虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

あらしのよるに(2005/日本)

2007年02月27日 | 映画感想あ行
監督: 杉井ギサブロー
声の出演: 中村獅童 ガブ
     成宮寛貴 メイ

 オオカミとヤギの間に芽生える友情を描いたきむらゆういち作のベストセラー絵本を豪華な声優陣でアニメ映画化。ある嵐の夜、仲間とはぐれ壊れた山小屋に避難したヤギのメイは、闇の中で同じようにあらしを避けて小屋に逃げ込んできたガブという名の友達ができた。そして約束した再会時にあらわれたのは…

 私は少々心が乾き気味の人間かも知れないので念のためおことわりを。この原作は、実は病院の待合室で、呼ばれるのを待っている間に読んでしまったのですが、そのときも環境が環境ですし、さらっと読んでしまって余り涙にくれたりはしませんでした。

 中学1年生の女の子に聞いた感想が実に私の感じたものとピタリだったのでそちらのほうをご紹介します。

「学校で、先生が読み聞かせをしたのね。それで感想書かされたの。
 ウチは『まるで、周囲から反対されてる恋人みたい』って書いたら、そこ赤線引いてあったの(注目という意味らしい)
 あれは、友達より恋人のほうがいいと思う。駆け落ちまでしちゃうし」

 私も、食べる、食べられる宿命の種族を超えるような、魂が響きあうような共感とか、そういうものを納得させてくれるような導入部があれば、というのと、

 雪山でのわかれで終わったほうが悲しいけれど美しい物語として成立したような感じがするけど、アニメの対象年齢が低いようなので、どうしてもハッピーエンドにならざるを得ないのでしょうか?

硫黄島からの手紙(2006/アメリカ)

2007年01月24日 | 映画感想あ行
今日やっとっと見てきました。
まだ混んでいました。

LETTERS FROM IWO JIMA
監督: クリント・イーストウッド
出演: 渡辺謙    栗林忠道中将
   二宮和也   西郷
   伊原剛志    バロン西(西竹一中佐)
   加瀬亮    清水
   松崎悠希    野崎
   中村獅童    伊藤中尉
   裕木奈江    花子

 硫黄島での戦いを日米双方の視点から描く2部作の「父親たちの星条旗」に続く第2弾。

 思っていたのとは少し違った映画で、戦闘の苛烈さ、悲惨さ、兵たちの修羅ということは「父親たちの星条旗」や、硫黄島の戦いを他に本で読んだ時よりも穏やかな描写でした。胸の痛くなるような、思わず手を合わせてしまう(どうも私は日本製の痛ましい映画のシーンで、いや洋画でも時々合掌してしまうのです。これは年寄りの影響なんでしょうねえ。)ような場面も多々ありましたが、硫黄島でのふんどし一本での穴掘りや、汚い水で炊く米(おそらく映画ほど白くないご飯…)、見事なゲリラ戦法とお互いに悪鬼の如き兵たちの殺し合いを本で読んだ時は息が出来なくなるような気がしました。
 淡々…という気のするほど「ここを見ろ」というどぎつさのない展開で、「彼らはその時代を生きて死んだ」ということが浮かび上がるような気がします。見ているときに激しく感情を揺すぶられるよりも、深く沈潜するものを残した映画でした。
 三国一郎や上野遼を読んでいると「負けてよかった」(せめてあの形で)と思うことがあり、栗林中将も「せめてあの形」にしてくれた人であるのだな、と思います。私ももしかしたら映画の中の愛国婦人会の、一人残される妻に嵩にかかって残酷な物言いをする「我に大義あり人種」に絶対ならない自信はないので、そういうものが変に映らない世の中であってもらっては、絶対に困るのです。
 みな個人の思いは様々でも、兵として戦いに殉じていきました。加瀬亮の清水のエピソードが哀れでした。彼が探し始めたものがあんな形で終わらされてしまう、銃創と白い布の並んだところは顔よりも目に焼きつくものでした。
 山田風太郎の書き残したように当時の日本があのままで良いとは思っていなくても、負けることを見越していた人はいましたが、負けたことが嬉しい日本人はいなかった筈です。
 当時の記録写真などで見る日本人とアメリカ人の体格差が強烈に焼きついているので、この映画でもやはり日本人がきれい過ぎ、体格よすぎには見えるのだが、主役ともいうべき出づっぱりの二宮和也の小柄さとひ弱な様でいてどこかふてぶてしいところが印象的。今度の映画に関しては渡辺謙より注目でした。

 やはりこういう映画が日本で作られなかったのが残念です。

ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!(2005アメリカ、イギリス )

2007年01月17日 | 映画感想あ行
WALLACE & GROMIT IN THE CURSE OF THE WERE-RABBIT
製作国
監督: ニック・パーク スティーヴ・ボックス
声の出演: ピーター・サリス    ウォレス
    レイフ・ファインズ    ヴィクター・クォーターメイン
    ヘレナ・ボナム=カーター     レディ・トッティントン

 町一番のお祭り“巨大野菜コンテスト”が迫っていたが、街ではウサギが大繁殖して、畑を荒らしまわっていた。ウォレスとグルミットは、プロのペストパトロールとして大切な巨大野菜をウサギの脅威から守っていた。ところがある夜、正体不明の巨大ウサギが出現、町の人々が大切に育ててきた巨大野菜が次々と食い荒らされる。コンテスト主催者のレディ・トッティントンは、ウサギを射殺するという求婚者クォーターメインでなく、ウサギを傷つけず回収するウォレスたちに事態解決を依頼するが…

 これは面白かった。見ててまっことワクワクしました。
 特にラストのグルミットの大活躍のスピード感たら、思わず「イエ~イ」でした。
 キングコングもどきの塔上シーンなんかも笑ったし、やっぱオスカーも伊達ではないというか、オーソドックスなハッピーエンドの質の高いアニメでした。
 それにしても、表情の細かさ、特にグルミットは最高。いじらしくて、泣けます。

 BSで特集をやっていたときに短編の放送分はすべて見ていて、でも特別には関心持てなかったのだが、これは本当に面白かった。私も「ハウル」よりこちらの映画に一票入れたと思う。

イン・ハー・シューズ(2005/アメリカ)

2006年12月01日 | 映画感想あ行
IN HER SHOES
監督: カーティス・ハンソン
出演: キャメロン・ディアス    マギー・フェラー
   トニ・コレット     ローズ・フェラー
   シャーリー・マクレーン    エラ・ハーシュ
   マーク・フォイアスタイン    サイモン・スタイン

  誰もが認めるナイス・ルッキングだが、難読症というハンディキャップを持ち、仕事も続かず困り者として扱われているマギー。姉のローズは弁護士として成功しているものの、寂しいキャリアウーマンそのものの生活で女としての自身が持てない。冷たい父の後妻に家を追い出されたマギーは、ローズの家に転がり込むが、喧嘩した挙句にローズの留守中に訪ねてきた彼女の恋人にちょっかいを出してしまう。行き場の無くなったマギーは、亡くなった母の方の祖母エラのもとを訪ねる。

 泣けました。後半、フロリダのところでは特に。私、年寄りには、とりわけ誇り高きお年寄りに弱いんです。
 キャメロン・ディアスのマギーは確かにきれいはきれいだけど、彼女を馬鹿にしている継母のいる家を離れられず、失敗を恐れてか易きに走り、自分の引け目に対する悲しさを暴発という手段でばかり表現している。姉ローズは確かに見た目は少し負けても、きちんと生活し、寄ってくる男だって(少ないかもしれんけど…ただ結局は男か…という1名が残念)妹に比べれば段違いのレベル。妹は姉を頼りにも、自慢にも、疎ましくもあり、姉は妹をかわいくもあり、心配でもあり、密かな喜びでもあり、疎ましくもあり…実際お互い様で、そして誰よりも遠慮のない、親しい友。
 これはきっと原作はもっと泣けるんじゃないか、「シューズ」をめぐる彼女たちの思いがタイトルからするともうちょっと重いような感じもするけど…など考えつつも、マギーが、姉が年長者として背負ってきたものを知り、二人が和解の抱擁するところや結婚式のシーンでは「DVD(家)でよかった」というほど涙ぽろぽろ。
 
 終わりにはすべてうまくいくので、ほんわかした気分になれるし、お疲れの時には栄養ドリンクより効くかも。(女性限定かもしれないけど)

 ただ、この映画に関しては、私はトニ・コレットって「美人でない」とは見えないのです。彼女は確かに妹に見てくれで負けていることを認めても(婚約後だんだん着るものが華やいではいくけど)ジタバタせず彼女なりのスタイルしかしない。それを開き直りととるか、努力不足とするか、自分自身のスタイルを守る頑固さととるかは見る人次第になるのでしょう。

大いなる休暇(2003/カナダ)

2006年11月02日 | 映画感想あ行
LA GRANDE SEDUCTION
監督: ジャン=フランソワ・プリオ
出演: レイモン・ブシャール     ジェルマン・ルサージュ
    デヴィッド・ブータン    クリストファー・ルイス
    ブノワ・ブリエール    アンリ・ジルー
    ピエール・コラン    イヴォン・ブルネ
     リュシー・ロリエ    エヴ・ボーシュマン

 カナダ、ケベック州の小さな島。かつて漁業で充足した暮らしをしていた島民も、今はほとんどが生活保護を受ける有様。プラスチック工場誘致に望みを託しているが、誘致には“島に定住する医師がいること”が条件。しかし、医者が来る当てはない。そんなとき、島を脱出した元村長のつてで青年医師クリストファーがやってくる。そして島民が一致団結して彼がをだまくらかし、そのまま定住させようと策を練る…

 「だまくらかし」としては低レベルな作戦なのに…クリストファーは相当マヌケなお人よしさんに描かれちゃってます。
 それに、やっぱり島の皆さんは目的のために相当他が見えない状態になっているので、ラストの「NO!」までは愛すべき嘘とか笑ってられない。ラストはああまとめてくれてほんとに良かった。おかげでスッキリした気持ちで見終わることができました。
 「NO!」はこれから素で付き合うという合図みたいなものです。
 だけど、クリストファーにとっては当面の意思としては「この契約」期間だけで、長い休暇の続きみたいなものかも。その意味でもタイトルうまいなあ、と思う。
 島民の皆さんも勝負はこれからが肝心のようです。でもほんとにお人よしだからなあ…

 それにしても、どこの国でも流れに乗り損ねた地方というのは厳しいものなのですね。第1次産業というのは食べるものには何とか恵まれているのかと思っていました。クリストファーの診察の予約のシーンなど、可笑しくても切ない、取り残された地方の窮状みたいなものが伝わってきます。

エド・ウッド(1994/アメリカ)

2006年10月24日 | 映画感想あ行
ED WOOD
監督: ティム・バートン
出演: ジョニー・デップ
   マーティン・ランドー
   サラ・ジェシカ・パーカー
   ビル・マーレイ

 実在の映画監督で、“史上最低の監督”という名を贈られた通称エド・ウッドの伝記的物語。

 この映画は定期的に見たくなるけど、主役のジョニー・デップを見たくてではありませんで、やはりベラ・ルゴシ(マーティン・ランドーではなく)を見たくなります。泣けます。当たり役が当たりすぎてしまったためにそのイメージから抜け出せなくなった俳優の悲劇とかつての栄光の煌き、老残の哀れとなおも残る威厳…病院退院後のシーンは本当に泣けます。ノスフェラトウ的醜悪な怪物を魅惑的で高貴で恐ろしい吸血鬼にまるで変えてしまった役者です。エド・ウッドのとんでもないセンスもわかっていたでしょうに、ウッドがルゴシに捧げる尊崇の真実も分かっていました。そのためにこの間ローハイドでマーティン・ランドーの若き日のお姿を見たときには感動してしまったが、いやこの人はベラ・ルゴシとは違ってこの歳にしてオスカーです。

 それにしても、情熱とセンスの見事にアンバランスな人っているのですね。でもエド・ウッドに関してはあれだけの数の映画をつくっているのですから、まあセンスは無いにしても、あのレベルの映画をつくっておいてなおも新しい映画に他人を巻き込む、説得してしまう情熱の強烈さ、もしくは催眠術に掛けてしまう人間的魔力は推して知るべしです。
 私は映画を見たいだけの人なのだが、作りたい人にとっては、エド・ウッドの「俺が作ってやる!」意欲には、身につまされるものがあるでしょうね。

アルフィー(1966/イギリス)

2006年10月10日 | 映画感想あ行
ALFIE
監督: ルイス・ギルバート
出演: マイケル・ケイン
   シェリー・ウィンタース
   ミリセント・マーティン
   ジュリア・フォスター
   シャーリー・アン・フィールド

 美貌で道徳観念なんてまるで無いアルフィーは次々に女性と関係を持っても長続きしない。やっと身を固める決心をつけたとき、彼を待っていたのは……

 リメイク版よりなんとなく酷薄な感じがします。ジュード・ロウのアルフィーは自分の行動に「相手のため」の理屈をくっつけて安心してる小心者なところがあったけど、マイケル・ケインのアルフィーはそんな理屈を必要としてません。
 こういう主人公が成立するためには、主演の俳優に、この自分勝手な色男の存在感を肯定させてしまう圧倒的な説得力がないとダメなのはよく分かります。観客に語るスタイルもちょっとアタマのねじが欠けちゃった同級生を「しょーがねーなー」といいつつ見るみたいな気分になります。
 お相手の女性たちの造形も、時代を反映してるなあ、と思います。アルフィーに対して決定的な言葉を告げることになるリッチな年上女性ルビィ役シェリー・ウィンタース、リメイク版のスーザン・サランドン共に、いかにも自分の実力と欲望を肯定できる貫禄ですが、シェリー・ウィンタースのほうが叩上げ的雰囲気が漂っています。

 結局彼は自分の気ままに女性をつまみ食いしたつもりでも、女性たちは意思的に去っていき、人生の上澄みだけすくって味わっているだけでは果実も無く、残るものは…というお話には違いない。でも、彼にはまだ十分時間はあるし、病気も治っているし、それに苦かろうが十分噛み締めるべき思い出があるじゃないですか。

エイプリルの七面鳥(2003/アメリカ)

2006年09月21日 | 映画感想あ行
PIECES OF APRIL
監督: ピーター・ヘッジズ
出演: ケイティ・ホームズ   エイプリル・バーンズ
   パトリシア・クラークソン    ジョーイ・バーンズ
   オリヴァー・プラット   ジム・バーンズ
   デレク・ルーク    ボビー

 エイプリルは、典型的中流の家族から浮いた存在で、今は家を飛び出してハーレムで恋人のボビーを暮らしている。しかし、今年の感謝祭は家族を招き、初めての七面鳥ディナーに挑戦する。実は母のジョーイは癌で余命わずかだった。

 ケイティ・ホームズってこんなにかわいかったのですか!!
 発見です。ただトム・クルーズの奥さんだけやってるんじゃ惜しい!と初めて思った!
 家族からはみ出して、(家族から見たら)クズ男と一緒になった女の子という役で、確かにジャック・スパロウ船長に負けないくらい眼の周り真っ黒だけど、ほんっとにかわいい。それに率直な性格であることが実によく分かる。お母さんも率直で勇気のある女性。よく見ればこの娘が母と一番良く似ている様なのに、お互いを求め、思う気持ちがすれ違ってばかりなんて、そういうものかもしれないが、切ない。
 クランベリーソースのエピソードだけでも、エイプリルの心の底の素直さ優しさがにじみ出ます。
 エイプリルの家族も、お父さんは優しいし、妹なんかも中流意識丸出しと言っても、そのイヤラシさよりも自分の守備範囲から出たくないといった風に見え、悪役とはちょっと違う。それがこの映画が切ない余韻をもつ理由であるのでしょう。

 背景に音楽がほとんどなくて、それだけにラストシーンの歌が沁みた。

X-MEN ファイナルディシジョン(2006/アメリカ)

2006年09月10日 | 映画感想あ行
監督: ブレット・ラトナー
出演: ヒュー・ジャックマン   ウルヴァリン
    ハル・ベリー   ストーム
    パトリック・スチュワート   プロフェッサーX(エグゼビア)
    ジェームズ・マースデン   サイクロップス
    ベン・フォスター   エンジェル
    ファムケ・ヤンセン   フェニックス=ジーン・グレイ
    イアン・マッケラン   マグニートー

 自らを犠牲にして皆の命を救ったジーンの死の動揺から立ち直れずにいるX-MEN。そんな時、ミュータントの能力を消去し普通の人間にすることのできる新薬“キュア”が開発される。「ミュータントとして生きるか、それとも人間になるか」の選択に、ミュータント社会は大きく揺れる。

 私は原作をぜんぜん知りませんので、映画化されたものだけで判断するだけですが。
 なんか、重要そうなキャラでちょっと背景不足な感じがしたのが、エンジェルと”キュア”の鍵になる坊や。きっと原作では重要なファクターのキーパーソンなんではないか、と思わせましたが、まあこれが最終章だそうで、話をまとめるためのこの忙しさでは沢山の時間を割く余裕はなかったのでしょうね。
 それにしても二作目までの重要人物が惜しげもなく消えて行き、最終章というのに新しいキャラもどんどん投入されます。展開も素早く、まさにあれよあれよ。ミュータントの特殊能力もぜんぜん出し惜しみせず、ミュータント同士の対決シーンでも能力に合わせて自然に組み合わせが決まって、1対1のがっぷりシーンがたっぷり続きます。
 一作目からの時間経過の間に出演者の格が上がったせいか、アメコミを忘れそうになり、新しい登場人物のゴーレム風外観がアメコミを思い起こさせてくれました。
 愛憎絡み合った年配コンビも、お歳にも負けず、パワー全開は素敵でした。
 アクションものとしては実に楽しかった。物理法則を超える映画ならではのシーンもお腹一杯見せてくれて深夜12時近くに(レイトショーで見たので)ほわほわと楽しく帰宅いたしました。

 そして実は月曜からX-MENの1、2作目を続けてみていました。
 旧作を見ると、それほど経過したわけでもないのに、身体は変わってないのに、ヒュー・ジャックマンがなんだか老けた感じがする。ハル・ベリーはますます美しいのに。なぜだろう?

 X-MENカー、今回は無しでした。続けてくれたっていいじゃん。

 あれだけ力の優越を信じて数十年生きてたおじいさんがあんなにあっさり改心しちゃうものでしょうか?もっと別の行き方があるんじゃないでしょうか。原作ではどうなのか?

 ローグはやはり異端の孤独をどこでも感じるのではないだろうか?

 しかし、さすがは映画なのは、キュアの一発で身体が変わってしまうところです。私なんか、ウオノメみたいなできものを切除しただけで何週間もヒイヒイ言ってるのに…(愚痴です、すいません) 

アンダーワールド2 エボリューション(2005年/アメリカ)

2006年08月27日 | 映画感想あ行
監督: レン・ワイズマン
出演: ケイト・ベッキンセイル    セリーン
    スコット・スピードマン    マイケル
   トニー・カラン    マーカス
    ビル・ナイ     ビクター
   シェーン・ブローリー    クレイヴン

 ライカンとヴァンパイアの数百年の抗争が続いていた。ヴァンパイアのセリーンはライカンが家族を殺したと思い復讐のためにライカン処刑を続けていたが、ヴァンパイアのリーダー、ビクターが家族を虐殺していた真実を知り、ビクターを殺す。同族からも追われる身となったセリーンは、ヴァンパイアとライカンの混血種マイケルと逃げる。2人は追っ手から逃れながらも、やがて両種族の誕生の秘密に迫っていく。

 前作からの青と黒の色調の画面に浮かび上がるベッキンセイルの蒼白な顔と青い眼という映像は大好きです。
 主人公の細腕でモンスターぶっ飛ばすのに多少無理があっても、彼女も画面もきれいだから何でも許せます。
 はじめの30分ほどは、後半をスピードアップして進めるためか、説明的なシーンが多いのですが、そこを過ぎると次から次へとアクションシーンが続きます。
 前作でわけも分からずライカンになってしまった気の毒なマイケルですが、葛藤は少しであっという間に変化に馴染んでセリーンと組んで大暴れ。ライカンへの変身自在で、しかも部分使用も可、というのが最強です。「戦場のピアニスト」で缶詰が開けられなかったシュピルマンさんに爪一本貸してあげたい、など思ってしまいました。(不謹慎ですいません)
 前作からのビル・ナイ、デレク・ジャコビ、こういう方々が嬉々として(そう見えます)やっているので何だか豪華に見えます。

 マイケルも、セリーンもそれぞれ最強の新タイプライカンとヴァンパイアに変身したので、きっと続きがあるのでしょう。

 女性が主人公のヒロイックアクションというのは、お相手の男の人は、たとえどんな能力を有していても性格が良さそうに見えないといけないのでしょうか?別に恋愛してもいいのですが、この映画に関する限りではラブシーンは取ってつけたみたいでした。全編闘いまくっても良かったのになあ。

ウォーク・ザ・ライン/君につづく道 (2005/アメリカ)

2006年07月13日 | 映画感想あ行
WALK THE LINE
監督: ジェームズ・マンゴールド
出演: ホアキン・フェニックス     ジョニーキャッシュ
リース・ウィザースプーン     ジューン・カーター
ジニファー・グッドウィン     ヴィヴィアン・ロベルト

 貧しい農家出身のカントリー歌手ジョニー・キャッシュの半生と、2度目の妻やはり歌手のジューン・カーターとの愛の物語。

 貧しい家庭出身・父との確執・歌手デビュー・うまくいかない結婚・子どもの頃からの憧れの女性歌手とのめぐり合い・ドラッグに溺れる・離婚・立ち直り・再婚。「Ray」でも同じような展開を見たような気がしますが、女性が主人公を支えるというのは同じように思えますがあちらのほうがドラマティックに思えました。この映画のほうが時間もずっと短いし、それに、私にはジョニー・キャッシュがそれほどお馴染みではなく、プレスリー、ジェリー・リー・ルイスが出てきてあの時代の歌手だったのか、と確認するような有様でした。その点が「Ray」との大きな差異になっているかもしれない。

 歌をすべて歌ってのけた主演二人は素晴らしい。

 世の中には感性が特に鋭く人間の感情のうねりを特に感じすぎてしまう人がいて、そういう人はともすると運命的にドラマティックな人生を歩んでしまうのだろう。
 それに響きあう魂というのも存在するのだろう。ジョニーはジューンを得て初めてその生を生きることを実感できるような、そんな二人だったのだろう。
 ジョニー・キャッシュのジューン・カーターに対する思いは真に切実なものだったろうが、そういう二人に関わってしまったジョニーのはじめの奥さんはとてもとても気の毒であったと思う。

SPL/狼よ静かに死ね (2005/香港)

2006年07月11日 | 映画感想あ行
SPL
SHA PO LANG
監督: ウィルソン・イップ  
アクション監督: ドニー・イェン
出演: ドニー・イェン    マー
    サモ・ハン    ポー
    サイモン・ヤム   チャン

 1994年香港の裏社会のドン、ポーの有罪の決定的証人を護衛中に殺されたチャン刑事は、以来ポーを追っている。3年後、重病で余命わずかとなったチャン刑事は引退を決意、彼の捜査チームの新たなリーダーとしてマー刑事を迎え入れる。彼は凶悪犯を素手で殴り廃人にしてしまった過去を持つ武闘派刑事。チャン刑事とその部下たちはチャンの引退前にポーを追い詰めようと焦るあまり次第に暴走していく。

 トム・クルーズ、ミラ・ジョボビッチの派手で華麗で絵優先のアクションを続けてみた後で、タイ映画の痛さに迫ろうという痛そうな、今までの香港アクションとも少し趣の違った華麗よりも迫力を感じさせるものになっておりました。
 いかにも香港ノワールの香フンプン、警察側の暴走も相当のもので、サモ・ハン演じる悪役ボスの実力も充実、死屍累々たる結末なのだが、その死に様が実にノワールで壮絶で無残な死に方を見せてくれます。 とくに、娘のプレゼントを開けかけて、ついに中身を見ないままに死んで行く男なんて、男の人はこんなの好きなんだろうなあ、と思う。
 殺し屋の白いスーツも時代錯誤のようだけど、最後で意味を持ってくるし、ラストはちょっとびっくりしたが、らしいといえば、思い切り香港らしい。
 ドニー・イェンも年取ってもともとの、昔ほんと悪役似合わなかったかわいい顔がちょっとこけ、スッキリ清潔感のある大人顔に陰って感じになってよかった。(ちょっと贔屓目です)サモ・ハンの悪役も貫禄です。

 ともかく、見た目のかっこよさよりも「取っ組み合い」という言葉がはまるような闘いの実感を重視したようなアクションでした。背骨痛そうでした。

ウルトラヴァイオレット (2006/アメリカ)

2006年07月09日 | 映画感想あ行
ULTRAVIOLET
監督: カート・ウィマー
出演: ミラ・ジョヴォヴィッチ    ヴァイオレット
    キャメロン・ブライト     シックス
    ニック・チンランド     ダクサス
    ウィリアム・フィクトナー    ガース

  21世紀末、新種のウィルスが蔓延。感染した人間は超人的な運動能力を身につけるが感染後12年で命を落とす。彼らはファージと呼ばれ、人間は、彼らの根絶を企て、ファージ掃討作戦が開始され、残ったファージたちと凄惨な抗争になる。

 ミラ・ジョボビッチ、あなたまで!と、「イーオン・フラックス」のシャーリーズ・セロンに引き続きなので思った次第。「リベリオン」の監督だから期待してたんですけどねえ。見栄えのするときに肌もあらわにこういうの演じたい衝動とか、そういうのが美しい女優さんにあるのでしょうか?「バイオ・ハザード」は悪くなかったのに。
 主人公ヴァイオレットが ”Watch me!" と言い返すシーンが繰り返し出てきますがほんとにジョボビッチwatchという映画でした。サービスでしょうかバックヌードシーンもちゃんとあるし、どんな時でもメイクとヘアは完璧です。もつれたりよごれたりいたしません。
 オープニングからコミックで、どういう映画であるかおことわりはあったし、止め絵とかソードファイトはなかなかのものだったんだけど(つい吹いちゃうようなのも多かった)なにぶんにも説明不足でした。「リベリオン」はもっときっちりと世界が構築されてたと思います。
 それに、アクションシーンで見得を切るようにポーズ作っては止まるのがおかしくて。ラストバトルの刀にも思わず笑えましたけど。

 昨日見た「M:i:III」でもアメリカの対外政策についての皮肉がありましたが、この映画ではいささか付け焼刃のようだけど「恐怖での支配批判」でした。

奥様は魔女 (1942/アメリカ)

2006年06月19日 | 映画感想あ行
I MARRIED A WITCH
監督: ルネ・クレール
出演: フレデリック・マーチ 
   ヴェロニカ・レイク 
    ロバート・ベンチリー 
   スーザン・ヘイワード 

 17世紀のアメリカ、火刑にされ死んだ魔法使いの父娘が、木に封じ込められるが、自分達を捕らえた男の一族に呪いを掛ける。現代(製作年度1942年)になって、落雷で木が折れて開放された彼らは、丁度知事選に打って出ようというその子孫を破滅に追い込もうと企むが……

 ルネ・クレールといったら、ジェラール・フィリップ数々の名作をはじめ、「幽霊西へ行く」「巴里祭」「自由を我らに」…きゃあきゃあなのです。
 これは、アメリカでつくった映画で、役者がアメリカ人。「幽霊西へ行く」のほうがクレールタッチが面白いな、とは思いますが監督らしい軽やかで素敵なコメディ。特撮もほどほど。
 ヴェロニカ・レイクは他で見ているかどうかわからないが、モノクロ画面に金髪が輝く素晴らしい美しさ。
 魔女が根っから悪いことをしたがるのだけれど、それも畑を荒らす、火をつけるという発想しかしないレトロな悪。それに声がなんともかわいらしいので、いわゆる「小悪魔」的な感覚で、そんな邪悪には見えない。その父もしょうのない酔っ払いで、酔うと大事なことを忘れるおまぬけぶりがかわいい。
 振り回される役のフレドリック・マーチが他の映画に比べて今ひとつな感じ。彼にしてはちょっと物足りないかな、くらいのものですが。
 フレドリック・マーチの婚約者になる相性最悪の美女がスーザン・ヘイワードで、すごくきれいで性格がきつそうです。この人はほとんどおっとりした美女役を見たことがありません。いつも

 魔女ののろいで代々相性が最悪の女性と結婚するなんて…その家庭の子どもが結婚していて良かったですね。

インサイド・マン (2006/アメリカ)

2006年06月14日 | 映画感想あ行
INSIDE MAN
監督: スパイク・リー
出演: デンゼル・ワシントン     キース・フレイジャー
    クライヴ・オーウェン     ダルトン
    ジョディ・フォスター     マデリーン・ホワイト
    クリストファー・プラマー     アーサー・ケイス
    ウィレム・デフォー    ジョン・ダリウス
    キウェテル・イジョフォー     ビル・ミッチェル

 ダルトンと仲間のの銀行強盗グループが、白昼マンハッタン信託銀行を急襲、従業員と客を人質に取り立てこもる。事件発生の連絡を受け、NY市警のフレイジャーとミッチェルが交渉役として現場へ。一方、事件の発生を知ったマンハッタン信託銀行会長アーサー・ケイスは、凄腕の女性弁護士ホワイトに事件の渦中の銀行貸金庫の中に入っているものの秘密を守ることを依頼する。

 面白かった!!
 最近の私は、映画を見てのイチャモンとか愚痴とか文句が多くなったような気がして、もしかして性格が悪くなってひねくれた見方しかできなくなってるんじゃないか、と不安になってきたところでした。これは文句なしに面白かった。
 すっごく良いクライム・ムービー見ちゃった、わーい、という満足の一品。間然するところのない巧みな構成、ハイセンスな画面にユーモア、スパイク・リー監督「いい仕事してます」様々な人種の混在や警察・野次馬、市長までおそろいでニュー・ヨークという街を見せてもらった気分。役者の皆さんも本当に見事でした。クリストファー・プラマーがあんな役をやるのもなかなか皮肉で素敵。
 デンゼル・ワシントンとクライヴ・オーウェンががっぷり、って感じでもうカッコイイ、カッコイイ。
 クライヴ・オーウェンはこういうちょっと規範をはずれた人物がめちゃくちゃ光っていると思う。ちょっとむさいところも身震いするほど目が嬉しい。ジョディ・フォスターの喰えなさにも大喜びさせてもらった。
 そしてラストもイカシテいる。
 面白かった!!