今日は、アマプラで見た映画、
「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」(アイルランド・カナダ合作 2020年)
を紹介したいと思います。
前知識なしで見たのですが、これ、タイトルが酷い。
オリジナル通りに「マイ・サリンジャー・イヤー」となっていたら迷わず即見たのに。
だって、サリンジャー抜きでは語れない映画なのですから。
あの「ライ麦畑でつかまえて」のJDサリンジャーね。
私も若い頃、どっぷりサリンジャーにハマった時期がありました。だから、サリンジャーにハマる若者たちの気分というか感覚がよくわかります。
私たち団塊の世代にとってはまさに懐メロ的な映画。
ああ、なつかしい。
1990年代のNYが舞台。
作家志望の若い女性ジョアンナが西海岸からNYにやってきて、サリンジャーの出版エージェントの事務所に運よく職を見つけ、サリンジャー氏とも交流する、という話で、ジョアンナ・ラコフの自叙伝『サリンジャーと過ごした日々』を基に作られた映画だそうです。
でね、当然のことながら、サリンジャーが出てくるのですよ!!
もちろん本人ではないし、顔も出さない。電話の声だけ。あるいは後ろ姿だけ。
去っていく後ろ姿や、柱の向こうにいるのだけど顔は見えないというチラ見せ手法です。
サリンジャーのエージェントであるマーガレットに扮するのがシガニー・ウィーバー。「エイリアン」のヒロインね。歳取ったなあ。
この映画は、言ってみれば「プラダを着た悪魔」の文芸バージョンとでもいえばいいか。
プラダを着た悪魔のメリル・ストリープが、この映画ではシガニー・ウィーバー。二人はとてもよく似ています。傲慢で横柄なところ、そのくせ妙に弱い一面もあったりして。
さて、NYに出てきて憧れのエージェントアシスタントの職を得たものの、ジョアンナは重要な仕事はさせてもらえず、もっぱらサリンジャー宛てのファンレターに定型通りの返事を出す、という仕事を与えられます。
しかし、サリンジャーの熱烈なファンたちのファンレターは実に面白く興味深く、ジョアンナはサリンジャー本人より、このファンレターの主たちに心惹かれていきます。
そして、実際にファンレターに定型通りではなく個人的な感想を書いてしまい、マーガレットに叱責されたりもします。若気の至りね。
彼女には同棲する作家志望の恋人もいて、彼は家で執筆の日々。でも、ジョアンナは彼の作品が気に入らず猛烈に赤を入れたりする。彼の作品は下らないと思っている。しかしジョアンナ自身は生活のため働かざるをえず、書く時間がない。
サリンジャーが電話の向こうでジョアンナを励まします。
毎日書きなさい。15分でもいいから、とにかく毎日書くんだよ。
サリンジャーに、そしてサリンジャーのファンたちにインスパイアされて、ジョアンナはついに事務所を去る決意をするのですが、大したアクシデントもなく(ちょっとした悲劇はありますが)、ジョアンナの未来は明るいと希望を示唆して終わります。
実際、ジョアンナは作家になったわけだしね。
これねえ、もう若さがギュッと詰まった映画で、私たちの世代には本当になつかしく、ああ、そうだったよねえ、あの時代はこんな風だったわ、と思い出させてくれるのです。
若かった頃、自分は一体何に向いているのだろう、どう生きていけばいいのだろうと散々迷ったものですが、
周囲が何といおうと、自分に自信があろうがなかろうが、とにかくやらずにはいられないこと、やめようと思ってもやめられないこと、というのを見つけてそれをひたすら続けること。
それこそが、その人が持って生まれた才能であり、特技であり、ミッションであるのだと思います。
私自身のミッションも未完成なので、まだまだ伸びしろあるぞ、と思っています。
さて、
今朝は公園の池で久しぶりにカワセミを見ました。カイツブリ親子も元気です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます