ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

アラバマ物語 他

2019-06-17 17:44:23 | 映画

 

(これは2018年6月9日の記事です)

ご無沙汰しておりました。
いったんは失くしたと思ったブログ記事、復活して、やれやれと思ったとたん、なんだか気がぬけて、しばらくサボっていました。

映画はたくさん見ていますが、私の日常も忙しくなってきて、日本語の生徒も増えてきて嬉しい悲鳴をあげているところです。

この年になってもまだまだできることはある、というか、いくつになってもチャレンジはできると思っているので、自分に制限をかけることだけはやめようと思っています。

さて、最近見た映画の話ですが・・
「ゲット・アウト」に衝撃を受け、同じジャンルの映画を立て続けに見ました。
「アラバマ物語」「カラー・パープル」「プレシャス」「それでも夜は明ける」「グレート・ディベーター 栄光の教室」・・
以前書いた「ドリーム」や「ヘルプ」も同じ傾向の映画ですね。

「アラバマ物語」は昔見たのですが、改めていい映画だと思いました。1962年といったら、私がまだ中学生の頃です。グレゴリー・ペックが素敵!
グレゴリー・ペックといえば「ローマの休日」を思い出しますが、「アラバマ物語」でも黒人を擁護するリベラルな弁護士を演じています。

個人的な思い出ですが、ロシア語の通訳をしていた友人が、昔グレゴリー・ペックと同席したことがあると話していました。
どんな人だった? 何を話したの? と矢継ぎ早に聞いたのですが、大勢の人がいたので特別な会話はなく、挨拶程度だったといいます。
でも、彼の隣だったか向かいだったかの席だった、と言ってました。
グレゴリー・ペックと同席! なんて羨ましい!

その友人もすでに亡くなって久しいです。時間のたつのが速い。そして人生は短い、とつくづく思う今日この頃です。

話がそれました。小説でも同じですが、良い作品というのは古びないのですね。

「カラー・パープル」も1985年の映画ですが、ちっとも古くない。この映画でウーピー・ゴールドバーグがデビューしました。スピルバーグはやっぱりすごい。初期の頃からこのクオリティ!
長い映画ですが、すっかりハマること請け合い。まだ見てない方はぜひ。

「それでも夜は明ける」もすごい映画です。原題は"12 Years a Slave" 「12年間奴隷として」という意味です。19世紀末、アメリカのNY州で自由な黒人として成功していたソロモン・ノーサップが誘拐され12年間の奴隷生活を強いられたという実話から作られた映画です。スティーブ・マックィーン監督作品で、ベネディクト・カンバーバッチも出ています。

こうした映画を見るにつけ人種差別の過酷さは、私たち日本人には想像を絶した世界のように思われてきます。でも世界では今もなお過酷な状態に置かれている多くの人たちがいます。日本は単一民族の国なので、そうした問題とは無縁だと思われるかもしれませんが、実際のところ、見えない差別があり、見ようとしない私たちがいるだけです。
いずれ日本も移民を受け入れざるをえなくなるでしょう。その時には、見ようとしなくても、問題が噴出してくることは間違いないと思います。

そうした意味でも、世界で何が起きているのか、知っておくのは大事だと思うのです。映画や小説はその手助けをしてくれます。

「プレシャス」は最初に見たときは、いい映画だなと思ったのですが、二度目に見たときは少し違う印象を受けました。
父親から性的暴行を受け、16歳で二人の子どもを生み、しかも実の母親からも酷い虐待を受けるという、あまりに過酷な境遇に置かれたプレシャス。彼女を助けてくれたのが、学校のレイン先生。読み書きを習い、教室の仲間たちと接するうちにプレシャスの中に自信と希望が生まれ、母親から離れる決心をするのですが、最後に彼女がHIV感染していることがわかります。
乳飲み子を抱えHIVに感染した彼女にどんな未来があるというのだろう。もう少し希望の見える終わり方はなかったのかと思うわけです。
それが彼女たちの置かれている現実なのだ、と突き付けているのでしょうけれど。

一方、「グレート・ディベーター 栄光の教室」は希望の見える映画です。
デンゼル・ワシントンが主演監督脚本を手掛けた作品です。
舞台は1935年テキサス。過酷な黒人差別の状況下で、高校の先生が生徒たちにディベートを通して、言葉で差別を乗り越えろと教えます。生徒たちはディベート競技(というものがあると初めて知りました)に勝ち抜いていき、最後にハーバード大学と決戦して勝つ、というストーリーですが、実話に基づいているというところがすごい。
途中、いろんな試練や挫折があり、実に見応えのある映画です。日本ではあまりメジャーじゃないのが残念ですが、一見の価値ありです。

人種差別に限らず差別問題は根が深く、一筋縄ではいきません。
いくら差別するのは止めようと口で言っても、誰であれ心の底には何らかの差別感情があるのが現実ですね。それを意識するかどうかで現実は多少なりとも変わってくるかもしれない。これは差別じゃない、区別だ、という時、どこかに差別感情がないかどうか、平等であるといえるかどうか・・
意識することから始める、というのも大事だと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする