槌音が聞こえる。
色とりどりの帽子をかぶった小人たちは一生懸命やっている。
さあ フクジュソウのつぎはスイセン
ウメ マンサクやジンチョウゲ
咲かせなくてはね つぎからつぎへと。
だから彼らは大忙し。
SEXYなかぐわしい香りにむせびながら
わたしはある夜
入り組んだ夢の岬から小舟に乗る。
巻かれたネジがゆっくりとほぐれていくように
住人たちの胸が開いて
そこから春がしのびこむ。
向こう岸へ渡 . . . 本文を読む
レモンイエローのテニスボールが
テーブルの端から落ちて
視界から消える。
ほかにもそうして消えたものがたくさんあった。
ジグソーパズルの中からは赤いピースがすべて消え
友よ・・・
しかし友はなく
愛する人たちが
視覚の広場から少しずついなくなる。
猫も消えて
人生にはきっと 待ち時間というものがあるのだ。
何週間も 何カ月もぼくは待っていた。
いまも“あるもの”があらわれるのを待っている。
そ . . . 本文を読む
玄関の板の間から座敷に上がるところにある、ガラスを組み込んだ縦繁障子。和紙をずぼっと破って、やんちゃ坊主のわが家のコタロウが出入りしている。
猫にとって、ドアや障子は邪魔者なのだ´Д゜
好きなとき、好きなように出入りした~~い・・・というわけで、この“犯行”に。おいおい、大人になったらどうする?
ちなみにわが家は小農家で、両親とは敷地内同居なのです。 . . . 本文を読む