二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

影が主役

2010年11月28日 | Blog & Photo
いままで「影が主役」の写真を意識的に撮ったことはあまりなかった。
しかし、晩秋のストリートを歩いているとき、あるいは部屋の中に射し込む陽射しを眺めているとき、
「いまはじめて出会った」ような驚きをもって、その存在に気がつくことがある。
本来は脇役であるはずのものを、主役にしたらどうなるだろう。

つぎの光景を見たとき、ちょっとひらめくものがあったのだ。



高速道路のサービスエリア。
影が動いていた。
あらら、なんておもしろい影絵なんだろう。
そう考えて狙ってみた中の一枚。
マイミクゆっこさんが「イイネ!」をさっそくつけてくれた。
こういう小さな発見に有頂天になるのは、わたしばかりではないのだな(^_^)/~



こちらはさっき写した仕事場のテーブル。
昨日から読みはじめた「森山大道、写真を語る」(青弓社)が置いてある。
ペットボトルにあたった光が、屈折してテーブルに不定形の紋様を描いている。
「いい光じゃないか・・・」
こういう光は、影という名脇役をえて、その輝きをます。

さて、さて。
久しぶりにめぐってきたカメラと写真の秋。
書庫から何冊かの写真集をひっぱり出して、撮影してみた。



いずれも1990年代に集めたもの。
日本の写真家では、森山大道、荒木惟経、藤原新也、橋口譲二あたりが好きで、少しむりして、高価な写真集を買った。
むろんいずれも神々に列すべき、時代の旗手だったが・・・。



海外の写真家から3冊。
「アメリカンズ」ロバート・フランク
「アメリカ」ウォーカー・エヴァンズ
「HOME AND ABROAD」MARTIN PARR(マーチン・パー)
見直したら、ほとんどの作品が、記憶の底からよみがえってきた。
当時やっていた集団「はぐれ雲」のメンバー数人と、横浜美術館で開催されたロバート・フランク展を見に行ったときのこと。
講演を終えたロバート・フランク当人が美術館のホールにいたわたしの目の前にあらわれた。むろん、遠慮なくフランクに向かって13枚ばかりシャッターを切った。
「グッドラック!」
20世紀最高の写真家にひとり、フランクは、なかば茫然自失となったわたしに微笑を投げかけ、そそくさとどこかへ姿を消した。



日本の写真家から3冊。
「東京物語」荒木経惟
「犬の時間」森山大道
「少年の港」藤原新也
選んでみたら、マーチン・パーの1冊をのぞき、すべてがモノクローム。
写真がいまよりも、はるかに力をもち、輝いていた時代の痕跡。
これらのページを開くとそのことが生々しく蘇ってくる。
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