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二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

過激かつ非情な“ぼくら”の物語 ~アゴタ・クリストフ「悪童日記」を読む

2023年03月18日 | 小説(海外)
   (表紙がかわって値上がりしたけど、中身はまったく違わない) ■アゴタ・クリストフ「悪童日記」堀茂樹訳 ハヤカワepi文庫2001年刊(原本は1986年パリ) 友人から感想を聞いたことがあったので、驚きはなかったが、衝撃がなかったといえば嘘になる。 しかし、読み了えたいまでも、作者の“位置”というのがよくわからない。行方不明の作者を探す小説なのであろうか? これまで読んだ、どんな作品とも . . . 本文を読む
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朽ち木が発する燐光のようなもの ~ホーソーン「緋文字」を読む

2023年03月15日 | 小説(海外)
 (ポストイットをやたら挟んだ光文社古典新訳文庫版) ■ホーソーン「緋文字」小川高義訳 光文社古典新訳文庫2013年刊 たいへん評価のむずかしい小説である。四苦八苦しながら、一か月ばかりかけて、ようやく読み了えることができた。以前に、二回ほど挫折している。今回も10ページあたりで、挫折しかけたので、冒頭の「税関」を後回しにし、ストーリーが始動する第一章「獄舎の扉」から読みはじめた。 初 . . . 本文を読む
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O・ヘンリーとサキと ~短編小説の愉楽

2023年03月04日 | 小説(海外)
今回のレビューは評価なし。 なぜかというと、まだ読み了えていない本についての記事となるからだ。 O・ヘンリーといえば、アメリカンショートストーリーの代表的書き手。一方のサキは、イギリス文学であるが、同じく短編小説で卓越した作品を多く遺した小説家。 O・ヘンリー:1862~1910年 サキ:1870~1916年 サキは8年遅れて生まれているが、現代と違って、ジャーナリズムはたいして発達していなかっ . . . 本文を読む
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社会の底辺を見据えるスタインベックのまなざし 〜「ハツカネズミと人間」を読む

2023年02月17日 | 小説(海外)
■スタインベック「ハツカネズミと人間」大浦暁生訳 新潮文庫(平成6年刊) 本書「ハツカネズミと人間」は、スタインベックの最高傑作といえるのではないか。 アマゾンのBOOKデータベースでも「永遠の名作」と紹介している。 《一軒の小さな家と農場を持ち、土地のくれるいちばんいいものを食い、ウサギを飼って静かに暮らす――。からだも知恵も対照的なのっぽのレニーとちびのジョージ。渡り鳥のような二人の労働者 . . . 本文を読む
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アメリカ文学の“精髄” ~「老人と海」「赤い小馬」を読む

2023年02月08日 | 小説(海外)
■ヘミングウェイ「老人と海」福田恆存訳(新潮文庫 昭和41年刊) 以前に読んでいるので、再読である。一日か二日で読み切れる中編小説をふと読んでみたくなった。 「ドン・キホーテ」「戦争と平和」「人間のしがらみ」(「人間の絆」)などの大作を、最近買い直したのだけれど、どうも勇気がわいてこない。二週間、三週間・・・あるいはそれ以上の時間をかけて読んでやろうというのは、ある種の決心が必要(´Д`) . . . 本文を読む
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ドーデー「風車小屋だより」(桜田佐訳)の改版が刊行された

2021年07月25日 | 小説(海外)
   (左改版、右旧版) ドーデーの「風車小屋だより」(岩波文庫)の待ちに待った改版が、ようやく刊行された(^^♪ 桜田佐さんのあとがきをふくめ226ページだったのが、文字がやや大きくなって278ページ。 それに有田英也さんの解説、年譜つき。そのほか表紙の風車の挿絵が変わり、ばったがバッタとなるなど、表記の見直しもなされている。 この本は100円コーナーにあったので、見つけると買い、また買い . . . 本文を読む
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ハンドルネームの変更 ~シャーロック・ホームズについて

2021年05月06日 | 小説(海外)
■三毛ネコ→シャーロック 思うところあって、ハンドルネームを“三毛ネコ”から“シャーロック”に変更いたします(^^♪ <ここからはシャーロック・ホームズに関心をお持ちの方のみご覧下さい。> シャーロック。小説家コナン・ドイルが生み出した、そう・・・あの世界一有名な探偵さんの名にあやかったのです。 「緋色の研究」によると、シャーロック・ホームズとはこういう人間だそうです。 1.文学の知識: . . . 本文を読む
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20世紀の小説について ~プルーストを読むかどうか?

2021年05月04日 | 小説(海外)
20世紀を代表する海外の小説といえば、ジョイス「ユリシーズ」とプルースト「失われた時を求めて」になるのかしら。 どちらも大作、最後まで通読するのは容易ではない。 ・・・というわけでどちらも読んでいないし、これからも読まないだろう。 わたしばかりでなく、かりに読みはじめたとしても、最後のページまでたどり着ける人、どれほどいるだろうか(´・ω・)? 文庫本では、つぎのシリーズが“定番”かしらね。 . . . 本文を読む
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絶対名作って何だ?

2018年08月09日 | 小説(海外)
(たくさんある訳書の中で、この新潮文庫版「変身」がほぼ定番。すでに100刷りを超えている) 世の中には、絶対名作といってイイような作品が存在する。 大抵は100刷りを超えていて、じっさいによく読まれているのだろう。 夏休みともなると、新潮文庫や角川文庫、その他で○○文庫の100冊・・・といったキャンペーンが展開されるから、本を読む学生さん向けといったところか。 改版されると、活字が大きくなっ . . . 本文を読む
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読書についてのひとりごと ~老年の文学

2017年10月18日 | 小説(海外)
(昨夕、紀伊國屋書店で買った「ハドリアヌス帝の回想」。高い本なので、決心が必要だった) 本を読む時間は、現実から身をふりほどき、脳や心を遠い世界へさまよわせることである。 読書するというのは、したがって、人生からの“途中下車”といえなくはない。 わたしは毎日、この“途中下車”をやっている。 その間、いろいろな栄養や酸素が脳と心に補給される。友人には映画人が何人かいる。 彼らは映画館にいるとき、 . . . 本文を読む
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