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ないない島通信No2

映画&読書&旅行&日々の雑感

「はやぶさ 遥かなる帰還」

2023-04-09 09:47:47 | 宇宙

はやぶさが地球に帰還した当時、かなり話題になったのですが、映画まで出来てたんですね。

「はやぶさ 遥かなる帰還」(東映 2011年)

Huluにあったので見てみました。

この映画、2時間16分と長尺なので途中でちょっと疲れるのだけど、はやぶさの全行程を知ってから見ると、

感慨深いものがあります。

特に、はやぶさがぼろぼろになりながら、ようやくイトカワの岩石サンプル入りのカプセルを地球に届けた後、本体は燃え尽きてしまうのですが、その直前にコントロールセンターに地球の写真を送ってきます。

地球が半分だけ写った写真を。

ああ、はやぶさは地球に帰りたかったんだろうなあ、と思うともうぼろぼろ泣けてね。

(実際はこの動画にあるように、管制室からはやぶさに指示を出して最後に地球の写真を撮らせた、ということのようですが、はやぶさの意思も感じられます)

はやぶさのプロジェクトを率いる山口という科学者(渡辺謙)を中心に、プロジェクトチームの面々(江口洋介、吉岡秀隆他)が登場しますが、いずれも実在するモデルがいるそうです。

もちろん、はやぶさの打ち上げから地球帰還までの行程も丹念に描かれているので、これを見るとはやぶさ(初号機)がどんな経緯を経て、地球にイトカワの岩石サンプルを届けたかがよくわかります。

最後は満身創痍の状態でやっと地球に帰還したようです。

それから、はやぶさについて取材する朝日新聞の記者(夏川結衣)と彼女の父親が経営している町工場(山崎努)の風景などを交互に挟みながら進む、言ってみればロードムービーのような映画です。

2003年、内之浦宇宙空間観測所からはやぶさが打ち上げられたとき、アメリカのNASAの職員が訪ねてくるシーンがありますが、センター内の椅子はボロボロで、NASAの職員が顔を見合わせます。

「私たちはNASAの十分の一の予算で、今回のプロジェクトを運用しています」とスタッフが言います。

また別のシーンでは、

「ロケットの失敗のたびに予算が削られる」とも言っています。

これはたぶん今もあまり変わらないのではないかと思います。

先日のH3ロケットの打ち上げ失敗で、もしかすると予算が削られるのかもしれない。そうならないことを願うばかりですが。

宇宙にかける想いというのは人類共通で、日本だろうとアメリカだろうと中国だろうと、実際にロケットや衛星などに携わっている人たちの基本的な想い(なぜその職業についたのかという根本的なところ)は、そう変わらない気がするのですが、どうなんだろうか。

はやぶさが帰還してから早13年が過ぎました。はやぶさの宇宙滞在は7年にも及びました(2003年~2010年)。

現在、「はやぶさ」の後継機である「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから 5,4gほどの砂粒の回収に成功し、今ふたたび別の小惑星に向かって順調に飛行を続けています。

「ロケット開発に失敗はない」という台詞も出てきます。

「糸川博士は失敗とは言わずに『成果』と言った」

「宇宙兄弟」でムッタが「失敗を知って乗り越えたものなら、それはいいものだ」と言ったように、技術開発というのは失敗の連続で、その積み重ねの上に宇宙へ飛び立つ技術が生まれてくるのですから。

私たちは今この時代ではなく、次の世代、その次の世代を見据えて、長い目で宇宙開発を応援していきたいと思っています。

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『星を継ぐもの』星野之宣作(JP・ホーガン原作)

2023-03-19 11:59:17 | 宇宙

昨日は一日冷たい雨だったので、長いこと積読だった漫画を読みました。

『星を継ぐもの/全4巻』星野之宣作(JP・ホーガン原作)

原作を読みたかったのだけど、何しろ文庫本で三冊もあるし、それぞれが300ページ超えの超大作なので躊躇していたところ、漫画があるというので買っておいたのだけど、長いこと忘れていた。

それを一気読みしたというわけ。

面白かった!

やっぱり原作読んでみたいなあ。でも、最近文庫本を読むのが辛くなってきたしなあ。こういうのは若いうちに読んでおくべきなんだよねえ。他にも未読の本いっぱいあるけど・・

これ、1970年代のSFだというから驚きます。

5万年前の宇宙服を着た人間が月で発見される、というところから物語は始まります。これが果たして地球人類と同じ人類なのかどうかと議論沸騰する中、なんと、木星の衛星ガニメデで100万年前の宇宙船が発見される。

この宇宙船と月で発見されたチャーリー(と名付けられた宇宙服の人)との関係や如何?

そして、話はさらに壮大になっていき、

チャーリーの手記を解読したところ、火星と木星の間にあるアステロイドベルト(小惑星帯)には、太古の昔、惑星ミネルヴァがあったという説が浮上してきます。

ミネルヴァは100万年前に破壊され、その残骸がアステロイドベルトになったという。このミネルヴァと宇宙船、そしてチャーリーとの関係や如何?

また、宇宙船に格納されていた地球の太古の生物たちは、何のために輸送されるところだったのか・・

謎が謎を呼び、ストーリーはどんどん壮大になっていく。

そして、ついに消えた惑星ミネルヴァで暮らしていたミネルヴァ人が宇宙の彼方から地球にやってくる。

戦いに明け暮れた人類の誕生の秘密、平和を愛するミネルヴァの巨人たち・・

話がどんどんどんどん大きくなっていき、

最後の最後に、ミネルヴァ破壊の原因が明らかになるという見事な伏線回収で締めくくられます。

原作はちょっと違うらしいのだけど。

面白かったなあ。

で、思ったのですが、SFを読むときはやっぱりある程度科学知識があったほうがよい。

最近、小惑星探査機はやぶさや「宇宙兄弟」などで基礎的な知識(小学生レベルですが)は身に着けていたので、より面白く読むことができました。

太陽系の惑星の構成とか、木星の衛星が何個あるとか、ミネルヴァと呼ばれる架空の惑星(アステロイドベルトになった)はどの辺にあったのかとか、月がなぜ地球の周回軌道に収まっているのかとか・・ある程度しっていたほうがより面白く読める。

良質のSFを読んでいると、この世界そのものが実はフィクションなのではないかと思えてきて、この先にどんな展開が待ち受けているのだろうか・・

たとえば、宇宙人が地球に降り立つ日はもうすぐ来るのかとか・・

現実とフィクションの区別がつかなくなりそうです。

そして、これを一つのストーリーに仕立ててくれたJP・ホーガンという人は凄い作家なのだと改めて思いました。

SFの世界、また覗いてみたくなりました。

文庫本は字が小さいので次からはkindleで読もうかな。

 

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「宇宙兄弟」を最後まで見た

2023-03-16 17:58:09 | 宇宙

アニメ版「宇宙兄弟」をついに最終話99話まで見ました!

この2週間はなんて幸せな時間だったろう。

毎晩「宇宙兄弟」の続きを見て、幸せな気分に浸りながらぐっすり眠る、という習慣がついてしまった。

これを見ると、気持ちが穏やかになり楽しくなり、人生何があっても大丈夫、と思えてくるのだから不思議。

ときおり混ざるジョークやさりげない人生訓の数々。漫画家小山宙也て天才だなあ。

特に後半のヒビトの挫折と復活劇は見事でした。

最終章ではどうなることかとハラハラしたのだけど。

だって、最終章よ、これでおしまいなのよ、なのにヒビトったら・・

という感じだったのですが、

見事に収束し、完結したのだから、その力量たるや本当にすごい。

アニメの放映が2012年~2014年と古いので、現代だとちょっと微妙ですが。でもまあ、フィクションの世界なので・・。

というわけで、前半はムッタのコミカルな言動(こち亀の両さんみたい)に笑い転げ、後半はヒビトの不運にハラハラドキドキの連続でした。

そして、やはり高度なテクノロジーといえども、中心にいるのは人間なのだと。一人ひとりの人間の複雑な感情やそれぞれの来し方行く末をぜんぶひっくるめた上でのテクノロジーなのだ、ということを、実に見事に描いてみせてくれました。そのバランスが崩れたとき、大きな事故や災害に見舞われるのでしょう。

あの事故はヒビトにとっては不運ではあったけれど、乗り越えるべき障害であり、まさに、

「失敗を知って乗り越えたものなら、それはいいものだ」(3月9日の記事参照)

を身をもって証明してみせたというわけ。

そしてまた、これは兄弟の物語でもあります。

Neflixのドラマ「ベター・コール・ソウル」がそうであったように、兄弟というのは実に複雑なのだなあ。兄弟姉妹のいない私は物語の中で想像するしかないのですが、仲の悪い兄弟もいれば、まるで生まれる前から申し合わせてこの世にやってきたような、ムッタとヒビトのような兄弟もきっといるに違いない・・

そういう想像をたくましくさせてもらいました。

さて、これからどうしよう・・

もう一度最初から見直して、漫画も読んだりして・・二度目だと、どんな印象になるのか、それもまた楽しみだけど・・

終わってしまった、という一抹の寂しさもある。

とにかく、人生の中でこんなに幸せな2週間というのはめったにない経験で、これからもあるかどうかわからない、

そんな貴重な2週間でした。

ありがとう、小山宙哉先生!

まだ見ていない人たちは何て幸せだろう。これから第一話から見始めるんだから。

というわけで、まだの人はぜひ見てみて。

これを見るためだけに一カ月Huluに入っても損はありません!

(でもさあ、宇宙好きな人ならもう見てるにゃん)

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「はやぶさ2最強ミッションの真実」津田雄一

2023-03-11 13:49:36 | 宇宙

「本日、人類の手が、新しい小さな星に届きました」

これは「はやぶさ2最強ミッションの真実」津田雄一著(NHK出版新書)の「プロローグ」にある文章です。

はやぶさ2が小惑星リュウグウに到達し、リュウグウの岩石のかけらを地球に持ち帰る、という壮大なミッションを成功させた、JAXAのプロジェクトマネージャー津田雄一氏が書いた本です。

専門的な言葉が多く、最初は全部読めるかなあと思いながら読み始めたのですが、

これが面白くてね。

惑星探査機開発チームのプロジェクトマネージャーでありながら、津田氏はまるで物語作者のような手腕で
はやぶさ2のプロジェクトを物語っていきます。

もちろん専門用語や難しい箇所はたくさんあるのですが、できるかぎり易しく解説しているし、何より時折はさまれるエピソードの数々がまさに「宇宙兄弟」と重なってきて、読み物として非常に面白くできています。

地球や火星などの惑星は球体なのに、リュウグウはなぜそろばん玉の形をしているのか、とか。

リュウグウはC型小惑星、一方、イトカワはS型小惑星と呼ばれている。違いは何か(望遠鏡で見えるスペクトルの違い)とか。

地球スイングバイとは何か(地球の重力を利用して速度や軌道を変えること)とか。

イオンエンジンとは何か、とか。

どうやって、はるか彼方の小惑星にクレーターを作り、地下物質を採取したのか、とか。

素人でもわかる小ネタ満載です。

しかも、登場人物たちがとてもユニークで、これまた「宇宙兄弟」を見ているかのよう。

たとえば、

「宇宙兄弟」に登場するNASAの日本人宇宙飛行士ムラサキさん、みたいなモヒカン刈りのシステムマネージャーがいたり、若い技術者たちがゲーム感覚で小惑星周回軌道の計算をしたり、マスコットチーム(マスコットはドイツの着陸探査機)のマネージャーである物静かで芯の強いドイツ人女性がいたり、はやぶさ2の打ち上げの際に「宇宙戦艦ヤマト」調の台詞で決めた種子島の職員がいたり・・

また、「リュウグウ」という名前はどのようにして決まったか、とか、リュウグウ上の各地点に命名された日本語の地名にはどんなものがあるか、とか・・

面白いエピソードが満載なのです。

後半は、はやぶさ2がリュウグウに到達してからのミッションになるのですが、もうワクワクしっぱなしでした。

映画「アポロ13」とか「アルマゲドン」とかを彷彿とさせます。

最初のタッチダウンでは、誤差1メートルというピンポイントでリュウグウに着陸したのです!

3億キロメートル彼方の人類未踏の天体に、たった1メートルの誤差でタッチダウンしたというのだから、ものすごい技術です。

1回目のタッチダウン成功の後、人工クレーターを穿つミッションを成功させ、このクレーターで舞い上がった地下物質を採取すべく、2回目のタッチダウンを試みるのですが、もうね、手に汗握る展開で面白かったなあ。

そして、技術力もさることながら、何よりモノを作るのは人間なのだ、ということを明確に表現していて実に爽快です。

チームあってのモノづくりなのだと。日本のモノづくりの原点がここにあるのだと。

ちょっと前に流行ったNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」みたいな雰囲気もあり、男たちの(女性もいますが)心意気というものを存分に感じさせてくれます。

男っていくつになっても少年(子ども)なんだねー。

そして、それを人生の中で存分に味わうことのできるJAXAの人たちは幸せな人たちだ。もちろん困難は山ほどあるだろうけど。

そう思ったのでした。そう思わせてくれる本です。

専門用語など難しいところも一杯あるけど、何とかこなしながら読み進めることをお勧めします。最後は、はやぶさ2プロジェクトに参加したJAXAの一員のような気持になること請け合いです。

津田雄一氏って、科学と文学の両刀使いなのですね。すごいなあ。

 

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「失敗を知って乗り越えたものなら、それはいいものだ」

2023-03-09 10:28:17 | 宇宙

H3ロケットは本当に残念でしたが、

アニメ「宇宙兄弟」を引き続き観ていたら、ムッタのこんな台詞に出会いました。

第56話、ムッタたちは宇宙飛行士候補生としてアメリカのヒューストンに渡り、宇宙飛行士の訓練を受けています。

その中に、小さなロケットに惑星探査機のようなローバーを搭載して打ち上げ、パラシュートで砂漠に降下し、目標地点にどのチームが先に到達するかを争う、チーム別の競争がありました。

ムッタたちは、低予算ながら砂漠の悪天候にも負けないローバーの開発に挑むのですが、その時のムッタの台詞がこれ。

「失敗して壊れるのを前提で、最低でも2機作れるくらいの余裕があった方がいい。

 モノ作りには、失敗することにかける金と労力が必要なんだよ。

 いい素材を使っているものがいいものとは限らない。だけど、失敗を知って乗り越えたものなら、それはいいものだ」

ちなみに、ムッタは宇宙飛行士になる前、自動車メーカーに勤めていたので、モノづくりには詳しいのです。

今回のH3ロケットの失敗は手痛いものだったと思いますが、

これにめげずにロケット開発に挑み続けてほしいと願っています。

ムッタたちのように、ねばり強く、どこまでもしぶとく、目標に向かってまっすぐに。

 

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