今夜放送されたNHKスペシャル「メルトダウン 連鎖の真相」を観ました。
原発事故の真相に迫る点で、NHKとしてだけでなく、これまでの各種事故調の報告などを圧倒的に凌駕する内容で、まさに画期的な内容だったと思います。
取材に答えた東電福島第1原発の現場の幹部技術者たちの証言は、これまで散々見せつけられてきた東電本社の幹部たちの傲慢、無責任極まる詭弁と言い逃れに終始する対応とも、どこか一匹オオカミ風で一言居士的な吉田前所長の対応ともまるで違って、実に率直で誠実なものでした。
場合によっては日本全体を滅ぼしかねないという危機感をもって、自らの死をも覚悟せざるを得ない恐怖感のなかで、可能な限りの最善を死力を尽くして果たしたにもかかわらず、1号機から3号機までのメルトダウンの連鎖を防げなかったという、未曾有の原発事故の真相は未だに解明されていないということを、彼らは率直に認めていました。
実に緻密な取材によってこの番組が指摘した衝撃的ないくつかの事実は、野田政権と原子力ムラの原発再稼働と推進政策への見切り発車が、いかに根拠のない危険極まりのない無謀なものであるかを、反論の余地のない形で告発しています。
もちろん、証言した現場の幹部技術者たちも事故以前にはそうした極限状況に陥る可能性を想定せずに原発を推進してきたのですし、NHKも公的マスコミとして原発「安全神話」の形成に大きく加担してきたのですから、その責任がなくなるわけではありませんが、今回の東電技術者の証言とそれを取材しこの番組を作り上げたNHKの製作者たちの誠実さは、その深い反省に立つものとして高く評価すべきだろうと思います。
この番組の本質的な告発を受けて、野田政権と原子力ムラがどう対応するか、僕たち国民がどう行動するかが、明日から問われなけれならないと思います。
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