二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

ブラームス 交響曲第4番を聴く

2010年09月06日 | 音楽(クラシック関連)
昨日会社から帰る途中、中古CDを2枚手に入れたので、深夜さっそく聴いてみた。

■ブラームス 交響曲第4番ホ短調
 指揮:カルロス・クライバー ウィーン・フィル(1980年)

ブラームスの第4番は、わたしはこれまで、カラヤン、バーンスタイン、ジュリーニで聴いてきた。どの演奏もすばらしいのだが、なんとなく納得しきれていなかった。
クライバーがどれほどの天才かは、いろいろな評論家が書いている。
わたしも20年ばかり前に、もっともよく聴いたベートーヴェンの第5番、第7番は、クライバー盤だった。

Amazonのレビューをさっき調べたら、7つ置いてあるレビューが、すべて星5つ。
アゴーギグ、間の取り方が絶妙。録音も、この時代としてはベストに近いだろう、と思われる。決して機械的ではなく、また情緒におぼれることもない。それでいて、第1楽章など、ぐっとテンポを落とし、濃厚な官能性をにじませている。ヴァイオリンが、休止符をはさみながら途切れがちに歌う哀切な第一主題が、リスナーの心を遠くへといざなっていく。現場の演奏会場にいたら、どんなに凄かったろう。ブラームスの4曲は、よく春、夏、秋、冬にたとえられるが、それほど単純に割り切れるものではない。

極めつけは、第4楽章。くり返し再現されるシャコンヌ形式(変奏主題)をめぐって、じーんと胸にしみ通ってくるような音楽の回廊が出現する。Y・S・バッハへのオマージュともいうべきすばらしい変奏曲なのだが、過ぎ去った時間への回想をこめて、これほどクリアに演奏してみせるとは!
ブラームスは何ものかをあきらめたのだ。飄然としてどこへともなく立ち去ろうとする後ろ姿のようなものが、この終楽章を悲しみの色に染め、クライバーは、激しくそれに共感して、劇的なカデンツを終結させている。

ファンの多数が、この第4番をブラームスの「白鳥の歌」(とはいえ、このあと彼は12年生きる)になぞらえたくなる気持ちがよくわかる。第4楽章におけるフルートのソロ・パートなど、鳥肌ものといっていい。
これさえあれば、ほかはいらない・・・とはいわないが、「ブラ4」の最高の1枚であろう。
YouTubeで検索していたら、ブラ4のライブ動画が見つかった。
クライバーの動画がこんなに多種にわたって投稿されているとは知らなかった(^^;)

http://www.youtube.com/watch?v=yCaaPaQx5zg
http://www.youtube.com/watch?v=hvsM_EMwj8M&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=Trr_9rXaI1U&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=WZGWB93-mmI&feature=related

クライバーは歌曲の指揮にも、名盤をいくつか残している。わたしは歌曲は聴かないけれど、歌曲ファンはたまらないだろうなぁ。


■ブルックナー 交響曲第7番ホ長調(原典版)
 指揮:ウィルヘルム・フルトヴェングラー ベルリン・フィル(1949年)

一方のブルックナーの第7番。
わたしにとっては、「ブル7」はこれで5枚目となるCDである。
これは録音はいかにも時代を感じさせる古色をおびてはいる。しかし、CD化するにあたって、リマスタリングされ、リフレッシュ。わたしのはミニコンだから、音響的にはほんとうにチープなもので、ある程度想像力を働かせて聴いているが、期待をうわまわる響きとなっていると思われる。
ブルックナーとフルトヴェングラーではミスマッチでしょう?
という人がいるかもしれないが、どうして、どうして。緊張感がずっと持続する充実した1枚という印象をうけた。 こういう演奏を耳にしていると、ブルックナーがベートーヴェンを目標に作曲にはげんだありさまが思い浮かんでくる。とくに「第九」の影響は、ブルックナーのシンフォニーの随所から聴きとることができるだろう。ヨーロッパにおける、交響曲という音楽形式の頂点がこのあたりにあったわけだし、巨匠といわれる指揮者たちが、20世紀になって、こぞってブルックナーに向かうようになったわけが理解できる。

これから時間をとって、他の盤とじっくり聴き比べをしてみよう。
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