好の婿がねと切望され、周囲には相応の気を配るという非の打ち所ない青年なのに、無愛想でどうもエリザベスの初対面の印象がよくない。そのためにエリザベスはかんたんに彼についての中傷を信じてしまい、ダーシーの求婚を断り、あまつさえ彼が「紳士らしくない」という非難までおまけにつける。

 紳士というのは、経済的裏づけと「紳士らしい態度」の両方を要求されてしまうのですなあ。それに、紳士階級の上と下で、そのまた上と下の階級との結婚を伴う結びつきがそれなりの階級ステップアップになる…もわかる仕組み。
 貧乏なエリザベスのほうが「態度」に重点置いて、エリザベスの父親の母に対する態度なんてとっても紳士らしいとは言えないのに、ダーシーを「紳士でない」といいきっちゃうのはいい度胸だと思う。もちろんその誤りを自分の思い上がりとともに思い知り、訂正する部分がこの小説のクライマックスのひとつ。

 だがしかしダーシーは、それだけ手ひどい拒絶をされても「あの生意気女!」なんて思わない。あろうことかそれまでの自分を反省すらしてしまう!エリザベスの妹の駆け落ちを秘密裏に金で始末をつけたり、二人の仲を引き裂こうとする叔母キャサリン夫人の非難で彼女の彼への気持ちの変化を確信したり、誠にうらやましく都合のいい展開。
 結婚後は、夫につき従う妻でなく、溌剌と夫に対等に発言する妻になる、というのもなんか少女向けラブコメを思い起こさせる原因の一つ。

 作者の適度のいじわるとか、穏やかな展開のユーモアもさすが名作です。
 最後にどうでもいいことで意見を言えば、私は(本人の気持ちはさておいてダーシーを争うライバルになる)キャサリン夫人の娘はあれほどナサケナイ存在でなく、意思の無いお人形のような、でもきれいな女の子でも良かったかもねえと思う。

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 本日で目の使用制限やっと解禁です。
 今夜はやっと録画した「コンバット」新シリーズが見られます。それから「ズバット5」を見て、明日は何を見ようかなあ。一週間長かった…… もう真っ暗な部屋でテレビだけつけてゲームするのは止めます。ちゃんと明かりつけて取説の注意を守ってすることにします。
 やっぱり小学生みたいだな。