壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『人間の器量』を読んだ

2011年03月23日 | 読書(文芸、フィクションほか)

『人間の器量』(福田和也著)を読みました。

器量を大きくする5カ条。
1)修行する
2)山っ気をもつ
3)ゆっくり進む
4)何も持たない
5)身を捧げる

「結局、気にかける人、心を配る人の量が、その人の器量だと思います」(引用)

単に人の量(数)でなく、掛ける気の質、配る心の質が肝心だと思いました。



『地団駄は島根で踏め』、面白かったです

2011年03月23日 | 街ネタ

『地団駄は島根で踏め』(わぐりたかし著)を読みました。

「地団駄を踏む」とは、悔しがること。これは、たたら製鉄で使われる巨大なふいごを踏むこと。砂鉄を鍛えるたたら製鉄では、70時間も火を焚き続けます。番子と呼ばれる3人が交代で、このジダンダを踏み続ける。だから、交代することは「代わり番子(ばんこ)」。なぜ、ジダンダ踏みが、悔しがる意味になったかは失念しましたが……。

「急がば回れ」。これは、東海道五十三次で、琵琶湖の東岸の宿から、西岸の大津へ船に乗るラクをする手があった。ところが、比良下ろしの風があり、船は欠航がち。そこで、急ぐなら、歩いて行け、という意味です。

「ごたごたいう」。これは、鎌倉の建長寺に来た、堅物の中国僧、ごったんが由来(ごったんの漢字は失念)。建長寺の本尊は、地蔵菩薩です。仏教では、地蔵菩薩は悟りを開いた僧より位が低いとされる。そのため、「そっちが私に挨拶すべきだ」とメチャクチャなことを言ったのだとか。これが語源です。

こうした、言葉の発祥・語源を、著者は「語源遺産」と呼び、実際にその地を訪ね、調べます。そのレポートが同書。このほかにも、いろいろな語が紹介されていて、面白かったです。興味のある方は、ぜひ。

なお、姉妹編として『太鼓判は山梨で押せ』アリ。ほかの金属は混じっていませんよ、純金ですよ、と保証するため、甲州で流通していた金貨には判が押させていたとか。武田信玄の政策です。

言葉って、ほんとうに面白いですね。


我慢のしすぎはよくないが

2011年03月23日 | 考えたこと・調べたこと

WTO(世界貿易機関)は、なぜ自由化を進めるのか。そんなの、どうでもイイジャンと思っていたから、長く疑問でした。

つい先日、WTOは、第二次世界大戦が世界経済のブロック化が進んだことが原因で起こったとの反省に立って作られた、と知りました。資源を囲い込まれた国が暴挙に走った、ということです。

TPP、EU……。これらは経済の囲い込み、ブロック化そのものでないでしょうか? 北アフリカや中東情勢、福島での原発事故による反原発世論隆盛の予感……。

なんか悪い予想をしてしまいます。杞憂だといいのですが。

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サンデル教授、来日困難

2011年03月23日 | 街ネタ

正義をめぐる授業で評判の、ハーバード大学のサンデル教授が、来日しないそうです。3月25日に、読売国際経済懇話会の特別講演「グローバリズムと共同体」に参加予定でした。来日しない理由は、東日本巨大地震の影響だそうです。

サンデル教授は、ジャイアンツの開幕試合の始球式で、投手役が決まっていました。

ジャイアンツ正義のお墨付きも取る(愚作)

金にものを言わせて、他チームの4番バッターやエースを獲得するだけでもの足りず、正義という大義名分も得ようとした、と揶揄したわけです。(最近は、若手育成重視などチーム運営方針を転換しています。念のため)

川柳を作った責任があり、サンデル教授の動静に注意していた折、来日困難の報に触れました。

来日しないのは、なぜでしょうか? 放射能を恐れて? 開幕試合が延びたから? いや開幕は延期されてもシンポジウムは予定されていたぞ。それを蹴ったの? 正義は言うは易く、行うは難し、ということですね。

「アンティークマン」というブログを、ときどきチェックします。作者は未知の方ですが、人生のベテランで、かなり教養ある男性だと思われます。3月22日付け記事が面白かった。興味のある方は、ぜひ。

http://blog.goo.ne.jp/osamutoyoda/e/27dc412cf73c9134e3ad511e32d6ee67


『大往生』(2)

2011年03月23日 | 読書(文芸、フィクションほか)

『大往生』(永六輔著)より。

「ご臨終です……。これが上手に言える医者になりたいと思います。昔は心臓が止まって、呼吸が止まって、瞳孔が開けばいいんですが、今は心電図ですからね。死んでいても、何かの拍子に(電図の針が)動くことがあるので困ります」

(しばらく間をおいて)「だから上手に(心電図の)スイッチを切っておいて……ハイ」

「人さまの前で『人の世話にはならない』という人がいますが、自分で墓の穴を掘るんでしょうか」

『大往生』は、前後2部構成。前半は、旅暮らしの永さんが、日本各地で聞いた市井の人の言葉を集めています。言葉の主は、医者、看護士、介護師、施設の高齢者、在宅の高齢者などなどです。「ご臨終です…」は医者の、「人さまの前で…」は在宅の高齢者の言葉でしょう。

後半は、自分の父の死を巡り考えたことや、ご自身が参加された死をテーマにしたシンポジウムの再録です。

輪廻転生。死んでも、また生まれる。だからこそ、この世で元気の出し惜しみせず、いまを燃えて生きることが大切なんだ。同書はそんなメッセージだと、ぼくは解釈しました。人生のベテランの方に、ぜひ。