雪の朝ぼくは突然歌いたくなった

2005年1月26日。雪の朝、突然歌いたくなった。「題詠マラソン」に参加。3月6日に完走。六十路の未知の旅が始まった…。

日々歌ふ1112(28首)

2011-12-31 17:18:39 | 日々歌ふ2011

111202
 よくぞまあまた来てくれぬ鴨たちよはるか北から苦難の国へ
 風立ちて朴の黄葉(もみぢ)はカラカラと青空高く踊り奏でぬ
 隣人の知らざるままに燃え上がる桜紅葉の屋根越しに見ゆ
 晩秋(おそあき)にな咲きそ咲きそ可憐なるタチツボスミレよイヌノフグリよ
 青空に桂黄葉(もみぢ)の風に揺れやさしく歌ふ今はの歌を
 人住むや古き家にぞ類ひなき櫨の紅葉は燃え盛りける
 夕されば名残惜しみて秋薔薇の赤く咲きゐぬひとり静かに
 黄に赤に闇を背おひてもみぢ見ゆ暮れ方早き晩秋の夕
111207
 核含む冷たき雨に色深む野茨の実も桜落ち葉も
111208
 ―<七十年目の一二.八にこの国の未来を憂ふ>
 誰一人責を取らざるこの国に救ひの道のありやなしやと
111214
 垂れ籠めし鈍色(にびいろ)雲のかき消えて冬空晴れぬ秋雲浮かべ
111219
 ―<隣国の稀代の独裁者の死を聞きて>
 その死また社会奉仕と湛山のかつて評せり山県の死を
111221
 赤き実の熟れて輝き鳥たちに食はれゆきてぞいのち継がるる
111223
 初冬(はつふゆ)にこの世惜しみぬ空蝉の生けるがごとく葉裏に潜み
 季(とき)狂ひ菜花ちらほら咲く野辺に芒光りぬ日の傾けば
111224
 フィナーレを目にも清(さや)かに演じつつ光り舞ひけり銀杏黄葉(もみぢ)の
111226
 恐竜も目にせしならむ丈高き木々の冬陽に紅葉照り映ゆ
111228
 今年ほどおほく聞きたる年はなしわが懐かしきズーズー弁を
 この星のなにの狂ひて年の瀬に柳あをめるあはれあはれに
111229
 ひさびさに十キロ走り括りえぬふるさと滅ぶ苦難の年を
111231
 ―<浅草吾妻橋で開かれし「オーガヒロフミ 青い十二月 展」(Gallery A Bientot)の詩の朗読会・パーティ・二次会に参加して>
 金色のオブジェ仰ぎつ浅草で一夜満たさる友のアートに
                 *
 蝋梅のはや咲き初めし年の瀬をわれ知らざればうろたへ渡る
 一本(ひともと)の葦の茎にぞ飛び来たり瞬時に去りし鳥影惜しむ
                 *
 冬の陽のビルの窓をば燃やしつつ年の瀬深く落ちゆきにけり
                 *
 ―<山形県尾花沢の銀山温泉を訪ねて>
 銀(しろがね)の世界を訪へばみちのくの静もる湖(うみ)に冬鳥満ちぬ
 いにしへの姿とどむる銀(しろがね)の山の出湯に雪は降り積む
 銀(しろがね)が山の出湯の明けぬればものみな深く雪に埋もるる
                 *
 昇る陽にスカイツリーの浮かび立つ苦難の年を見納むるごと



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2 コメント

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Unknown (佐平次)
2011-12-31 19:58:17
過ぎてみればあっという間の一年でしたが内容は千年分ありました。
いいお年を!
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佐平次さん、ごぶさたしています (髭彦)
2011-12-31 21:11:24
本当にあっという間の年でした。
お会いしていろいろお話を伺いたかったのですが、来年に持ち越してしまいました。
お元気で新年をお迎えください。
返信する

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