二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

モーム「世界の十大小説」とスティーヴンソン「ジキルとハイド」をめぐって

2023年01月19日 | エッセイ・評論(海外)
たくさんの本が、家じゅうのあちこちに置いてある。それらをどういう順に読んでゆくのか、いつも悩ましい選択でありんす(^O^)ニャハハ
はてさて、何から書いたらいいものか?
岩波は西暦、新潮は和暦を採用しているので、そのまま写した。
日本の場合、あいかわらずこのふたつの様式が混在しているから、とてもわずらわしいことがある。



■W・Sモーム「世界の十大小説」岩波文庫 上・下巻(西川正身訳)1997年刊


この本を読むのは、二度目か三度目。わたしの読書の方向性を決定した著作のひとつである。
ミーハーなので、舐めるようにして目で拾ってゆく。
おもしろい、ほんとうにおもしろい。
<上巻>
ヘンリー・フィールディングと「トム・ジョーンズ」
ジェイン・オースティンと「高慢と偏見」
スタンダールと「赤と黒」
バルザックと「ゴリオ爺さん」
チャールズ・ディケンズと「デイヴィット・コパーフィールド」

<下巻>
フローベールと「ボヴァリー夫人」
ハーマン・メルヴィルと「モウビー・ディック」
エミリー・ブロンテと「嵐が丘」
ドストエフスキーと「カラマーゾフの兄弟」
トルストイと「戦争と平和」

20世紀ではなく、一篇をのぞきすべて19世紀に書かれた“世界の名作”である。
この本についても、ここでチョイスされた作品についても、ご存じの方がきっと多いのではないかしら(^^? )
ご承知のように19世紀は、小説の全盛期であったのだ。芝居やオペラはあったが、映画やテレビはない。飛行機もないし、電話もない。ないない尽くしである。

われわれ現代人が依存している“便利グッズ”のほとんどすべてが、20世紀の産物。恐るべき人口爆発も20世紀の産物(゚Д゚;)
この「世界の十大小説」は、その後、日本では篠田一士、加賀乙彦、中村真一郎、池澤夏樹など類書が続々誕生し、わたしはそれらほぼすべて読んでいる。でもねえ、何といっても、モームが一番!!

モームは自伝だとか伝記だとかよく調べているから、テキストクリティークのようなまだるっこしいことはやらない。そこがおもしろいし、ツボにはまった場合は爆笑となったり、あきれ返ったりと、モーム晩年の作らしいが、これらのエッセイ=評論は小説なみに愉しめる。
スタンダール、バルザック、ディケンズ、フローベール、メルヴィル、ドストエフスキー、トルストイ・・・今回読み返したのは、この7人。
世界文学の長篇にあらためてチャレンジしたくなってきたナハハハ(^^♪


評価:☆☆☆☆☆




■スティーヴンソン「ジキルとハイド」新潮文庫(田口俊樹訳)平成27年刊


何というか、型にはまっている。多くの、じつに多くの模倣者を生んだせいだろう、スティーヴンソンのせいではなくてね。
あきれるほど映画チック。
ふん、ふんそうきましたかという、予測のつく展開で、新鮮味はない。
決まりきった善悪の二元論。しか~し、恥ずかしながら、わたしは“原作”をはじめて読んだ。

光文社の古典新訳文庫の刺激で、新潮文庫も新訳シリーズをつぎつぎ出している。
名付けてStar Classics・名作新訳コレクション♪
手許にこのシリーズがずいぶんとたまってきましたよん、その割に読めていないけどね。


評価:☆☆☆

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