ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

怪物はささやく

2019-06-20 10:13:29 | 映画


(これは2018年1月17日の記事です)


「怪物はささやく」
(J・A・バヨナ監督作品 スペイン、アメリカ合作 2017年公開)

イギリスの作家パトリック・ネスのベストセラー小説が原作です。
スペインのアカデミー賞と言われるゴヤ賞9部門を受賞。
バヨナ監督はギレルモ・デル・トロがプロデュースした「永遠のこどもたち」の監督でもあります。

「永遠のこどもたち」は胸にズシリと来る、忘れがたいダークファンタジーです。そして、今回もまたダークファンタジー。

難病(おそらく末期ガン)の母と二人で暮らしているコナー少年(13歳)は毎晩決まって12:07に悪夢を見ます。
自宅の窓から見える教会が崩壊し、地割れが起き、母がその地割れに引き込まれていく。必死で母の手をつかむけれど、力尽きて手を離してしまう、という悪夢です。

そんなコナーの前に、教会の前にあるイチイの木の精が怪物(モンスター)となって現れ、コナーにおとぎ話をしてくれます。
けれど、三つのお話をしおえたら、コナー自身が四つ目のお話をしなければいけないと怪物はいいます。

母の病状が悪化して入院を余儀なくされ、コナーの世話をするために意地悪な祖母がやってきます。
この祖母がシガニー・ウィーバー。あの「エイリアン」の女性ですね。年とったなあ。
コナーにとっては悪夢の上にさらなる悪夢が重なります。

けれどもこの祖母、一見意地悪に見えるけれど、実は深くコナーとコナーの母を愛していることがやがてわかります。

コナーは学校でもいじめられ、母と離婚した父親がアメリカからやってくるのですが、コナーを引き取ることはできないといいます。
彼は誰からも拒絶され孤独で怒りを抱えています。

そんなコナーに怪物がしてくれるおとぎ話もまた、理不尽この上ない話ばかりで、現実はかくも厳しいものなのだとコナーに突きつけます。

かくして、コナーは三つのお話を聞き終え、最後に彼自身の話をしなくてはいけなくなります。それは、コナーが隠している真実の話でなくてはいけないと怪物はいいます。

さて、コナーの真実の話とは何か?

というのがストーリーですが・・

これ、実によく出来たストーリーで、映画評を見ると絶賛の声もかなりあるのですが、正直いって、私はイマイチだったなあ。

いいお話なのだけど、なぜか感動がわかない。

たぶん、ストーリーが計算されすぎているせいなんだろうと思うのだけど、その計算が見えてしまい、わりと簡単に先が読めてしまう。
最後のコナーのお話も大体予想がつきます。
「永遠のこどもたち」のような意外性がない。
「永遠のこどもたち」は本当に最後にズシリと来るものがあり、一体どうすればこんな悪夢から逃れられるのだろうかと考えこまざるをえない映画でした。

「怪物はささやく」にはそれがない。だから興行成績も今一つだったのでしょう。観客はよく見てますね。

映画というのは、実際のところ、計算やセオリーだけではないのだと教えてくれている気がします。

とはいえ、コナー少年がとてもよかった。
しかも、イチイの木の精である怪物はリーアム・ニーソンが声を担当し、モーションキャプチャーもしています。
怪物のお話に登場するアニメーションもよく出来ている。

何もかもよく出来ているのに、なぜかそれほど感動がわかないという不思議な映画でした。
というのは、あくまでも私の感想で、絶賛している人がけっこういるので観て損はないかも。

コメント
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