ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

時をかける少女(1983年版)

2020-04-19 09:33:30 | 映画

二年ほど前に尾道を訪ねたとき、尾道にゆかりのある人って多いのねと思いました。

志賀直哉、林芙美子、小津安二郎、新藤兼人、大林宣彦と著名人を列挙したらきりがないほどです。

尾道の町は山際にへばりつくように家々が建ち並び、急坂や階段が多いので、ここを毎日上り下りして暮らすのは、足腰は鍛えられるだろうけど、きついだろうなあ。

でも、だからこそ、山の上からの眺望はすばらしく、穏やかに凪いだ海は人々の気持ちを癒す力を持っているのかもしれない・・と思いました。

先日他界された大林宣彦監督も尾道出身です。

で、大林監督の尾道三部作の一つ、

「時をかける少女」(1983年)

をたまたまTVでやってたので見ました。

原田知世がかわいいなあ、とか、昔の尾道ってこんなだったのね、とか、あのお寺の階段は私が子どもの頃住んでいた愛媛の小さな町のお寺の階段にそっくりね、とか、いろんなことを思い出させてくれました。

1983年といえば、今から40年近く前の映画ですが、むしろその古さが味があっていい。

テンポが少し遅いし、ラベンダーの花ってこれでいいの? というのがあったけど、全体的にとてもいい映画でした。

アニメ版の「時をかける少女」が私は大好きで何度も見ていますが、基本的にストーリーの構成が同じというのも実感しました。

でも、やはり現代版のほうがスピード感があってストーリーがぐいぐい進むところが面白い。

それにしても、原作者の筒井康隆ってやっぱり天才ですね。

この作品が発表されたのは1967年、今から半世紀以上前です。あの時代にタイムリープものを書くなんて先進的です。

フィリップ・K・ディックが「高い城の男」を発表したのは、1963年なので、この頃からすでにタイムリープやパラレルワールドものはあったようではありますが。

やっぱり、クリエイター達は未来から何らかの情報を得ているにちがいない。

どこか雲の上に、宝島のような、あるいはドラゴンボールに出てくるカリン塔みたいな塔があって、時々そこに行っては未来の情報を仕入れてくるんじゃないのかなあ。

1983年の「時をかける少女」では、深町君は2600年代から来たということになっていますが、

今の世界の状況を見ると、果たして人類は2600年まで生き延びることができるのか?

アニメ版の「時をかける少女」でも、未来に何やら恐ろしいことが起きているようだし。

小松左京もそうですが、SF作家たちが描く未来というのは、ほとんど希望のない暗い未来で、それって今の現実を反映しているんでしょ、とは思いながらも、何%かはやはり雲の上の宝島(あるいはカリン塔)から・・

ともかく、

この映画、最初はのんびりしていますが、少しずつ速度をあげていき、中盤以降は急転直下、深町君が実はこの時代の人間ではないことが明かされます。

主人公の芳山和子(原田知世)・・ちなみにアニメ版では主人公マコトの叔母さんという設定です・・が秘かに恋する深町君は実は未来人だった・・

いってみれば、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいなストーリーですが、

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は1985年ですね)

思春期の揺れ動く少年少女の気持ちを表現するのに、一見堅固に見える時間の流れが実は不安定なのだ、というこの手法、私は好きです。

ちなみに、私の友人の一人は、思春期の頃、見ているだけで時計の針を止めることができた、と言っていました。

こうした一種の超能力というのは、もしかすると人間にもともと備わっているものなのかもしれません。

また、映画の中で、深町君がこういうシーンがあります。

「時間て過ぎるものじゃなくて、やってくるものなんだ」

時間は過ぎるのではなく、未来からやってくるものである・・これも最近よく聞かれるようになった気がします。

半世紀以上前からそう言われていたのか・・

ちなみに、アインシュタインは手紙の中で、

「過去、現在、未来、というのは幻想である・・」

と書いているそうですが。

やっぱり筒井康隆はカリン塔あたりで情報を得ているにちがいない。きっとそうだ。

私は昔から時間SFやファンタジーが大好きで、一度書いてみたいと思って書いたのが、

「約束の庭」(1995年 ポプラ社)

なんですけどね、あんまり売れなかった。

よかったら図書館でどうぞ。Amazonでもまだ売ってるようです。
(ちなみに、Amazonを覗いてみたら「約束の庭」中古本で400円くらい。残り3冊。絶版なので、もう手に入らないと思います。お早めにどうぞ)

(カリン塔の場所、教えてほしいにゃ)

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