「ちょっと、お手伝いしていただけますか?」
と、お客様から言われた。
高級ホテルコンドでの、出張マッサージでの出来事。
マッサージを受ける前、
「音楽をかけたいがリモコンの操作が解らない。」
と言われ、オーディオはわたしもよくわからないので、
あれこれとリモコンを操作して、しばらくの格闘の末、なんとかなった。
「助かりました。これから先の滞在中、音楽が楽しめます。」
そしてマッサージがすこし遅れて開始。
まだ20代くらいだが、落ち着いた、感じのいい女性だった。
苦労してかけた音楽もあいまって、適度なおしゃべりもしながら、
心地よくマッサージが終了。
会計もすべて終わった後に、そう言われた。
(またなにか?)
ドキッととした。
ただでさえ時間が遅れて終了しているところに、さらに何か?とちょっと焦った。
正直、ちょっとムッとした。
「これを手伝って欲しいんです。」
差し出されたのは、チョコレートディップされた大きなイチゴ。
「食べ切れなくて。」
かわいらしく笑いながらそう言った。
ゴディバのチョコレートでディップされたイチゴだ。
免税店の一角で作っているのを、通りがかるたび、いいなあと横目に見て通り過ぎていた、あのイチゴ!
高級すぎてわたしには手が出ない、あのイチゴ。
そのイチゴを食べる「お手伝い」!
なんて素敵なサプライズ!
そして、なんてかわいらしい言い方なんだろう。
ちょっとムッとした気持ちが恥ずかしい。
よろこんでお手伝いさせていただいた。
こんなかわいい言い方をする女性になりたいものだ。
わたしだったら、こんなかわいい言い方をする前に、
もったいなくて一人で食べちゃうだろう。
そもそも、いちご1粒を食べきれないなんてことはないから、
オーディオ操作のお礼に、ということなんだろう。
普段、マッサージをしている最中に見えるいろんなこと。
服や靴を無造作に脱ぎ散らかしたままの人。
マッサージが終わったあと、ブランケットを丁寧に伸ばして部屋を後にする人。
お金を払っているのに、「ありがとう」と言ってくれる人。
ほんのちょっとしたことで、その人の「ひととなり」が見える。
見習いたいことや、これは気をつけようと思うことが見えてくる。
この日の「お手伝いしてくれますか?」は、わたしも上手に使いたいな、と思った。
善意を、押し付けがましくなく勧めたい時、
こんな言い方をさらりとできる人になりたい。
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