ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

ドリーム

2019-04-16 09:52:42 | 映画

 

(これは2018年3月31日の記事です)

1960年代にNASAで活躍した黒人女性たちの実話を基にした映画

「ドリーム」を紹介します。

原作はマーゴット・リー・シェッタリーのノンフィクション「Hidden Figures」

(以下少しネタばれ)
子どもの頃から数学の天才と言われてきたキャサリン、そして同じく数学の才能あるドロシーとメアリー、3人の黒人女性たちはNASAで計算手という仕事をしています。コンピューターがまだ導入されていなかった時代、ロケットの軌道計算は彼女たちが手で行っていました。

キャサリンは軌道計算になくてはならない人物であるにもかかわらず、肝心な部分を黒塗りにした資料を渡され(それでも間違いを指摘し修正するも黒人であるために認められず)、しかも、白人用のトイレが使えないので、オフィスから離れた黒人専用のトイレまで走っていかなくてはいけない。
雨の日にずぶぬれになってトイレから戻ってきたキャサリンを上司のハリソン(ケヴィン・コスナー)が見咎め、一体どこに行っていたんだと問い詰めるシーンが感動的です。

キャサリンは、黒人用トイレに行くために800mも走らなくてはいけないし、自転車に乗ることさえ許されない、ということをまず言い、それから、

「服装規定も『スカート丈は膝下、シンプルな真珠のネックレスのみ』
真珠なんてない! 黒人のお給料で買えるわけがない!
昼も夜も身を粉にして働いているのに、私のコーヒーポットに誰一人手も触れない!
だからお許しください。一日に何度かトイレに行くくらい」
といってオフィスを出ていきます。

コーヒーポットは白人用と黒人用に分かれており、ハリソンはまずポットに貼られた「黒人用」のシールをはがし、それから「白人用トイレ」と書かれたトイレ標識をバールで壊し、

「NASAでは小便の色は一緒だ」といいます。カッコいい!

それを、背筋をピンと伸ばし無言のまま見守る黒人女性たちもまたカッコいい!

ドロシーも、初めて導入されたIBMのコンピュータの扱いがわからず困り果てていた白人男性を尻目に、コンピューターを見事に扱い、認められるようになるなど、痛快なエピソードがたくさん。

まあ、NASAだからね。
NASAのロケット開発が人類の歴史にとってどうなのか、ということは置いておいて、もっぱら闘うことで権利を奪い取ってきた黒人男性たちにとっては、彼女たちのやり方は白人におもねるようで気に入らない、というシーンもあります。

それでも、彼女たちは自分たちの才能と力を信じて、やれる限りのことをやります。これだってすごく大変な闘いです。
それが結果的に黒人の活躍の場を広げることになったわけです。

いろいろな場所で、いろいろな方法で、彼らは自分たちの当然の権利を主張してきたわけで、そのたくましく前向きな姿勢にはいつも脱帽させられます。そして、すごく励まされます。
同じように、女性の権利をもっとたくましく前向きに主張してもいいのではと思うのですね。
日本では特に。

三人の黒人女性の一人、ドロシー役は「シェイプ・オブ・ウォーター」にも登場したオクタヴィア・スペンサー(この人「ヘルプ」にも出ていますね)実に存在感のある女優さんです。

ハリウッドもようやく黒人俳優を認めるようになってきているみたいですが、遅すぎるだろっ! と言いたい。

アジア系が認められるのは100年くらい先かな。ま、別にハリウッドに認められなくてもいいけどね。

痛快な映画です。一見の価値あり。

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